表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/192

第130話、ダンジョンマスター、相棒の得意属性を改めて思い返す




 観光地……と言うか、ダンジョンの入口であるからして。

常駐して管理している人も含めて多くの人が出入りしているのかと思いきや。

いたのは少し離れたところにあった灯台にしつらえてある詰所にて、洞窟の……ダンジョンから時折出てくるらしい魔物たちを確認監視、対処するための人が数人いるくらいであった。



逆に、洞窟の中へと入ろうとする探索者たちについては自己責任らしく。

それでも一応その洞窟付近での依頼でやってきた事を詰所にいた、ギルド員の方々に伝えると。

ユウキの強い要望によって全身をすっぽり(顔まで)覆える『ウルガヴの羽衣御包』+3~6を皆々で装備していく。



水中で行動するための魔法やスキルもあるが、装備品で補えるのならばその方がいいだろうと判断した次第であるが。

加えて、『魔物魔精霊モンスター』のバッグの内なる世界にて待機、あるいは修練中のチューさんたちにも、いつ出てきてもらってもいいように同じものを装備しておいてもらっていて。




「むー、少しでも動きづらいと思ったらぬいじゃうからね~」

「ああ、シラユキの判断に任せるよ。何せ水中はとにかくシラユキが頼りだからな」


何せマイダンジョンは完全に水中に沈んでしまっているダンジョンを見かけることすら稀である。

故に水中でのトラップも、そのほとんどが初見であろうし、仮にモンスターパレードに巻き込まれたとしたら、まずはとにかく水のない陸地と同じように行動できるシラユキやアオイを中心に行動することになるだろう。


そんなシラユキが完全防備の水装備をパージしたいのならば、それはお任せと言うか仕方のないことなのだと。

自分自身に言い聞かせるように頷いていると。

頬をぷくっと膨らませて抗議の意を示すユウキ。

 

べつにホタテ的装備をユウキに身につけてもらうわけでもあるまいに。

どうしてそんなにもお冠なのでしょうか。

それでも可愛いっていうアピールなのでしょうか。


まさか、こんな俺に嫉妬的な感情を向けられているのだろうか。

いや、まさかな(二回目)。


やっぱりそのこと、面と向かって聞けるほど面の皮は厚くなくて。

俺は結局今回も曖昧に誤魔化し笑いを浮かべつつ。

まずは受けた依頼をこなすことにした。




幸か不幸か、洞窟の付近に水棲の魔物たちは出てこなかったけれど。

海の生き物たちは、早速シラユキが洞窟に入口周りを俺たちが調べ終えた頃にはいくつか捕まえてきてくれていた。

収めるにしろいただくにしろ、それなりの量があったので、『モンスター』バッグの内なる世界にもちゃんとある、水辺に放しておいて。


ポーション類の元となるらしいミズゴケや海藻、結局ユウキも勘違いしていた貝殻集め……二枚貝ではなく、アオイが終の棲家とするには少々小ぶりな巻貝を、宿主がいないものをいくつか見繕って『保存収納ポッジズ』のバッグにしまい込むと。

いよいよもって本題……大分期待をして、いざという時のために受けた依頼を常時のものだけにしておいた甲斐があるような気がしなくもない、人っ子ひとりどころかモンスターの出入りすら見つけられない、ほどなく行き止まりとなってしまっている洞窟の終点、そこにある地面の代わりに昏い色を湛えた水面を見据えた。




「本当にここがダンジョンの入口であってる?」

「ふむ。確かにこういったスタイルの始まり方には、なかなかお目にかかれないからなあ」

「見た感じただの水たまりってことはなさそうだけど」

「私が一足先に様子を見てきますか~?」

「いや、みんなで一緒に行こう。むしろ四人がはぐれないように……うん、取り出したるは『ピアドリームのロープ』~!」

「あっ、それってチュートちゃんのえだ?」

「おっ。ああ、そうか。チューさんのメイン属性のひとつって【ピアドリーム】だったっけ。これは自前っていうか、マイダンジョンでゲットしたアイテムだから、これもチューさんからもらったことになるのか。うん、とにかくみんなこれを……ああ、アオイは人型になっておいてくれ。みんなを繋ぐように、腰辺りに巻きつける感じにしたいからさ」


それこそ、マイダンジョン産のアイテムであるからして。

そうそうちぎれたりすることもないだろうが。

少女の姿となったアオイを含め、みんなとしかと濃緑色のロープで結ばれたところで、『イロトラン(硬化不動)』……ではなく、『メッキーラ(防腐付加)』のカードをそのロープに貼り付けたのならば。

たちまち破壊付加のアイテムとなって水中ダンジョンもはぐれることなく移動ができることだろう。



ちなみに、『ピアドリームのロープ』は高低差のあるダンジョンフロアにて使うもので。

例のごとくマイダンジョンではその出番はあまりなかったが。


今やすっかり前線に出る気満々になっているチューさんの基本の魔法、木々枝葉で作り上げられたしなり伸びる鞭を生み出す魔法と非常によく似ているが。

こちらは濃緑色、チューさんの鞭魔法はもう一つの得意属性である【エクゼリオ】色をしているので見分けはつくことだろう。


ただ、あえて言うとするならば、アイテム名と魔法名がほぼ一緒なんだよなあ。

故にアオイもそのロープが、チューさんのものであると空目したのだろう。

まぁ、ロープのアイテムはそんなに使うことがないだろうからほとんど一緒でも問題はないはずで。



それはともかくとして。

みんなでつながったまま切れなくなってしまってもあれなので。

とりあえずのところは、『ブレスネス(祝福息吹)』の力を借りることはやめることにしていて……。



   (第131話につづく)








次回は、9月29日更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ