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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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128/192

第128話、魔王、気づけばその名の通り、レギオンと呼べるくらいには



 新たなるダンジョンへ向かう前の最終準備として、確認したかったことのひとつ。

それは、『アリオアリ』のダンジョンのことだ。


『リングレイン』のダンジョンと同じように、マスターとコアが不在のままではいただけないと。

代役をお願いしていたその結果、その役目をかって出てくれたというか、ダリアのあてと言うのは。

なんとアリオアリ冒険者ギルドの受付男子であるネクアさんだった。



ダリアが目をつけていた魔王の代役が彼であるというのは。

意外と言うかさもありなんと言うべきなのか。


結果的に見ればその場に居合わせることなくてよかったのかもなぁと思わざるを得ないが。

そんなダリアが言うには、ネクアさんはくさっ……アンデッド系のモンスターを操り扱う能力に長け溢れている、とのことで。


当の本人も受付男子として普段は働きながら、その実ダンジョンを裏で牛耳るといったマッチポンプには理解があったどころか、あれだけ多くの行方不明となっていた探索者たちを見つけ出して、尚且つ復帰するというのならば。

受付男子としてしかとしかと支えなくては、と大分はりきっているらしい。



その実は……まぁ、あえて考えるようなこともないか。

ダリアの話では、俺の時以上にやる気があるようで。

ずっと前のめりで、その瞳も輝いて、ギラギラしていたらしいからな。


―――閑話休題。






そんなわけで。

港町『ウルガシア』にあるという海底ダンジョンへと、我らが『ジエンド・レギオン』は向かうこととなったわけだけど。

成り行きでチューさんに、この『アリオアリ』の地の女神様の生まれ変わりの聖女的存在として崇め奉られてしまっただけでなく、種族は違えど結構似ているところのある、暑い地方で暮らすタイプの美少女なダリアや、いかにも聖なる存在っぽいフェアリやエルヴァたちをはじめとして、アリオアリの街の人たちの覚えよく、その人気は凄まじく。

『ユキアート』以上の盛大なお見送りを受けることになってしまっていた。



その分、引きとめようとするような人たちもいたが。

どこぞの救世主のように救世のため旅と言う名の冒険、まだ見ぬダンジョン行脚をしたいということで、なんとか旅立つことができていて。


一見すると、ダンジョンとその周りで暮らす人々は反発し合っているように見えて。

やっぱり共生していくものなんだなぁと、しみじみ感じつつ。

ダンジョンで言うところの、味変したくなる……ひとつのところに留まることを良しとしないことに申し訳なく思いながらも。

今日も今日とてエルヴァに馬車をひいてもらいながら、数えて三番目のダンジョン。

『アリオアリ』ダンジョンに別れを告げるのであった……。





            ※      ※      ※





そうして新たな仲間を加えた『ジエンド・レギオン』は。

一路まだ見ぬダンジョンと、その先があるかもしれない港町『ウルガシア』へと進み行く。


道中、ダンジョン産でないモンスターや、明確に敵性(マップで言うところの赤色丸)で表示されし人々……野盗やら山賊的なみなさんが現れることもあったが。

持ち運びできるマイダンジョンによって、俺のドーピング……お手軽レベルアップアイテムを使わずとも日々探索、鍛錬し、一層頼もしくなってきている頼もしいみんなの相手になるはずもなく。


当然、新たなテイムモンスターをスカウトするような暇もないままであった。

チューさん曰く、それじゃなくてもそうそうコミュニケーションが取れる人型以上の魔物魔精霊へとレベルアップ、進化していくであろうテイム済みな仲間たちが、それこそ100人近くいるのだからそのような余裕などあるわけがない。

ダリアは例外中の例外じゃろうが、とのことで。


それならば、そんなみんなの頑張っている様子を見たいところなのだけど。

今はみんなのまとめ役をしているらしいフェアリのお許しが出ていない……

ご主人さまにお披露目できるほどには成長できていないということでそれもままならず。



結局のところ、いつものように俺は。

ただただ御者席にて、エルヴァのお尻……ごほんごほん、後ろ姿を眺めるだけで、『ウルガシア』の町へと辿り着くこととなった。




今の今まで多くのダンジョンと共生する人々、国、町並みを見てきたけれど。

『ウルガシア』の町にとってのダンジョンは、今までの扱われ方とは違っているようにも思えた。


それは、ある意味で正しく昔からのダンジョンに対するイメージ。

もしかしたら、『ウルガシア』の港町は、そのダンジョンが創られる前からあったのかもしれない。


突如として見つかった、流水を取り込む洞窟。

その中に生まれていたダンジョンは、そのほとんど海の中にあって。

初めはダンジョンの利を得ようと多くの探索者たちがダンジョン攻略に挑戦したのだろうが。

かなり難易度が高く、帰還してくる者はほとんどいなかったようだ。

帰ってきた者の多くは、低層を探索したところですぐに引き返してきたものばかりで。


時折、そんなダンジョンからモンスターたちが溢れ出し。

町の人を脅かし、徐々に厄介者扱いされるようになっていって……。



     (第129話につづく)








次回は、9月15日更新予定です。

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