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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第126話、ダンジョンマスター、一瞬だけみんながついてきてくれるか不安になる





 これからレベルの高い、いわゆるところの極まりしダンジョンへ向かうとするのならば。

俺の精神的安寧のためにも『ブレスネス(祝福息吹)』を各アイテムスキルに付与しておくのはまず必須であろう。

 

自分が思っていた以上の効果、思いもよらない効果を発揮する事以上に。

たとえば『リヴァ(復活蘇生)』のカードを、『ブレスネス』の元々の効果……基本の効果で、何度も使用できるようになるのは余りにも美味しすぎるからだ。


今のところ、そんなコンボも含めて『ブレスネス』が付与されたスキルアイテムを使うような機会はあまりなかったこともあって。

そのストックは潤沢になされてはいるが、これから行く先、予定が決まって新たなダンジョンへと向かう前に、マイダンジョンに何度か潜って『ブレスネス』を始めとした各種有用なスキルアイテムを補充しておきたいところではあった。



 だが、倒れても復活できる、というのは。

大きな安心感はあれど、ダンジョンコアの妖精さんなチューさんたちにとってみれば、両手を上げて採用、持っておきたい、というわけでもないのかもしれない。


チューさんがオーバーにすぎるキル(ほとんど『ブレスネス』、俺のせいなんだけど)でボーブさんを打ち倒してしまった時。

彼は確かに、こう言葉を残していたからだ。



『これで……故郷に帰れる、と』



チューさんたちもそうだけど、今後対峙するであろうダンジョンコアのみなさんが。

本当は何を望んでいるのかを、見極めていく必要があるのだろう。


もっとも、チューさんにはエンドロールのその先なダンジョンがあると。

契約しているこの俺が知ってしまった以上、一蓮托生で諦めてもらって。

ユウキとともにもう少しばかりつきあってもらいたい。

そんなわがままを通すのだからこそ、改めて『ブレスネス』の取り扱い諸々には気をつけなければ、なんて思っていて。





「こほん。それはまぁ置いておいて、話を戻すぞ。ダリアどのの無事を伝えたお返し、というわけでもないが、リィアラどのも主どののいうきわみダンジョン、通常のものよりグレードが上であるダンジョンの存在を、噂程度にじゃが知っていての。少なくともこの世界、見てすぐそれとわかるところにそれらしきダンジョンの入口はない、とのことじゃな」

「ええと、それってつまり、隠されてるってこと?」

「わかった~。海の中だよ、それか海の下に隠されてるんじゃない?」

「ぬう。シラユキはここ最近そればかりじゃのう。じゃがしかし、あながち外れでもないのだから、もしかしたらシラユキは無意識下で次なるダンジョンの気配を感じ取っていたのかもしれぬの」

「ほほう。つまりは水中呼吸の魔法、スキルが必須のまだ見ぬダンジョン、その先に目指す極みダンジョンがある、ということか」

「わしらの第一ホームのあった、『リングレイン』とは、『ユーミール』の山を挟んで対極にある北の海、その港町である『ウルガシア』。そこにあるという海底ダンジョンは、難易度が高いというのもあるんじゃろうが、名の知れた腕の立つ探索者程に帰還せぬらしい」

「それってつまり、この『アリオアリ』の勇者さんみたいにその先へ向かったっていうことなの?」

「うむ。リィアラどのの見立てではそうなるの。ただ単純に難易度が高いだけならば、実力が足らぬものが帰還している理由がわからない、とも言っておったの」

「……よし、決まりだな。色々準備もしたいし、この『アリオアリ』ダンジョンの後始末、今後のことも考えなくちゃだし、その『ウルガシア』へ向かうとして、一週間ほど準備期間を設けよう」

「ふむ? 一週間とな? その心は?」

「極ダンジョンへ向かいたいってのはあくまでも俺のわがままだからさ。こんな俺に付き合ってもいいのか、みんなで一度考えてもらいたいんだ。何か他にやりたい事があったとするのならば、そっちを優先してもらっても構わない」



 レベルが高いというくらいなのだから、ダンジョン攻略に失敗して帰らぬ人となる可能性もあるはずで。

とっくにその覚悟が決まっている、ダンジョンに狂っている俺はともかく、みんなはそうじゃないだろうと。

あくまで俺の道行きについていくことが絶対じゃない、ってことを言いたかったんだけど。




「……なんじゃ主どの。またわしを怒らせたいのか? わしは主どのがくだばるまでそばにいること、もう決めておるんじゃからの」

「ふふ。チューさんならそう言ってくれるって思ってたよ。というか? 『ジエンド・レギオン』としてまだ見ぬダンジョンアタックに付き合ってもらうのは必須ですけど? そうではなくて、ユウキの故郷に帰りたい、とか、ダリアの前担当者を見つけ出したいとか、ダンジョン探索の合間にできそうな、みんなの目標というか、やりたいことを聞いておこうと思ったのさ」



ほとんど反射の動きでお冠なチューさんを目の当たりにしてしまって。

あっさりてのひら返しではないけれど。


そんな風に誤魔化して、この際だからと。

この世界でみんながやりたいこと、目標や夢めいたものを伺ってしまうことにして……。



    (第127話につづく)








次回は、9月1日更新予定です。

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