表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/192

第120話、魔王、すっかり出歯亀もこなれてきて地の文に





さんざんばらチューさんに文句を言われた此度の作戦とは。

ぶっちゃけて言ってしまえばアクマやエンジェルなどといった、ダンジョン運営側からの使いである方たちのお話を伺ってみよう、といったものである。



今の今までは会敵したその瞬間に殲滅してしまって、文字通り何も得ることができなかったからこそ。

そんな使いの人たちの目的を知ろう、なんて思ったわけだ。


たとえば、ダンジョンコアやダンジョンマスターでありながら、自身のダンジョンを置いて他所様のダンジョンにお邪魔する(ただ、その事についてはマイダンジョンに一応代役を立てているし、ダンジョン運営を投げ出しているわけでもないので、グレーというか、運営側からも放置されている気がしなくもなかった)ことや、対すべき魔王と勇者でありながら実は仲が良すぎるくらいに良かったりとか。

その仲の良さに乗じてダンジョンコアをおいてどこかへ行ってしまったりとか。


そんな、ダンジョンのルールめいたものから逸脱すると現れるっぽい彼ら。

ダンジョン攻略失敗を誘発しかねない危険人物は、スピーディーに処理するのが鉄則ではあったので。

これまでは悪だろうがそうでなかろうが即斬の勢いで処してしまっていたけれど。


せっかくやってきたのだから、何かやりたいこと、目的があったのではと。

話くらい聞いてもいいんじゃないか、なんて思ったわけだ。



ルールに反した者を、ただ処理したいだけだと言うのならばやられる前にやり返すだけだが。

そんなわけでみんなには運営側からのお使いさんが来ても、テイム可能な程度以上に攻撃をしないようにと言い含めてあって。


そんなお使いさんが、俺たちの方へとやって来たのならば。

うっかり撃滅してしまう前にフェアリに回復魔法をお願いするところだが。

ダンジョンコアがダンジョン外にいるぞアピールをしてもらっているチューさんたちの方へとやってきた場合は、話が聞けそうならば聞き出して欲しいと伝えてある。


あちらさんがやって気安いようにチューさんには一人でいてもらおうかと思ってはいたのだけど。

心配性で仲間思いなスーイはチューさんが一人きりだと話し相手もいなくて寂しいでしょう、ということでそこにいるようで。

まぁ、もっともそれは他のみんなも同じで。

交代制でしばらくしたらピプルと変わる手はずであったらしい。



しかし、そのような予定よりも早く。

それはやってきた。





「……っ! へえ。確かにこれは、油断していい相手じゃないわね」

「ぬう。今までのは気づきもせなんだが、ここまであからさまじゃと街の者も気づけそうなものじゃがの」



しかし、そんなチューさんの懸念も、杞憂に終わる……土地柄なのかチューさんたちが今いる出入り口を通る人がほとんどいないこともあって。

気づきやってくる者はいなかった。





「……終わりの筋書きに抗わんとする者達、見つけたぞ」

「「……っ」」


上空から隕石のごとき勢いで落ちてきたもの。

それは、浅黒い肌の筋骨隆々なアクマであった。

識別するのならば、その種族はグレーターデーモン。名はボーブ。


今まで襲来して来た者たちがすぐに返り討ちにあってしまっていたから。

運営側……上もさらに上位の存在を使いに出してきたらしい。


そんなグレーターデーモンの目的が、『アリオアリ』の街の襲撃であったのならば。

ここまで気づかれずにやってきた時点で、大分詰んでいたことだろう。

事実、落ちてきたその場は大きく地面がえぐれ、砂埃が大量に舞い、大きく環境を変えてしまっていた。



だが、しかし。

そんな派手なグレーターデーモンの登場に、二人は息をのんだものの。

日差し避けのための『カムラリザード』の外套すらほとんどはためくことすらなく。



「ふむ? ワタシの登場に臆することなくそこにあるか。その意気や良し。ワタシの闇の御技にて、滅ぶが良いぞ」

「……むっ」

「くるわ!」


チューさんやスーイからすれば煙幕のように視界が悪くなったその隙に乗じて卒なく襲いかかってきたように見えたことだろう。

過度な反撃は禁止されていたけれど。

魔物の、ダンジョンモンスターの本能が働いたようで。

仲間たちの中でも最速と言えるスーイの十八番……雷魔法が。

大きく振りかぶったグレーターデーモンの黒ずんだ(恐らく毒が仕込まれていたのだろう)腕めがけて飛んでいって……。




「あっ」


声を上げたのはスーイかチューさんか。

見えはしないがお互いを遮る、『ブレスネス(祝福息吹)』つき『サンクチュアリ(破魔領域)』による結界を、スーイの電撃のスキル……雷魔法が通過したその瞬間。


大きく激しく火花を散らす程にグレードアップしただけでなく、黄から紫へと色までかわっていて。

迎え撃つように、ボーブと言う名を持つグレーターデーモンの腕とぶつかり合う。



抵抗はボーブが声を上げる間もないくらいの一瞬か。

あえなく粉砕される、その手のひら。



「ほう。これは確かに、資格ありっ……だが! 我が呪殺双撃はこれだけでは終わらぎょおおおぉぉっ!? 熱い、熱いぞおおぉっ!?」


その言葉とともにすぐさま再生が始まっているようで。

さすがはグレーターデーモンだ、なんて思っている中。


どうやらそんなボーブさんのファーストアタックは両腕を使った時間差のある連撃であったらしい。

無事であったもう一方の腕が、チューさんの方へ飛んできた……かと思うと。

見えない壁と化していた『サンクチュアリ』の結界膜に衝突。



見えなかったからなのか。

結構な勢いでぶつかっていったために。

スーイの雷魔法を受けた先んじた腕よりも、後から繰り出された腕はひどいことになっていて……。



   (第121話につづく)








次回は、7月20日更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ