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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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112/192

第112話、魔王、しぶしぶ次点の魔王的コンボを使ってみることにする




まるで、階段のその先へ向かう探索者に限らず侵入してくる者の行く手を阻むかのようにも見える、

モンスターパレードに及ばずともそれなりの数を揃えたアンデッドなモンスターの群れ。



「階段の向こうに行きたがってる? もしそうなら探索者の意思が残っているのか」

「あ、そう言えば不思議だったんだよね。みんなは階段通れるのに、モンスターたちは近づこうともしなくてさ……って、気づかれた!」



ぱっと見た感じ、集まって行き先を塞いでいるとはいえ、各々の行動はてんでバラバラに見えるアンデットたち。

その中のひとりである、どうやらアンデッド化する前は冒険者、探索者であったらしい服装の面影があるゾンビの一体が、こちらに気づいたのを皮切りに、モンスターとしてのロール……近づいてきた探索者に攻撃を仕掛けることが優先されたようで。



はじめに気づいたそのリビングデッドに続くスケルトンナイト、エクゼ・ゴースト(闇魔法を使うゴースト)など、このアリオアリのピラミッドダンジョンでお馴染みのアンデット系モンスターたちより比較的レベルの高そうな面々が向かってくるのが分かる。



対して、ユウキが声を上げるか上げないかの時点ですぐさま戦闘態勢に入るチューさん以外の三人。

かと思ったら、一人のんびり構えているようにも見えるチューさんが、そんな三人にストップをかけるように声を上げた。



「いや、ちと攻撃は待ってくれるかの。ここからは主どののターン、魔王的実験の時間のようだからの」



などと言いつつも。

コミュニケーションがうまくとれないと問題になりそうだからと。

今回『ヴェロシアップ(倍速行動)』のスキルを使わないでいたのを、チューさんはしっかり汲んでいてくれたらしい。


魔王的実験、と聞いてユウキが少しばかり嫌そうな顔をしていたけれど。

リングレインの魔王コンボのような絵面もひどい感じにはならないだろう、恐らくきっと。

なんて希望的観測をしつつ、初めに繰り出したのは『ダイソーダ(金縛留起)』の本だった。


それは、『プレッツェン(広範催眠)』のようなプラスマイナスある副次効果もダメージもないまま、

ワンフロアの範囲にいる敵性の行動を封じるもので。


普段なら、アンデッド系モンスターの対処として、動きを封じた後にまとめてフェアリの回復魔法で一網打尽にするパターンが多いのだけど。

偶然とはいえ、そうならないために此度の適材適所だったのかなぁとしみじみ思いつつ。

チューさんの言う所の魔王的実験を満を辞して実行する。



「んー、思い切って『ヴェルアップ(進化幸先)』と『グラグロウス(共生進長)』ほんとの俺的素敵コンボは……」

「それは、もちろん禁止じゃ」

「ですよねー。それじゃあまずは『ヴァルーノ(万能得薬)』のカード、『ブレスネス(祝福息吹)』つきを。ひいふう、十人はいるな。ま、大盤振る舞いだだだぁっ」



もうすっかり最後なエリクサー的な、倉庫の肥やし扱いになっているドーピングレベルアップと言う名のくだんのコンボを手始めに提案するも。

何気に初出な『ヴェルアップ』(所謂ところの、摂取するとレベルがアップするレアアイテム)が。

やはり自分の力でレベルアップ、進化したいみんなにとってみればどうにも存在を主張しすぎてしまっているようで。(何せそのカードの見た目がハートのエースを模したど派手配色のものなので)


スキあらばみんなのレベルをアップしてしまおうといった懲りない目論見が透けて見えすぎてしまっていたらしい。


そんな『ヴェルアップ』のカードは敵性にも効果があって。

それを使えば進化、魂の階位があがってコミュニケーションが円滑に取れるようになるだろうと思っていたのだけど。

やっぱり使っちゃダメらしい。



そんなわけで、次の策。

アンデッド化も状態異常の一種であると判断して。

薬としても存在する、ほぼ全ての状態異常を解除する『ヴァルーノ』のカードを。

数えて十人ほどはいるだろう高レベル帯のアンデットたち一体一体にせっせと投擲していく。




「わ、キラキラしてまぶしい」

「光の魔法ね! まだ習得してないわ。すぐに覚えるからっ」



いやいや、別に光魔法じゃあ……いや、そうなのだろうか。

魔法大好きなスーイが言うのだからそうなのかもしれない。

なんて言葉を返す間もなく、イメージしていた光の粉の残滓が吹き上がるエフェクトが。

正しく祝福されし光、あるいは聖なる魔法が発動しているようにも見えて。



「うわっ。ってか余波がこっちまできてるじゃん! ……あ、でも何だか心地よいし、身体が軽くなったような気がする」

「ほほ。相反属性でわしはちとぴりぴりするがの。正しく階層まとめて浄化する勢いじゃの」



ある程度近づいてきたところで、動けないまま、キラキラの竜巻を受けたアンデット数十名のみなさん。

初めは、縛られたこともあるのか、怨嗟の声を上げているようにも見えたけれど。


光の勢いはより一層強くなり。

次第にそんな声も聞こえなくなっていって……。



   (第113話につづく)








次回は、5月25日更新予定です。

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