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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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104/192

第104話、魔王、ある意味有り難き経験を経て、次なるダンジョンへ



がっちりガードした上で改めて受付にやってきた事に気づかないはずもなく。

ネクアさんの動揺っぷりが、さすがに俺でもよく分かってしまって。



「それでは受理いたします。期限は特にありませんが、ラーク王遺跡へ向かわれた際には、

成果がなくともこちらへ報告に来ていただけると助かります」


やっぱり心うちだけの、暴いてはいけなかった秘密であったのか。

そう思い、大分申し訳ない心持ちもあったけれど。



「ええと、その。最初にいらした時とお召し物が異なっているようですが……」


どうやら我慢できなくなったらしく。

ストレートにそんな事を聞いてくるネクアさん。


『透視・原種パースペク・オリジン』の魔法をガードするにあたって。

こんなこともあろうかとと言うか、俺ひとりが狙われていたことを誤魔化すためにみんなで揃って着替えていたのだ。


ピラミッド型ダンジョンへ向かうための新しい装備は『カムラ・リザード』の外套(+2~6)。

炎、熱耐性はついているが、『ヴァルシール(月盾霊器)』はその内側に仕込んであるので、魔法がガードされている理由までは分からないようで。



「ええ。これから熱砂の中ダンジョンへ向かうのです。探索者として事前準備は然と行わねばなりませんから」

「そ、そうですか……それではお気をつけていってらっしゃいませ」


ドヤ顔で堂々とした様子のディーに。

始めからこうしておけば良かったなあと思いつつも、ネクアさんにカードを使ってしまったことも。

なんやかんやで誤魔化し通せそうだったから、まあ結果オーライかなあ、なんて思っていて……。





               ※      ※      ※





この世界には色んなタイプの受付の人がいるんだなあと思い知らされつつも。

これはこれで勉強になったと。

それにより分かったこともあったと。

何事も無駄にはならないんだなあとしみじみしつつ。


『アリオアリ』の街の周りにあるピラミッド群で一際大きいなもの……ラーク王遺跡と呼ばれる場所へと早速向かう。

あまりの灼熱さに道行く人も少ないのかと思いきや、ラーク王の遺跡一階層は、観光地化しているようで。

砂漠地帯に適応としているラクダめいたテイムモンスターに引かれた幌場車が街とラース王の遺跡を行き来しているのが分かる。


俺たちは、そんな幌馬車の列に加わらせてもらいつつ、エルヴァにマイ馬車を引いてもらって。

改めてこの『アリオアリ』における第一と目されるかもしれないダンジョンへと突入していく。




「おぉ、街中よりよっぽど賑わってるなあ」



『スズーリア』砂漠内、ラース王の遺跡1F。

そこは、持ち込みらしきテントハウスが所狭しと乱立していて。

一見すると迷宮型のダンジョンのようになっていたが。

ワンフロアぶち抜きの大部屋……マップにはそう示されていた。


しかし、あらゆるもの、人が多すぎて2階層へ続くであろう階段表示が見つからなかった。

どうやら、2階以降へ向かうには階段を塞いでいるものを見つけ出し、

かつ『ディネン(掘削破道)』などで破壊できるギミックであった場合のみ押し通れるといった感じだろうか。

問題はそんな風に破壊する許しが出るだろうか、ということで。




「一度入って感じましたが、やはりこの辺り一体はダンジョンの方が過ごしやすいようですね」

「うん。ここの方が涼しいや。『アリオアリ』のみんなも普段はこっちで過ごしているのかな」

「ふむ。ここも『ユキアート』と同じく結局はダンジョンが中心、ということかの。わしは、探索者でもない有象無象に長く居座られるのは好かんがな」


ダンジョンのモンスターはダンジョン改変の時を見計らって移動するし、

探索者も基本同じ階層に留まることはあまりなかったから。

『ユキアート』のダンジョンとはまたは別の意味で新鮮なのだろう。

そう言う意味では、長らくチューさんのことを独り占めしているようなものだったけれど。

何だかんだでチューさんに選ばれただけあって、そんな俺のわがままは言うほど悪いものでもなかったようで。


口にはせずとも良い気分になりつつ。

『アリオアリ』の街以上に活気のある一階層を見渡し、これからについて口にする。




「さて。ダンジョンを攻略するにあたって第一である下層へ向かえる階段についてだけど」

「おいおい。いきなり攻略する気満々だなあ。一応ギルドで依頼受けているんだから、まずはそっちのすり合わせじゃないの?」

「ぱっと見た感じ魔物たちの気配はないみたいだけど」

「確かに、これだけ管理されているとなると、魔物たちが現れる余地は無さそうにも見えますね。もう一つの依頼の方はどうなのでしょう? 不明者の捜索と言うよりも、遺跡調査の手伝いといった様子でしたが」

「ふむ。恐らくじゃがそれら全てを解決してくれるのが……ほれ。あのへこんで2Fに侵食していそうな場所じゃなかろうかの。ダンジョン特攻の道具でもあるまいに、ああして掘削できるということはそう言う仕様なのじゃろうし」

「お、本当だ。あの辺りは1階のマップのビミョウに範囲外なんだな。成る程、中1階扱いなのか」



きっと、二階へ続く階段は中1階のどこかにあるというか、埋まっているのかもしれない。

それじゃあ早速向かおうか。

などとは、新しきダンジョンにがっつきすぎでしょうと言われかねないので。


凹んだ発掘現場に見え隠れする、遺跡調査をしているらしい人たちへと。

依頼の件も含めて話を聞きに行くことにして……。



    (第105話につづく)








次回は4月3日更新予定です。

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