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エンドロールには早すぎる~一万回挑める迷宮に棲まう主(まおう)は、マンネリ防止、味変したいと人様のダンジョンに突貫す~  作者: 大野はやと
メイン:エンドロール前

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第100話、魔王、初めて出会うタイプに幻惑、勘違いする




フェアリとユウキが言うように。

『デザビア』砂漠の『アリオアリ』と呼ばれるオアシスの街には。

お日様が天頂におわすといった時間帯の悪さのせいもあるのだろうが、あまり活気が感じられないようにも見えた。

もちろん、お日様による暑さもあるが。

この場合の活気とは、ダンジョンとともにあり、発展していっているかどうかである。



『リングレイン』のダンジョンマスター、魔王(俺)がそうであったように。

ここのダンジョンコア、あるいはマスターはダンジョン内のことばかりにかまけていて。

街のことは特段気にかけてはいないのかもしれなかった。

……それは、街側の方も然りで。



「この様子だと、探索者ギルド、ありそうかな?」

「うーん、どうだろう……って、あっちだ! いかにもな下の方が空いてる扉があるところ!」

「あ、砂風に混じってもじゃわさな草が転がっていっているね。これもらしい……のかな」



二人の言葉に従って、その視線の先を見やると。

幌屋根付きの馬車置き場らしきものもあったので、何かしらの店であるののは間違いないんだろう。

馬車自体アイテムボックスというか、『ポッジス(収納保存)』の中にしまってしまえるわけではあるが。

それはそれ、幸い空いていたので、駐めさせてもらって。

奥の方で縮こまっていて、中々外へ出る勇気が出ないでいるディーは一旦エルヴァにお任せして。

何かのお店らしく、一応開店はしていそうであったのでそのままお邪魔することにする。



入ってすぐに気づいたこと。

やはり、あまり外を出歩いている人がいなかったのは暑さと乾燥の影響であったのだろう。

扉を開けたその先には。それなりの数の人々で賑わっていた。

男女関係なく、厚手の外套を身にまとった人たちが掲示板、受付、酒場と思い思いに過ごしているのが見て取れたが。



「ん? なんじゃろうの。『ユキアート』にあったものとはようわからぬが違う気がするの」

「ああ、多分その違いはここが探索者ギルドじゃないからじゃないかな」



『アリオアリ』で発見した、探索者ギルドっぽい建物。

しかしそれは、チューさんがすぐに気づいたように、ダンジョンのあれこれを扱っている、

ダンジョン専用とも言える探索者ギルド管轄であろう所はなさそうに見えた。



「えっ? ここってギルドじゃないの?」

「いや。ギルドではあると思うよ。冒険者ギルド。ダンジョン……探索者ギルドじゃないってだけで」


正しく『リングレイン』の街がここ最近までそうであったように。

この『アリオアリ』ダンジョンのマスターは、やはりダンジョンのこと以外頓着していないのだろうか。

探索者専用のギルドがないということは、ここのダンジョンは探索者、勇者の受け入れ態勢が整っていないのだろう。


結果的に横合いからお邪魔させてもらった時もモンスターばかりであったのは。

あるいは俺のように自分たちだけで楽しみたいのか。

探索者ギルドがいらなくなるくらいに、ダンジョンとして機能していないのか。

リィアラさんの手前、後半のことはあまり考えたくないところではあるが……。




「……まあ、とにかく受付してみよう」


多分、ジエンみたいなダンジョンおバカとは違うんじゃない?

おバカとはなんじゃ、これでも座学はトップだったこともあるんじゃぞ、なんてユウキとチューさんの少しずれたやり取り。


今の今までは気づいていないふりというかマスコットなやりとりだと思っていたけれど。

やっぱりどこへいってもバリバリ目立っていたんだなあ、なんてつくづく思いつつ。


その間に、フェアリにお願いして取ってきてもらった依頼の紙を受け取りつつ。

お嬢様お姫様めいたエルヴァにかかえ抱かれるようにして何とかやってきたディー(鎧を剥ぎ取られた騎士さまめいていた)達が合流したのを確認しつつ。

普通に冒険者ギルドの受付へと向かうことにする。





「『アリオアリ』冒険者ギルドにようこそ。本日のご要件をお伺いいたしましょう」

「……っ」

「ああ、この遺跡の調査、稀に現れるモンスターの間引き依頼について聞きたいんだけど」


珍しい、と言うべきなのか。

空いていた受付の向こうには、俺より少しばかり年上な男性が座っていた。

女の子ばかりのパーティーにも取り立てて気にした様子もなく、淡々とした様子での対応に。

むしろいつものように俺の代わりに受付する気満々でいたユウキの方が二の足を踏む始末。


フェアリにはダンジョン関連の依頼があったら持ってきてほしいとお願いしていて。

そんな依頼書に目を通した俺は、その依頼を受ける前にと情報収集することにする。



「はい。こちらの依頼はCクラス以上のものですので、パーティー名『ジ・エンド・レギオン』の皆さんならば受託可能ですが……聞きたいことは何でしょう? お伺いいたします」


ついでに、探索者ギルドカードを提出しておくのも忘れない。

『ユキアート』にて魔王のダンジョン『リリー』に挑戦できたので、カードのクラスはBクラスにまで上がっていて。

ギルドの種類は違えど、使えるはずだと思ったら、そう言えばそんなパーティー名をつけたんだっけかと今更ながら気づかされつつも。

その点についても特にツッコまれることもなく、話早くそんな言葉が返ってくる。



「この遺跡って言うのは、あの外にあったピラミッド型の建物、ダンジョンってことでいいのかな?」

「はい。遺跡調査の依頼ですと、行き先は指定されますが、モンスターの間引きの方な場所指定はありません。複数ある『アリオアリ』遺跡、ピラミッドの発掘調査現場に稀に現れるモンスターの対処をしていただきます。その際、討伐証明部位の切り取りをお願いしています。その数、質によって報酬が支払われることになっています……が」



そこで受付の男性は言葉を止め、俺たちを一瞥する。

一瞬、魔物魔精霊、あるいは魔王であることがバレたのかと思いきや、どうもそうではないらしい。

どちらかというと、あまり陽の下に出ることがないと分かる女性陣を目の当たりにして果たしてモンスター退治の依頼ができるのかと疑っているようにも見えて……。



     (第101話につづく)









次回は、3月9日更新予定です。

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