男と女
むかし、むしか、あるところに仲の良いカップルがいました。
しかし、男が出来心で浮気をしてしまいました。
そんなある日の出来事です・・・。
扇風機の音だけだ響き渡る部屋で女はボソッとつぶやいた。
「あなた、浮気してるでしょ?」
女はそう言いながら、ゆっくりと椅子に座りながら話し出した。
「私知ってるのよ?あなた、会社の若い女の子と浮気してるんでしょ?一緒にホテルに入っていくの見たんだから・・」
女は睨みながら男にそう言った。
そう言われた男は、女に背を向けタバコを吸った。
男の心の中では、ピンチ警報が鳴り響いていた。
どうやって、ごまかそう、どうやってこの場を逃れようとフル回転で頭を使った。
男は、策を考え付き、ニヤッと笑い女の方を向いた。
「え?なに言ってるんだよ〜。僕が浮気するはずないじゃないか!じゃあ聞くけど、
そのホテルってどこのホテルなのさ?」
男はそう言った。きっとホテルの名前など、覚えてないし、曖昧だろうと思い、
攻撃を仕掛けたのだ。
「駅の裏のスーパー高橋の隣のラブラブキッス」
男は、冷や汗をかき、また女に背を向けた。
場所も名前も完璧に覚えていたとは、男はさすがに焦った。
しかし、男にはまだ策はあった。
「もう、いい加減にしなよ!僕は浮気なんてしないよ!じゃ、証拠はあるの?僕が浮気してるって決定的な証拠を見せて・・・」
そう男が話している途中に女は携帯を開き、一枚の画像を男に見せた。
その写真はあきらかに、自分が会社の女の子とホテルに入る瞬間の画像だった。
「はい、証拠」
男はまた女に背を見せた。
決定的すぎるよ・・と男は思いながら、またタバコを吸った。
「浮気してるんでしょ?隠しても無駄だよ?」
女はそう言って、じっと男を見ていた。
そして男はそれはそれは、立派な土下座をしたのであった。
おしまい、おしまい。
「ママ、もう終わり〜?このお話の続きは〜?」
「続きはね、その馬鹿な男は女にこっぴどく怒られて、今は真面目になったよ。」
「そうなんだ〜!馬鹿な男だね〜」
「そうね〜。あら、そろそろ、その馬鹿な男が帰ってくる時間かしらね」
「ただいまー。今帰ったよー。」
「はい、おかえりなさい、あなた」