7、ギルドマスターと師匠
ギルド内が混乱してしまった為に、俺達はギルドの応接間に通された。
「師匠!!久しぶりです!会えて本当に嬉しいです!」
「あぁ。立派になったなバングル。」
「それで師匠。この子は?」
「シンバの孫じゃよ。」
「えっ?シンバ様の...えぇぇぇーー!!」
バングルは俺の顔を見ながら顎が外れそうな程に驚いていた。
「あ、あの英雄のお孫さんだとは...。」
「ど、ども。初めましてクロムと言います。」
「それでバングル。わしらはしばらくフィッシュバーグに留まる予定なんだが...」
セバスよ...
急におじいちゃん見たいな喋りになってるぞ...
「そうなんですね。」
「ワシの冒険者カードはどうなるのだ?」
「師匠のカードは20年前のものですからね...。2ランクダウンしてBランクからでも大丈夫ですか?一応規則でして...。」
「全然いいぞ!むしろ好都合だ。あんまりランクが離れすぎてるとクロムと冒険できなくなってしまうからな。」
そういうのあるんだな...
覚えておこう。
「それで師匠は今日この後予定はありますか?」
「ワシは特に無いがとりあえず宿を取りに行って来ようかなと。なんかあるのか?」
「久しぶりに師匠と飲みたいなと...。」
「セバス。
俺に気にしないで飲みに行ってこいよ。
俺もこの街を探索したいからさ。」
「いいのか?」
「あぁ。久しぶりに会えたんだから積もる話もあるだろ?俺も色々としたいことあるし。」
「ではお言葉に甘えて。宿を一緒に取ってからにします。」
「セバス...言葉...」
セバスはハッとして言い直す。
慣れるまではもう少しかかるみたいだ。
「それでバングルさん。素材を買い取ってもらいたいんですが?」
「おぉ~。既にモンスターを討伐してこられたのですね!さすが英雄のお孫さん!!」
「その英雄の孫って止めてもらえませんか?
俺は俺ですし、俺だけの力で冒険していきたいのです。
だから俺の事はクロムと呼んでください!!後、俺に敬語は止めてください!
他の冒険者が見たら恨みを買いそうなので...。」
「わ、わかった。すまない。それで素材ってどこにあるんだ?」
「生活魔法の収納で納めて居るんですけど数が数なだけに...」
「どれくらいあるんだ?2、30体位か?」
「いや、レッドウルフが150匹ですね。」
「ひゃ、150...。」
「ちゃんと解体してあるので部位に分けて取り出せますし。」
「さすがとしか言えないな...わかった。
クロム。俺についてこい。師匠も一緒にどうぞ。」
俺とセバスはバングルに言われるがままついていった。そこはギルドの解体場。
モンスターが次から次へと解体されていく。
こういう光景も新鮮である。
「クロム。ここに換金する素材を順番に乗せていってくれ。」
「はい。」
俺はステータス画面を出して、骨、牙、肉、毛皮、内蔵、魔石と149匹分のレッドウルフの素材を出した。
1匹分は自分で調理して食べようと思って残しておいた。
解体場のスタッフが驚いていた
「いや~。この量を収納、解体出来るは圧巻だわ。
お前さんうちで働かないか?
なんてな。この紙をもって受付嬢の元に行ってくれ。」
俺はスタッフから紙を受け取ったがさっきの勧誘はマジだったな...
お金に困ったらバイトするくらいならいいか...と思いながらバングルとセバスの元に戻った。
そして受け付けに戻る。
さっきまでの混乱も収まりいつも通りのギルドに戻っていた。
他の冒険者はヒソヒソとしゃべっていたが...
「先程はすいませんでした。取り乱してしまいまして...。」
「いいんですよ。お嬢さん。お気になさらず。」
このジジイ美人の前だと紳士ぶるよな...
さっきまでワシとか言ってたくせに...
まぁセバスは独身だから何でもいいけどさ...
俺はそんな事しないぞ。
俺にはノエルが居るしな。
「すいません。これ...」
俺は解体場のスタッフからもらった紙を受付嬢に渡す。
セバスは受付嬢との話を中断されて、ジト目で俺を見てくるが無視無視。
あんまりそんな目で見てくるとセツナにチクるぞ...。
「お待たせしました。討伐報酬と素材の報酬で金貨14枚と銀貨4枚ですね。」
俺はその金貨と銀貨を収納に入れる。
どのくらいの価値なんだろう?
買い物していけばわかるだろう...
それから、俺とセバスはギルドを出て今日泊まる宿を取りに行った。
俺のわがままで部屋にキッチンがある部屋にしてもらった。
とりあえず一週間分の宿を取った。
素泊まりの為一泊銅貨50枚とのこと...
安いな。
これなら色々買えそうだ。
俺は荷物を全部収納で納めた為、セバスの荷物を置いて俺達は再び宿をでた。
セバスはバングルと飲みに行く約束をしていたので、ギルドの方に歩いていった。
遅くなってもいいからなと言って、
やっと俺の自由時間だ。
足が棒になるほど疲れていたのも吹っ飛んで俺はフィッシュバーグの街に繰り出すのだった。




