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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
最終章 嘘であって……
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最終話 「「ありがとう」」



「ーーきて……起きてよっ‼︎」



芹は布団で眠る京を必死に起こしていた



「お願いだから……目を覚ましてよ‼︎」



身体を揺さぶるが、京は反応を示さない。芹は京の手を握った。冷たい手を温めるように……



「私を……一人にしないでーー」

「ーーなに泣いてるんだ芹……」



寝起きの声で京は芹に問いかけた。今の状況に理解が追いついていないようだ



「う……うわぁぁぁん‼︎京さぁぁぁん‼︎」

「おわっ‼︎き、急にどうしたんだ⁉︎」



現状の理解が追いつかない京は芹に事情を聞いた



「ーーそれで俺が死んだと勘違いしたと」

「……うん」



芹の話だと、京が病気で死んでしまう夢を見た。そして隣で死んだように寝ている京を見て、夢と現実がごっちゃになってしまったらしい



「京さんの手も冷たくて……本当に死んだのかと」

「まあ()()に手だけ外に出てたからな。それで冷たくなったんだろ」



そう。季節は冬になっていた。秋から同棲を始めて、もう三ヶ月近く経過していた



瑠奈は今まで通りくらしている。ただ最近、たまに美穂から連絡がくることがあるらしい。内容はたわいもないことで、自分のことに関して話してくれることはないそうだ



菜由は新しく子供を妊娠したと聞いた。子供が増えることを楽しみにしていて、菜由は女の子を、鷹斗は男の子を希望しているらしい



香織は諒太との関係は順調に続いており、あちらも最近同棲生活を始めたみたいだ。今は諒太が代わりに返済したお金を稼ぐためにパートの仕事を続けているそうだ



そして白瀬はーー



「そんなに冷たくなったなら、私が温めてあげましょうか?」

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」」



ーー未だに京のストーカーを続けていた



「香奈宮先輩‼︎いつからそこにっ‼︎」

「んー?二人が寝てからすぐかな?」



玄関の扉は二重ロック+チェーンを施し、ガラスは防犯ガラスを使用。どこからも入れないようにしていたはずだが……白瀬の前では無意味だった



「芹ちゃんも甘いよねぇ。この程度の防犯じゃ簡単に突破されちゃうよ?」

「この程度って……十分すぎるぐらい対策してるはずなのに……てか、なんでまだ京さんのストーカーしてるんですか⁉︎私達のこと、応援するって言ってましたよねぇ‼︎」



芹は夜中だと言うのに大声で叫んだ。……防音にしておいて良かった……



「言った言った。でも、ストーカーをやめるとは言ってないよ?」

「はあ?」



白瀬の主張に首をかしげる芹



「てか寒っ‼︎私も布団に入れて!」

「お、おい!」



白瀬は京を少し押して、布団に潜り込んだ。京は白瀬と芹に挟まれる形となった



「香奈宮先輩‼︎出てって下さいよ‼︎」

「んー……分かった分かった……寝て起きたら出て行くよ」

「出て行くっていうか会社行かないとダメだから出てくだけでしょ⁉︎」



芹は布団から飛び起き、白瀬を布団から出るように引っ張り始めた



「出てけぇ‼︎」

「嫌だね!どかせられるものならどかしてみな!」



そして白瀬はガッチリと京に抱きついた



「お、おい!」

「……温ったかぁ」

「あー‼︎もう怒った‼︎何が何でも引きづり落としてやる‼︎」

「出来るものならやってみな!京先輩ごと落ちるだけだけどね!」



芹はキッチンへと向かい、そして……包丁を手にしていた



「どかないと刺しますよ‼︎」

「出来るものなら刺してみなよ!」



白瀬は芹にそんな度胸がないと考え、動じることはなかった



ーーザクッ



「……え?」



白瀬の背中には刃物が刺さっていた



「……どかないと刺しますって言いましたよね?……だから刺したんですよ」

「う……そ……芹……ちゃんーー」



「ーーていう夢を見たんですよ」



今までの内容は全て白瀬の夢の話だった



「……いや、早く帰ってもらっていいですか?」

「えー?なんでぇ?」

「もう私達眠いんですよ……今深夜の一時ですよ?」



芹と京は眠い目を擦りながら、白瀬の話を聞いていた



「明日は休みなんだしいいじゃないの!」

「よくありませんよ。明日は京さんと結婚式場の見学に行くんですから……」

「えっ?そうなの?」



今までの白瀬ならそれぐらいの情報を得ていたはずだが、芹と付き合い始めて以降、白瀬が京にストーカーをすることはなくなった為、知らなかったようだ



「そうなんだ……もう結婚するのかぁ」

「って言っても、来年の夏ぐらいだけどな」



もう既に、芹と京は結婚する段階まで話を進めていた



「盛大にするんですか?」

「いや、お互いの親族だけ呼んで済ませるつもりだよ」



京は父親と母親、そして菜由と鷹斗。芹は香織と諒太が参加することになっている



「へぇ……てことは私は参加出来ないのかぁ……」



白瀬は少し寂しそうにしていた



「ううん。香奈宮先輩も来てもらえると嬉しいです」

「……え?」

「元々、白瀬さえ良ければ来てもらおうと思ってたんだ」



芹は白瀬の手をとった



「私の一番のライバルは香奈宮先輩だったけど……私のことを一番応援してくれたのも香奈宮先輩です。だから……来てほしいんです」

「芹ちゃん……」

「……俺たちは白瀬のおかげでここまでこれたんだ」



「「ありがとう」」



二人から贈られた言葉に、白瀬は涙ぐんだ



「……もう。急にやめてくださいよっ」

「あれ?もしかして泣いてます?」

「っ泣いてない‼︎」



白瀬は泣いた痕跡を消すように涙を拭き取った



「……いいですよ。私も参加させて下さい。二人の門出を祝うのに、私がいないなんてありえませんもんね」

「……ありがとう。白瀬」

「いえいえ。私の方こそ、参加させてもらえて光栄ですから!」



白瀬は時計の方をチラッと見た



「……そろそろ帰りますね。明日……じゃなくてもう今日ですね。眠気が響いても悪いですから」



白瀬は玄関へと向かい、靴を履いた



「……じゃあお休みなさい」

「おう。お休み」

「お休みなさい。香奈宮先輩」



白瀬は外に出ていき、そして扉が閉まった……



「……寝るか」

「そうですね」



二人はベッドに入った。同じ布団にくるまりながら、二人向かい合わせの体勢だ



ーー布団に入ってから一言も喋ることなく、二人とも目を閉じて、しばらく静寂が流れた。が、ここで芹が口を開いた



「……京さん」

「……ん?どうした?」



二人は閉じた目を開き、見つめ合った



「……死んだりしませんよね」



唐突な芹の言葉に驚いた様子の京



「さっきの白瀬の夢のことか?」

「……はい。それで少し怖くなっちゃって……」



肩が震えているのが分かる。これは寒さからくるものではなく、怯えからきていた



「京さんのいなくなった生活を考えると……怖くてーー」

「ーー大丈夫だ。死なないとは言わないけど、頑張って芹より生きてみせるから」



京は芹をグイッと近くに引き寄せた



「……約束ですよ?私……一人にはなりたくないですからね?」

「……うん。約束だ。ちゃんと守ってみせるから」



ーーそして二人は……キスを交わした



「んんっ……んっ……んはぁ……」



長く続いたキス……芹は少し息切れを起こした



「もう……京さんって毎回キスの時間長すぎません?」

「そ、そうか?自分では分からんが……」

「長すぎです……ふふっ……まあ長い方が嬉しいんですけどね!」



芹は京の首回りに腕を回し、身体を密着させた



「……京さん。私……幸せですよ?」

「……ああ。俺もだ!」

この作品はこれで終了です!読んで下さった皆様、本当にありがとうございました‼︎結婚風景まで描こうか迷いましたが、ここで終わりにさせて頂きました


改めて、ここまで読んで下さった読者の皆皆様。本当にありがとうございました!




実はまた新しい作品を書き始めました。もう既に一話は投稿されているのでそちらもチェックして頂けると嬉しいです!



タイトルは『少子化対策として結婚についての法律が改正されたのだが、そのせいで私達は一人で愛せなくなりました』です!



この作品のテーマは『一夫多妻制』です!

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