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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
最終章 嘘であって……
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第79話 俺は……



「お前なんかに、芹がついていくわけないだろ」



辰馬と芹の間に割って入ったのは京だった



「んだよ……邪魔してんじゃねえよ」

「邪魔するに決まってんだろ」



頭をポリポリとかく辰馬



「何今更父親ぶってんの?十八年間も放棄してさ」

「それはお前がーー」

「俺のせいでもあるけどお前のせいでもあるだろ?」

「ぐっ……」



ーー俺があの時、香織の事を考えていたら……お腹の中の芹の事を確かめていれば……この十八年間、芹の父親としていられたのかもしれない……



「ーー今からでも遅くない。俺は()のために出来ることはちゃんとしてやるつもりなんだよ」



京は、芹のことをとうとう娘と呼んだ……()()()()()()()……



「……どいて」



芹は京を払いのけ、辰馬の方へと歩く



「おい何してる⁉︎」



京が芹の腕をとっさに掴むもーー



「……っ離してっ‼︎」



と、腕を払いのけた



「……私が決めたことなの。だから……()()()()は邪魔しないで」



芹は初めて京のことをお父さんと呼んだ



「ま、待てっ‼︎絶対に行かせない!」

「……離してって言ってるでしょ?」



京は振り払われた手を伸ばし、再度芹の腕を掴んだ



「どうして行こうとする⁉︎何か言われたのか⁉︎」

「……何もない」

「弱味でも握られてるのか⁉︎なら俺が何とかしてやるから‼︎」

「……何もないっ」

「俺がお前を守ってやるから!だからーー」

「ーー何もないって言ってるでしょ‼︎」



芹は怒鳴った。今まで見たことないほどに……



「……この人には何もされてない。正直、ついていく理由もない」

「ならっ……!」

「でも……私にももう……()()()()



虚ろな目から涙が溢れる芹



「何も残ってない私が、お母さんの役に立てるんだから邪魔しないで」



と、手を振りほどこうとするが、京の手は芹を離さなかった



「……話聞いてた?邪魔しないで」

「……ごめん」

「……何急に謝ってるの?」

「いや、芹にじゃない。……俺は俺自身に謝ってる」



京の目にも涙が浮かんでいた



「嘘ついてた。自分の気持ちに……ダメだからって。それは許されないからって……でも、もう疲れた……」



京は涙を拭い、芹の腕を引いて抱き寄せた



「……もう嘘なんかつかない。俺は……()が好きだ」



芹を抱く力がギュッと強くなる



「何もないって思うなら、俺が造ってやる。父親としてじゃなく、恋人として」

「……ぅぅ……うん……うん……‼︎」



芹も京の背中に腕を回し、ギュッと抱きしめた



「……茶番だなぁ」



と、二人に水を指すように辰馬は呟いた



「何が恋人としてだ。お前は父親だ、紛れもなくな。どう頑張ったって恋人同士になれやしない」

「……違うな。確かに俺は芹の父親なのかもしれない……だから何だ?」



京の目は覚悟に満ちていた



「確かに結婚は出来ない。でもそれだけだ。形式なんてどうでもいい。芹と一緒にいれるならそれでいいんだよ」



芹が娘だと明かされた時からの目ではない。守るものが出来たものの目をしていた



「……っ!せ、芹は結婚出来ないの嫌だろ!子供も出来なくて辛い思いするのはお前だぞ!」



今の京を言いくるめることは出来ないと察した辰馬は狙いを芹に変えた



「……いいよ。京さんと一緒にいられるならなんだって」



虚ろになっていた芹の目も、今は希望の光に満ちていた



「はっ……ははっ……なんだよそれ……」



辰馬は今の二人を見て、引きつった笑いを取ることしか出来なかった



「あ、それと一つ」



芹は辰馬の方を指差した



「気安く名前で呼ばないで。最低野郎」



と、辰馬を罵倒した



「……あーあ。もうちょいで上手くいったのになぁ」



大きな舌打ちをし、地面に転がっていた石を蹴り飛ばした



「……もう一回だけ聞いておく。ついてくる気は無いんだな?」

「……ないよ。お金は頑張ってコツコツと返すから」

「はぁ⁉︎だから返さなくてもいいって!」

「ダメ。京さんが良くても私とお母さんがダメなの」



辰馬は大きくため息をついた



「……はぁ。もういいわ。ならもう()()必要もなくなったし」



辰馬の言葉に引っかかりを覚える芹と京



「騙すって、何を騙してたんだ?」

「……なに簡単な話だ」





「お前らは本当は親子なんかじゃないってだけの話だよ」



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