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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
最終章 嘘であって……
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第78話 提案……?



「ーーお疲れ様でした」



仕事を終えた芹がカバンを持って立ち上がった。京はまだ目の前で仕事をしており、目が合ったが、すぐに気まずそうに逸らされた



「……あ、私も帰るから一緒に帰らない?」

「いえ、少し寄るところがあるので一人で帰ります……お疲れ様でした」



と、白瀬の誘いを断り、足早に会社から出ていった芹



「……京先輩。芹ちゃんに何を言ったんですか?」

「……何も」



誰の目から見ても明らかなほど、京は強がっていることは分かっていた



「……嘘つきだなぁ」



ーー芹は足早に家に帰っていた。用事があるというのは、白瀬の誘いを断るための嘘で、実際は何の予定もなかった



「……情けないなぁ。覚悟決めたはずなのに……」



歩きながら落ち込む芹。香織、菜由にあれだけ啖呵を切っておいて、京の一言で打ち砕かれてしまったのだから



このまま彼女にしてもらうためにアプローチを続けるのか、それとも諦めて娘として振る舞うのか。……はたまた、もうこのままただの仕事仲間という立ち位置でいるのか……



何が正解か分からない……そもそも正解はあるのか?



と、そこに突然後ろから肩をポンポンと叩かれた



「よぉ。芹」



振り向くとそこには辰馬が立っていた



「……何?」

「お、もっと嫌がったりするのかと思ってたが」

「十分嫌だよ。全く()()()()()おじさんに触られるのなんて」



辰馬と血の繋がりがない以上、芹にとって辰馬は無関係の人間でしかない



「まあそういうなよ。育ててやっただろ?……例えば」



と、肩に置いた手が胸に向かっていく



「……それ以上動かしたら、警察呼ぶから」



芹の脅しに対し、辰馬は手を離した



「おー怖っ。まあいいや。お前に用があってきたんだ」

「嫌」



と、芹は即断りを入れた



「まあそう言うな。お前にとってもいい話を持ってきたんだ」



どうせロクでもないことだとは分かっていたが、このまま粘着されるのは嫌……



「……何よ」



面倒ごとになると困るので、芹は話を聞くことにした



「香織、借金あんだろ?」

「……おじに聞いたの?」

「ああ。あのクソジジイとはまだ繋がりがあってな。その借金をあのクソイケメン野郎が払ったのも知ってる」



香織の借金の件はおじから聞いたようだ



「そんで香織がクソイケメン野郎にお金を少しずつ返してるのも知ってる」



白瀬並みの情報収集力に少し動揺する芹。……この男はどこまで知ってるのだろう……



「……その借金を俺が肩代わりしてやるっていう提案だ」



辰馬の提案を聞いても未だ冷静な芹



「どうせ見返りを求めるんでしょ?」

「話が早くて助かるな。その通りだ」



芹は見返りを求められることを想定していた為、辰馬の提案を聞いても冷静でいた。もし、無償で提供すると言われていれば、色々と勘ぐってしまうが、最初から目的が分かっていた為、冷静でいることが出来た



「お前には、身体を売って稼いでもらう」



……芹は無言で辰馬の言葉の続きを聞く



「借金分稼ぎ終わったら、やめてもいいし、そのままお金を稼いでもいい。お前のレベルなら、客はいっぱい来るだろうし、その気になれば二週間程度で稼ぎ切れるだろうよ」



香織の借金は一千万。京が返さなくてもいいと言っていることは知っているが、返さない訳にもいかない。かといって、生活を続けながら一千万返すには何年かかるかわからない



それが数週間で返せるかもしれない……



「どうする?」



芹の中で答えは決まっていた



「……いいよ」



芹は辰馬の誘いを受けてしまった



「ほぉ……嫌がると思ってたんだがな」

「別に……お金稼げるなら何でもいいよ」

「……そうか。なら一緒に来い」



辰馬は芹に手を伸ばした



芹の目は虚ろになっていた。目に光が差し込んでいない。何もかも諦めている顔だった



ーーもうどうでもいい……考えるのも……疲れた



どうせ何をしたって私は……京さんには振り向いてもらえない……



彼女にしてもらえない……お嫁さんにしてもらえない……女としてみてもらえない……



ーーじゃあ……もういいや



何もかもを諦め、人生に絶望した芹は辰馬の手を掴もうと手を伸ばす





「ーー行くわけないだろ‼︎」

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