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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第十章 変わった日常2
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第70話 教えたっけ……?



「どういうことか説明して下さい‼︎」



三人は京の家に戻り、芹は白瀬に事の経緯を聞くために詰め寄った



「どういうことかって言われてもねえ……見たまんまだよ。京先輩の隣に引っ越しただけ」

「昨日引っ越してきたって言ってましたね?てことは京先輩がここに引っ越してくることを知ってたってことですよね?」

「うん」



芹は京の方に向いた



「なんで香奈宮先輩に教えちゃったんですか⁉︎」



京の服の襟を掴み、前後に激しく揺らした



「ま゛っでやめで‼︎首とれ゛るとれ゛る‼︎」



30秒ほど揺らされたのち、京は話し始めた



「……俺教えたっけ?」

「教えてもらってないですよ」

「え?じゃあなんで……」

「やだなぁ……最近忘れられがちですけど、私は京先輩のストーカーですよ?」



そうだった……最近近くにいることが多くなって忘れていたが、白瀬はストーカーだった……



「不動産屋に案内されてる所をストーカーしてたから知ってるんですよ」



悪びれる様子もなく答える白瀬。これほど堂々としたストーカーは今まで存在しただろうか……



「……京さん。そろそろストーカーの被害届け出して、この人捕まえてもらいましょうよ」

「そうだなぁ……確かに捕まった方が白瀬の為にもーー」

「ダメですよ‼︎私何も悪いことしてないのになんで通報しようとしてるんですか⁉︎」



白瀬は自身が悪いことをしている自覚はないようだ



「バカですか‼︎ストーカーは立派な犯罪です‼︎」

「違いますぅ!私のやってるストーカーは京先輩を色々な脅威から守る為にやってるから大丈夫なんですぅ‼︎」



白瀬は犯罪者がストーカーしていることが警察にバレた時にするような言い訳を並べた



「そうやって言い訳して!京さん!やっぱり通報しましょう!」

「うーん……」

「悩まないで下さいよ!京先輩も芹ちゃんを止めてくださいって!本当に捕まっちゃうから!」

「ほら!やっぱり捕まるって自覚あるんじゃないですか‼︎」



電話に手をかけようとする芹を食い止めようと必死に抵抗する白瀬。その姿はまるで、離婚を言い渡された夫が、妻に「出て行かないでくれー‼︎」と懇願する様子にそっくりだった



ーー五分間そんなやり取りをし、なんとか芹を落ち着かせることが出来た



「や、やっと落ち着いてくれた……」

「落ち着きはしましたけど……許した訳じゃないです」



被害に遭ってる京よりも、芹の方が怒っているという……京も白瀬と同様、自身を軽く見ている節があり、芹自身もそのことに気がついていた。その為、芹は京に何かあった時は、自分のことのように振る舞おうと決めているのだ



「……でももう引っ越してしまったものは仕方ないです。凄く本当に本気で絶大的で絶望的に嫌ですが……」

「うん。殺意を感じるぐらい凄く嫌がってるのが伝わってくるよ……」



芹の持つコーヒーカップにヒビが少し入ったことを見逃さなかった白瀬。今、芹を煽ることに身の危険を感じた為、白瀬はおとなしくすることにした



「はぁ……私は最近二人っきりになる機会が減ってるのになぁ……京さんが引っ越しちゃったせいでさらに機会が減っちゃうよ……」



机にうなだれ、ため息を吐きながら呟く芹。そんな元気のない芹の姿を見かねたのか、京は提案した



「なら、明日は飯でも食べに行くか?」

「……っはい‼︎行きます‼︎」

「あ、ずるい!わたーー」



ギロッと睨まれる白瀬。あまりの迫力に腰を抜かしてしまった



「あ、ああ〜あしたはよていがあるんだったぁ……ざ、ざんねんだなぁ」



棒読みで喋る白瀬。棒読みになってしまうほど、芹の睨みが効いたということだろう



「えー。そうなんですかぁ?残念ですぅ」

「……思ってないくせに」

「えー?何か言いましたぁ?」

「い、いえ何も言ってないです……」



もはや芹と白瀬の立場は逆転しつつあった



「じゃあ明日!楽しみにしてますね!」

「おう」



ーー 一方その頃……とある男性が不動産屋を訪れていた



「いらっしゃいませー」

「あの……この街で住める家を探してるんですが……」

「分かりました。ご希望とかはありますか?」

「出来ればマンションがいいんですが……」

「分かりました。そこに腰掛けて少々お待ち下さい」



と、店員は何枚か紙を持って、男性の前に並べた



「マンションですと、候補はこちらになりますね」

「なるほど……」



ページをめくって家の候補を探す男性。ーーと、ここで一つ、男性は目を疑うようなことが書かれていた



「あの……」

「はい?何でしょうか?」

「このマンションのこの部屋だけ……家賃が1000万になってるんですが、これは間違いですか?」

「いえ、こちら。正真正銘、1000万円します」



他の部屋だと5〜8万程のマンションなのだが、別格に家賃の高い部屋が一つだけあった



「こ、これはなぜ1000万も?間取りとか部屋の大きさとか、立地的にも1000万だなんていくらなんでも高すぎるような……」

「そうですね……ただこの部屋が高いのは()()()()がありまして……」

「そ、それは聞いてもいいですか?」

「……はい。実はですね」



男性はゴクリと息を飲んだ……



「前に住んでいた男性が……超絶イケメンだったらしいんです」

「……」

「……」

「えっ?それだけ?」

「それだけです」

「他には?」

「高くなってる理由はこれだけです」



二人の間に沈黙が流れた……



「常軌を逸してる……」

「……間違いないです」

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