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第61話 白瀬の裏切り……?



「……くそっ!繋がらないっ‼︎」



社長への電話は繋がらない。商談の為に電源を切っているのだろうか……



「なら白瀬にっ‼︎」



……電話をかけるも応答がない。白瀬は京からかかってきた電話に出なかった時は一度もなかったのだが、こんな大事な時に限って白瀬は出ることはなかった



「なんでだっ‼︎……仕方ない。芹にかけるしかないか……」



京は直接芹に電話をかけることにした。芹に伝えても、対策が組めるかどうかはわからないが、何も伝えないよりはいい……



「……もしもし。どうしました?」

「芹!出てくれてよかった‼︎」

「えっ、えっ?な、なんですか?どうかしたんですか?」



京はテレビ関係者達が会社に向かっている事を伝えた



「ほ、本当ですか⁉︎」

「ああ。嘘じゃない。しかもタチが悪いのが、それが生放送ってことだ」



録画ならば、まだ何かしら手を打つことが出来る。……それでも絶望的なことに変わりはないが……



だが、生放送となれば、映ってしまえばもう取り返しのつかないことになってしまう



「どどどどうしましょう‼︎」

「落ち着け!社長か白瀬はいないのか?」

「社長は分からないです……でも、香奈宮先輩は出勤はしてるんですが、今日は一回も見てないんです……」



正直、一番頼りになる白瀬が見当たらないのは誤算だった



「仕方ないか……部長に訳を話して、今は隠れるしかないな……」

「兄さん!」



菜由の焦る声が聞こえた



「もう会社の前にテレビの人達がっ!」



テレビ画面には確かに京達の勤める会社が映っていた



『ここが、その女性が勤める会社のようですね。中に入ってみましょう』



と、許可を得ることなく中に入っていくテレビ関係者達



「芹!急いで部長に訳を話して隠してーー」



と、京の言葉が止まった。テレビ画面には、白瀬が映っていたからだ



『あ、すいません!少しよろしいですか?」

『あ、はい』



会社の建物の前になぜか居た白瀬がテレビ関係者に話しかけられた



『この街には噂の超絶イケメンの男性がいると聞いたのですが、それは本当ですか?』



インタビューアーにマイクを近づけられる白瀬。白瀬なら、ここで否定してくれるはず……



『はい。いますよ』



と、京の考えとは裏腹に白瀬は認めてしまった



『そ、その方は今どこに⁉︎あとお名前は⁉︎」

『あ、いや、それはちょっとお答え出来ないです』

『で、では付き合っている女性について教えて頂けませんか?』

『それなら……はい』



「白瀬……嘘だろ……」



裏切られた……?白瀬は何があっても隠し通してくれると思っていた



「あの子……何考えて……」

「き、京さん!わ、私はどうすれば……」



電話越しでテレビの音が聞こえていた芹も慌てはじめた



このまま白瀬が何もかも喋ってしまえば、何もかも無駄になる……芹が隠れたとしても、それは無意味だ



「……なんでこんなことに……」






……俺は白瀬を呆れさせていたのかもしれない



誰を選ぶか答えを出さず、覚悟も決めず……ただひたすら延々と答えを出さずに誤魔化し続けていることに



……俺は白瀬を頼りすぎていたのかもしれない



栁内家の張り紙騒動の時も、芹と香織が誘拐された時も、白瀬が何か効果的な事をしてくれると……負担をかけていたのかもしれない



……俺は白瀬を傷つけすぎたのかもしれない



何年もアプローチを続けて築いた物を、出会ったばかりの芹、何十年も前に別れた元カノに軽々と越えられたことに……



……全部、俺のせいだ





『……名前は()()() ()()。26歳で、超絶美女で……あー、なんていうか、私がその噂の男の彼女です』



「はい?」

「えっ……」



芹と京は固まった



『で、でも噂の女性は40歳の母親を持つ娘と聞いています!年齢的に合わないのでは?』

『それは私の母が義母だからです。私は父親の連れ子だったので、年齢的におかしくても何ら不思議は無いと思いませんか?』

『た、確かに……」



軽快にインタビューアの言葉に返答する白瀬。焦りの様子もなく、何も知らない人達から見れば嘘には聞こえない



『あ、すいません!こちらもう時間が迫っているので中継を切りますね』

『あ、はい分かりました!で、では今から彼女から詳しく話を聞いて、明日また番組内で聞いた事を報告したいと思います』

『はい。ではよろしくお願いします』



と、そこで中継は途切れてしまった……



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