表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/90

第59話 菜由からの激励……?



「美味しー‼︎」



時雨の喜ぶ声が上がった



六人での生活初めての食事。芹の希望で作ったハンバーグをみんなで食べていた



「これ!おばさんが作ったの?」



と、時雨は香織の方を向きながら言った



「おばっ……‼︎ち、違うよ。私じゃなくて、そこのお姉さんが作ったの」



おばさんと呼ばれ、香織は眉をピクッと動いた



「ふふっ……や、やめなさい時雨……し、失礼ふふふっ……でしょ?」



菜由は、香織がおばさん扱いされたことがツボに入ったのか必死に笑いを堪えながら時雨を叱った



「いずれ皆んな迎えるの!私が先に迎えただけでしょ‼︎」



香織も意外と歳の事を気にしているようだ……



「あはは……あ、京さん。ハンバーグの味付けどうですか?」

「うん。ふっくら仕上がってるし、肉汁もたっぷりで美味しいよ」

「喜んでもらえて良かったです!」



芹も箸を持ち、食べ進める



「でも、本当に美味しいね。何か工夫でもしてるの?」

「いっぱいしてますよ!私、昔からハンバーグが大好きで、たくさん練習してたんです!あ、あとでお教えしましょうか?」

「本当に⁉︎時雨も美味しそうに食べてるから助かるわ!」



菜由と芹は今日初めて会ったばかりとは思えない程、親睦が深まっている様子だ



京はその様子を見て、少しホッとしていた



ーー食事を済ませ、食べ終わった物を片付け始めた



「おじさん!続き続き!」

「あー、はいはい。分かってるよ」



と、京はまた時雨に連れられ、二階へ上がった



「京さん懐かれてますね」

「まあ、お正月とか実家に帰るときとか、一番時雨の相手をしてくれてるからね。やっぱり構ってくれる人に子供は懐くものなのよ。ねえ鷹斗?」

「うぐっ……」



またも菜由に確信を突かれた様子



「俺も結構遊んだりしてやってるはずなんだけどなぁ……」

「足りないってことなんじゃない?」

「うーん……よし。菜由。今日は俺が時雨を風呂に入れるよ!」

「はーい。じゃあ頼んだわね」

「おう!」



と、意気込んだ鷹斗も時雨のいる二階に上がっていった……



「さて、芹ちゃん。食器を洗うの手伝ってくれる?」

「あ、はい!」

「……香織さんは、調味料直すのとテーブル拭いてもらっていい?」

「分かったわ」



スポンジに洗剤をかけ、泡立てる。六人分ともなると、台所いっぱいに食器が置かれている



「菜由さん。鷹斗さんに厳しくないですか?」

「いいのいいの。あれぐらい普通だから」

「で、でも!き、嫌われちゃうとか考えないんです?」

「考えないよ」



菜由はキッパリと言った



「どうしてです?不安になったりしないんですか?」

「だって、鷹斗は私の事を好き過ぎるからね」



恥ずかしがることもなく、菜由は言った



「だから私は鷹斗を信頼してるし、浮気してるなんて疑ったこともないよ」



菜由は鷹斗のことを全面的に信頼している様子だった



芹は羨ましそうにした。鷹斗と菜由の信頼関係は、芹が憧れるものだった



「…….まあでも、もし浮気してたら……()()()()()かもね……」



不敵な笑みを浮かべる菜由



その頃……



「はっ‼︎」



鷹斗は股間を咄嗟に押さえた



「どうした?股間なんか押さえて」

「あ、いや……なんか股間に殺気を感じて……」

「はぁ?」



菜由の殺気を鷹斗は感じ取っていた



「覚えておいて芹ちゃん。結婚はね、お互いを信頼し合って成り立つもの。100%相手を好きになることなんて出来ないの。どんなに相手を好きになっても、やっぱりどこかに嫌いな部分はあるもの。私だって鷹斗のことは大好きだけど、トイレのドアを開けっ放しにするところとか、エアコンを点けっぱなしで寝ちゃうとことか不満に思う部分もある」



菜由は食器を洗いながら語る



「さっきも言ったけど、100%好きになることは出来ない。でもね、100%信頼することは出来るの。だからね、もし兄さんと結婚するってなった時、兄さんの全てを好きになる努力をするんじゃなくて、信頼することを頑張りなさい」



と、真っ直ぐな眼差しで菜由は言った。茶化しなどではない。菜由からの純粋なアドバイスだ



「まあ気が早いかな?芹ちゃんはまだ18歳だし、もっと若い子と付き合うのも一つの手だと思う。まあ兄さんよりいい男を探すのはすごく難易度が高いことだけどね」

「……確かに。でも、たまに思うんです」



芹は少し悩んだ表情で語る



「私なんかが、京さんと関わってていいのかなって……優しいし、何よりあんなに人気だし、カッコイイし……私じゃ不釣り合いだなぁって……」



芹は駅やタクシーの時の出来事でその気持ちがさらに強くなっていた



「大丈夫。兄さんはね、あなたと会ってから変わったと思う」

「……私と?」



菜由は食器を洗い終え、手を洗った



「スーツを借りに来た時だって、昔ならわざわざ女の子の為にそんなことしなかったし、今みたいに女の子に囲まれるような状況になったら逃げ出したりしてた。だから私はね、あなたに感謝してるの」



菜由は洗った手を拭い、そして芹の頭に手を置いた



「ありがとね。兄さんを救ってくれて」



菜由は置いた手を左右に動かし、芹の頭を撫でた



「……私、自信持っていいんですかね?」

「いいよ。今の兄さんの一番は間違いなく芹ちゃんだから。私が保証してあげるよ」



芹の中で迷いは消えた



「私、頑張ります!絶対誰にも!京さんは渡しません!」

「うん!その意気だよ!」



改めて芹は自身に気合を入れた



「……芹は強くなったのね」



机を拭く香織は小さな声で呟いた


次回は番外編出します。京の芹と出会う前のバレンタインの日の話です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ