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第56話 菜由の気苦労……?



「あ、ちょっと待ってください!今、ネットの記事で京さんについてのことが書かれてます!」



白瀬は記事の内容を読んだ



「その噂の『超絶怒涛のビューティフルイケメンフェイスの男』は隣に住む女性二人と親交が深い模様……って書かれてます」



隣に住む女性二人……ということはこの二人とは芹と香織のことを指していた



「あぁ……あなたが……スーツ忘れた人なのね」



京が芹と初めて出会った日、次の日に入社式を控える芹はスーツを忘れたのだが、それを京が菜由に頼み込み、スーツを貰ったのだ



「あ、あの時はありがとうございました‼︎本当に助かりました‼︎」

「別にいいよ。でも、社会人なんだからしっかりしなさいね」

「は、はい!」

「……あれ?」



菜由はとあることに気がついた



「あなた……兄さんの隣に住んでるの?」

「……そうですけど」

「てことは……あの人の知り合いなの?」



菜由は香織の方に指をさしながら言った



「はい……栁内 香織の娘の栁内 芹と言います」



菜由は驚きの表情を浮かべた



「娘⁉︎に、兄さん‼︎兄さんはもしかして元カノの娘に手を出そうとしてるの⁉︎」

「いや、手出してないから」

「私はウェルカムなんですけどね」

「お前まで白瀬みたいなこと言うなよ……」



白瀬のようなキャラが二人もいれば京の身体はもたないだろう



「まあなんだ……驚くのも分かるけど、とりあえずその話は置いといて、芹達も帰れなくなったか……」



このような情報が回ってしまった以上、二人にも変に火の粉が降りかかるかもしれない。二人も家へ帰ることは難しくなってしまった



「ならお二人もしばらく泊まっていくと良いですよ!」



と、今まで話についてこれていなかった鷹斗が口を挟んだ



「そ、そんなのダメですよ!会ったばかりの人にそこまでしてもらうのは……」

「確かに俺は初対面ですけど、菜由とは知り合いみたいですし、別に問題ないですって!なぁ菜由?」



鷹斗は菜由の方を見ると菜由は凄く怪訝な顔で鷹斗を睨んでいた



「えっ……なにその「こいつ……余計なことを……」みたいな顔してるの?」

「みたいなっていうかその通りなんだけど。……まあ仕方ない……いいよ。芹ちゃん。……香織さん。しばらく泊まっていって下さい」



菜由は一つ溜息をつきながら言った



「……いいの?菜由ちゃん」

「勘違いしないで下さい!あなた達の為ではないです。兄さんの為です。少しでも兄さんの存在を隠し通す為の選択をしただけです」



確かに今帰れば、間違いなくテレビ関係者達から質問責めに遭うだろう。ちょっとでも京の事を隠し通す可能性をあげるならばこれが最善の選択だろう



「じゃあ私も……」

「あ、あなたは隣の家の人じゃないみたいですし、噂されてもないし、僕もそうですが、菜由とも初対面みたいなのでダメです」

「ええー‼︎私だけ仲間はずれなの⁉︎」

「仲間はずれって……」

「もういいもん!私だけ除け者扱いしてっ‼︎」



白瀬は拗ねて玄関まで駆け足で去っていった……と、思いきや



「あ、この問題に関してまた自治体内で会議をして対策案を考えるので、また連絡しますね」

「あ、あぁ……」

「自治体?何の自治体なの?」

「あ、菜由さんは知らないんでしたね。『赤坂京保護自治体』。メンバーはこの街全ての女性です」

「へっ?」



菜由には珍しい、トボけたような声を出した



「分かる……分かるよ菜由。俺も最初聞いた時そんな感じの反応したよ」

「……もう兄さんのことでは驚かないと思ってたんだけど……これは規格外だよ……」



菜由は疲れた顔をしていた



「菜由さんも入ります?あと入ってないのは菜由さんと芹ちゃんだけなんですよ?」

「入らないよ。面倒そうだし……」

「あらら。残念です。ではお邪魔しましたー。あ、京先輩、また明日。会社で会いましょう」

「ああ。また明日」



先ほどの拗ねたのは演技だったようで、白瀬は何事もなかったかのように帰っていった……



「ふぅ……じゃあ菜由。改めてお世話になるよ」

「うん。あ、でも仕事はどうするの?もしかしたら勤務先もバレてるかもしれないよ?」



と、そこに丁度社長から京宛に電話が鳴った



「……もしもし。赤坂です。どうなされましたか?」



京は「はい……はい……」と、淡々と返事を返す



「えっそんな!悪いですよ!ーー……はい。分かりました。本当にありがとうございます。ご迷惑をおかけします……はい。ではまた……」



京は電話を切った



「何の電話だったの?」

「……しばらく有給扱いで休みにしてくれるらしい。しかも元々の有給分を使わずに……」

「……今日の事でも思いましたけど、私達の会社、ホワイト過ぎません?」

「ああ。我ながら素晴らしい会社に勤めてるって思うよ……」



と、外から何やら音が近づいてくる。そして玄関の扉が開いた



「やっぱり私もお世話になる‼︎」



白瀬が戻ってきた



「急になんだよ」

「まだ会社で会えるからって2万歩譲歩して出ていきましたけど会社に来ないなら別です‼︎私だけ京さんと過ごせないのはおかしい!芹ちゃんと香織さんばっかり美味しい思いをしてずるいです!」



駄々をこねる白瀬。さながら子供のようだった



「……はぁ仕方ない」

「えっ、菜由さんもしかして‼︎」



菜由は携帯を取り出し、電話に3桁の番号を入力した画面を白瀬に見せた



「これ以上騒ぐなら……かけるよ?」

「うぐっ……ううぅ……あっ!私家事得意なんで手伝いますよ!人手は多い方がいいーー」

「私専業主婦だから別に家事手伝ってもらうほど時間がないわけじゃない。なんなら香織さんにも手伝ってもらうし」

「うっ……あ、子供の面倒見ます!」

「それも私の仕事だからしなくていい」



菜由は白瀬を手玉に取るかのように返事を返す。白瀬への対応に慣れてるかのようだった



「うぅ……うわーん‼︎もういい!菜由さんのバカっ‼︎アホっ‼︎ブラコンっ‼︎」



そう言い放ち、白瀬は走り去ってしまった……



「……菜由。ブラコンだったの?」

「違うよ‼︎」

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