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第54話 知っていた……?



「か、香織さん‼︎早く逃げましょう!」

「……ダメ。逃げたところで私は……」



白瀬は香織を発見し、共に逃げ出そうと提案したが、動こうとしなかった



香織は動かない理由を白瀬に話した



「そんな……借金っていくらですか?」

「……1000万」

「1000万⁉︎」



「ーーやらないって……じゃあどうする?返済しないと延々と借金取りに追われる日々が始まるんだぞ?それでいいのか?」

「なら……払えばいい」



京は持ってきたカバンから小切手を取り出した。そしてそこに1000万と表記した



「これで問題ないだろ」

「きょ、京さん……いくらなんでもそんな大金……」

「大丈夫。俺にとっては()()()()()だから」



そして京は小切手をおじに突き出した



「……確かに受け取っーー」



京はおじが手に取る寸前で上にヒョイっと上げ、取れないようにした



「やっぱりお前に渡すのはやめる。返済に充てられなかったら困るからな」



京は胸ポケットに小切手を直そうとすると……



「……どうして香織の為にそこまでする?お前は昔()()()()()()()()だろう?」



京の手がピタッと止まった



「……なんだ。知ってるのか」

「知ってるさ。なんてったって()()()()()()()んだからな」



おじはまたニヤニヤしはじめた



「あの時も俺が作った借金を返す為にヤクザの息子に()()()()()んだからなぁ」



京の顔に変化はなかったが、芹は信じられないといった表情をしていた



と、そこに白瀬が強引に引っ張り出してきた香織と共に現れた



「京先輩!連れ出して来ました‼︎」

「離して‼︎私はもう迷惑かけたくないの‼︎」



振りほどこうと抵抗する香織の腕をガシッと掴んで離さない白瀬。そして白瀬と香織は京の後ろに回った



「良かったなぁ香織。元彼が借金を返してくれるらしいぞ」

「なっ⁉︎京ちゃんやめて‼︎そんな大金京ちゃんが払う必要なんてないから!」



京の借金の肩代わりを申し出を拒む香織



「うるさい。もう払うって決めたから」



香織は京の善意を拒むが、京の意思は固かった



「……知ってたよ。香織が自分の意思であの男と結婚するわけじゃないこと」



京の言葉にこの場にいる全員が驚愕した



「……あの時の俺にはどうすることも出来なかった……

だから今回は……助けるって決めてるんだよ」



京はおじに近づき、胸ぐらを掴み、耳元で囁いた



「もう二度と香織と芹に近づくんじゃねぇ……もし近づいたら……生きてること自体後悔させてやるからな?」

「わ、分かった‼︎ち、近づかない!約束するっ‼︎」

「……分かればいい」



京はおじを胸ぐら越しに押した。おじは押された勢いで尻餅をついた



「……じゃあ帰るか!三人共。……あ、二人はおじに最後の挨拶だけでもしときな」

「う、うん……」



芹はおじの前まで行き……



「……大っ嫌い‼︎」



と、シンプルに一言大きな声で罵倒した



「……お母さんも。文句言ってきて」

「……ええ」



香織は少しふらつきながらおじの前に立った



「……私も……大っ嫌いだよっ……お父さん……」



芹とは打って変わって感情的に、そして小さな声で罵倒した



ふらつく香織を芹は支えて屋敷から出たーー



「ーーごめん京ちゃん……お金は絶対に返すから」

「もういいって。あと、俺への返済にあてるぐらいなら自分の生活にでもあててくれ」



行きのタクシーに再度乗り込み、借金取りの拠点場所へと移動していた。香織が場所を知っている為、助手席からタクシーのドライバーに道案内していた



そして後ろには京を真ん中にして、芹と白瀬が横に座っていた



「……京さん、香奈宮先輩。ありがとうございました。お礼はなんでもします」

「礼なんていらないさ」

「私は欲しいー‼︎」



ここは普通謙遜とかする場面だが、白瀬は図々しく要求していた



「何か欲しいものがあるんですか?」

「決まってるじゃん‼︎」



そういうと、白瀬は京の腕にガバッと抱きついた



「京先輩が欲しいから、芹ちゃんには諦めてもらえるかな?」

「ダメです」

「即答⁉︎」

「当たり前です‼︎今、香奈宮先輩への感謝の気持ちがなかったら光の速さでビンタするところでしたよ?」

「顔飛んでっちゃうよ!アン○ンマ○みたいになるよ⁉︎」



後ろで騒々しくしている芹達を苦笑いしている運転手がバックミラー越しに見えた



「あ、そうだ。すいません運転手さん。ここら辺に雑貨売り場とかないですか?あるならそこまで送って欲しいんですが……」



白瀬は運転手に頼んだ



「雑貨売り場なんていってどうするんだ?」

「やだなぁ……京先輩もう行きの出来事を忘れたんですか?」

「あっ……」



京は雑貨売り場に行く理由を理解した



「え、何?何かあったの?」



行きの騒動を知らない香織は何のことか理解出来ない様子だった



「色々あったの……駅でもみくちゃにされて、新幹線でギュウギュウにされて、車でドンドンされたの……」

「……何一つ分からないんだけど」

「ははは……」



こうして香織を無事に取り戻して帰った四人。また平凡な生活が戻ってきた……



はずだった……



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