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第45話 選ばれたのは……?



「俺は……女性が苦手なんだ」



約18年間隠し続けてきた秘密を明かした



「あ、やっぱりそうでしたか」

「……えっ?」

「まあそんな気はしてたよね。京先輩の隣座ったらいつも身体がビクッて強張るし」



今までひた隠してきたはずだったが、どうやらバレていたようだ



「……女性が苦手なのは香織さんのせいですか?」



白瀬のいつもの鋭い勘が今日も冴え渡っていた



「……ああ」

「昔の浮気が原因なんですね?」

「……ああ」



白瀬は何もかも見通しているようだ



「あれ?香奈宮先輩も京さんの過去話を聞いてたんですね」

「ギクッ……え、ええ。あれはいつの話だったか忘れてしまったけれど、聞いたの!」

「俺が今までこの事を話したのは芹だけだったはずだが……」

「あ゛っ!裏切るんですかっ‼︎」



白瀬がこの話を知っているのは芹に話した日に外から盗み聞きしていたからだ



「裏切るもなにも、栁内家に盗聴しに来たことを言うななんて言われてないからな」

「それはそうですけど……はっ!後ろから殺気‼︎」



振り向いた頃には既に白瀬の肩には芹の手が重くのしかかっていた



「香奈宮先輩……あとでゆっくりお話ししましょうか……?」

「ふ、不参加で……」

「ダメですよ……?逃がしませんからね……?」

「は、はいぃぃっ……」


芹の気迫に気圧される白瀬。怒ると1番恐ろしいのは芹かもしれない……



「……さて、香奈宮先輩はあとでゆっくりお話しを聞くとして、そろそろ京さんに答えてもらいましょうかね」

「……あ、忘れてなかったか」

「当たり前です!どんなことよりも優先して聞くべき案件ですから!」



「----だから聞かせてください。京さんは……誰が一番大切ですか?」



「ーーーー会社の後輩の香奈宮白瀬ですか?」



「ーーーー元カノである栁内香織ですか?」



「ーーーー元カノの娘の栁内芹ですか?」



「ーーーーそれとも……他の誰かですか?」



「……芹だと思う」



京の返答に二人は黙ったまま、表情も変えなかった



「俺が今、誰かと二人っきりになって話す時、恐怖心がないのは芹だけなんだ。香織と話すときも、白瀬と話すときも……たまに怖くなったりする……そう考えると、芹が俺の中では一番……ってことになるのかな」

「つまり……好きかどうかはわからない……ってことですか?」

「……ああ。煮え切らない回答をしてごめんな……でも……これが本心だから」



芹と白瀬はお互い見合った。そしてクスっと笑った



「それでもいいですよ。答えを焦ったのは私達ですから」

「うんうん!むしろ芹ちゃんのことを好きって断言されなくて良かったです!まだまだわたしにもチャンスがあるということですからね!」

「ないない。私で決定ですね!香奈宮先輩に京さんは勿体無いですよ!」

「それはこっちのセリフだなぁ……そんな髪の毛をスパゲティでくくるような女の子は京さんも嫌でしょう?」

「なっ⁉︎気づいてたんですか⁉︎」

「私の目を欺くのは芹ちゃんには一生無理無理。単純で小学生のようなお子ちゃま思考の芹ちゃんにはね!」



これでもかと煽る白瀬。だが、芹には余裕がうかがえた



「ま、まあ何を喚こうと京さんのお嫁さんに1番近いのは私なんで。2、3番手の香奈宮先輩は黙ってもらってていいですか?」

「はぁん?やばっ……キレそうなんだけど」



こちらも負けじと煽り返す芹



「お嫁さんって……お前らこんな40歳の男を取り合ってないでもっと若くていい男をだな……」

「「何言ってるんですか‼︎」」



二人同時に京の言葉に食いついた



「若かろうと年寄りであろうとそんなことは関係ないんですよ。私は京さんが好き。それでいいんです。それが事実なんですから」

「若い人なんかより、京先輩の大人なところが私は好きなんです‼︎優しくてカッコいい……そんな京先輩がいいんです‼︎」



二人の言葉を京は戸惑いながらも素直に受け取ることにした



「……ありがとう。俺なんかでいいなら、ちゃんと答えを出すから」



改めて自分の想いに向き合わないと……想いを寄せてくれている人がいる……俺はそれにちゃんと答えられるように……



「……さて、京さんが芹ちゃんを一番だと考えている今、香織さんは是が非でも助けないといけないですね」

「……お母さんを助けるのは当たり前ですけど、それ関係あります?」

「あるよ!香織さんと二人で芹ちゃんの邪魔をするためにもさ!」

「悪質すぎでしょ……」



少し話が逸れたが、香織を助ける為の話に戻る



「何か手がかりはないのか?」

「手がかり……なくはないんです。でも……」

「でも?」

「……見つからなくて」



白瀬はその手がかりになるものをこの一週間探し続けていたが見当たらなかったのだ



「何が見つからないんですか?」

「……東我謝瑠奈さんです。局長の妹の。その人ならもしかしたら美穂さんと連絡が取れるかもしれない……でも、瑠奈さんは最近自治体にも出ないし、電話も誰も知らない……住んでる場所も分からなくて……」



白瀬は深刻な表情をしていた



「俺知ってるけど……」



京がそう答えると、白瀬は驚いた表情で京に急接近した



「な、なんで知ってるんですか⁉︎」

「なんというかその……成り行きで……」



嘘はついていない。仕組まれたとはいえ、成り行きなのだから……



「ならば……」



ガシッと京と芹の腕を掴む白瀬



「行きますよ‼︎瑠奈さんの所まで案内お願いします‼︎」

「わ、分かったから‼︎引っ張るなって!」

「香奈宮先輩痛いですっ‼︎」



白瀬は強引に二人を引っ張って部屋の外に出た


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