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第43話 見つけた……?



「どうやらここで間違いなさそうですね」



とある高級マンションの前に到着した二人。ここにいると判断出来たのは尋の乗っている車が駐車してあったからだ



「……なんでここなんだ?」

「ここは高耶くんの住んでるマンションなんです。確か最上階にある唯一の部屋で一人暮らしをしてるそうなんです」



さすがの情報収集能力。白瀬が調べれば、京のことだけでなくとも分かるような気がした



「おそらく彼もまだ家に着いて間もないはず……でも、一刻の猶予もありません。行きますよ」



シートベルトを外し、車から降りた白瀬。それを追うように京もシートベルトを外し、車のエンジンを落とし、車から降りた



「確かここのマンションってオートロックなんだろ?どうやって入るつもりなんだ?」

「心配いりません。私に任せてください」



そういうと、白瀬は番号の付いた機械の前に立ち、4桁の番号を打ち始めた



「えっと……----これでよし」



マンションの扉が開いた



「さて行きましょう‼︎エレベーターを使います!」

「お、おう……」



なぜ暗証番号を知っているのか……だがもう慣れたのか驚きは日に日に薄くなっている気がする……



「……鍵6個ぐらいつけたほうがいいのかもな……」

「はい?何か言いました?」

「いや……なんでもない」



そして二人はエレベーターに乗り込んだ



「あとは部屋をどうやって開けるかだな……」

「それも大丈夫です。策を用意しておきましたので」



あまりにも用意周到すぎる白瀬。いつもなら怯える立場だが、今回に限っては白瀬ほど頼もしい存在はいないだろう



「……俺いらなかったかもしれないな……」

「何言ってるんですか‼︎京先輩のおかげでこのマンションにいち早く着くことが出来たんですよ!それに……」

「……それに?」

「……いや、今言うことではないですね。忘れて下さい」



白瀬は言葉を濁した。そして、エレベーターは最上階に到着した



「さてと……じゃあ時間も惜しいのでさっさと開けてもらいましょう」



白瀬は喉を押さえ、喉の調整を行った。……そして



「すいませーん!昔、強姦の容疑で逮捕されたことのある高耶尋さーん!その犯行の件でインタビューさせて頂きたいのですがー‼︎」



と、大きな声で普段聞かないロリボイスを発する白瀬。お腹からその声は地上にも聞こえる程の音量だった



「なるほどな……あっちから鍵を開けるように仕向けるんだな」

「そうです。さすがにこんなこと叫ばれては出てこざるを得ないでしょう。幸い防音ではないので、ちゃんと聞こえてるかと……」



すると……



ガチャ……



扉の鍵が開く音がした。そして、その音に反応した京が勝手に扉を開けた。そこに立っていたのは……



「……芹?」

「……京さん?」



誘拐されたはずの芹がなぜか尋の家から出てきたのだ



「お前……無事なのか?」

「……無事?私は何もされてませんが……」



見たところ外傷はない。服も会社に着てきた物と変わらない



「あ、でも……」



芹は部屋の方をチラッと見た。その視線に誘導された二人も部屋の中を見ると、なぜか手足を縛られ、上半身裸の状態でぐっすり寝ている尋の姿があった



「……何してんだあいつ」

「……さあ」

「私も、さっきの声で目が覚めたばかりで……起きたら高耶くんがこの状態で寝てるし、外は騒がしいしで、何が起こってるかわからないんですけど……あと、なんか高耶くんに呼び出されてからの記憶も曖昧で……」



つまり、現状を完璧に理解出来る人はいないということだ



「とりあえず、こいつを起こすか」

「私が起こします。一発で飛び起きるようにしてやります!」



そういうと白瀬は、尋に思いっきりビンタを叩き込んだ。顔を〈はたく〉のではなく、〈持っていく〉ように叩いた



「痛ってえ‼︎めっちゃ痛えっ‼︎」

「……容赦ないですね」

「ああ……多分あいつ平然装ってるけど、めちゃめちゃ怒ってるな」



容赦ない一撃だった。もし、朝起こす時にこんなビンタをしてしまえば、その子との築いた信頼関係は無に還ることだろう



「ってぇ……ってか、香奈宮先輩っ⁉︎」

「おはよう。よく眠れた?」

「お、おかげさまで……」

「そう……なら今からまた眠る?永遠に」

「ひぃぃぃぃぃっ‼︎」



もう一度腕を振り上げる白瀬



「やっぱりめちゃめちゃ怒ってるな……はぁ……おい白瀬。その辺にしておけ」

「……京先輩が言うなら……」



白瀬は振り上げた腕を下ろした



「さて、尋。なんでこんなことした?」

「なんでかって?芹が可愛いからに決まってるでしょ?」



いつもの丁寧な口調とは違い、荒っぽい言葉遣いになっている尋。これが本性なのだろう



「だから?」

「知り合いに芹を誘拐するよう頼まれたついでに襲ってやろうと思っただけ。簡単な話だろ?」



芹は青ざめた顔で身体が震えだした。自分が危ない状況に陥っていたことにようやく気がついたのだ



「知り合いって、()()()()()ね?」

「なんだ……バレてるのか」



どうやら白瀬の言っていた命令した人物は合っていたようだ



「東我謝?それって瑠奈の……」

「京先輩、瑠奈さんのこと知ってるんですか⁉︎」

「あ、いや……一回ちょっと話したことがあるだけ……うん……ちょっと話しただけ……」



あの盗聴器だらけの恐ろしい景色がブラウザバックした



「そうだよ。あいつに命令された。誘拐出来たら、多額の報酬と芹を好きにしていいって言ったからよ……だから眠らせて部屋まで連れてきたっていうのによぉ……」



尋の声がどんどん怒りのトーンにかわっていく



「……あの女ぁ……裏切りやがったっ‼︎許さねぇ‼︎」

「……裏切っただと?」

「そうだよ……あの女、ここに芹を連れ込んで来た時に、「あんたはもう用済みだ」とか抜かして俺をスタンガンで気絶させやがった‼︎」



……おかしい。もし、尋の言うことが本当なのだとすれば、美穂の狙いが全くわからない……芹を排除する為の今回の騒動。だが、芹には全くの危害は加えられていない



それは京達が助けるのが早かったからではない。まるで元々()()()()()()()()()()()()()()かのように……



「……っまさか……いやでも……」



京は何か思い当たる節があった



「どうしました京先輩?何か分かったんですか?」

「……ちょっとだけ待ってくれ」



そういうと、どこかに電話を鳴らす京。だが、応答がなかったようで、そのまま携帯を切った



「……まだ憶測でしかない。でも、おそらくだけど……」






「狙いは……香織かもしれない」




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