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第35話 芹が冷たい……?



「赤坂さん。そこに資料を纏めてあるので、目を通してもらえますか?」

「あ、ああ……」



昼休憩を終え、仕事に戻った京。今現在進行中のプロジェクトの書類の紙を芹から渡された



赤坂さん。芹から苗字を呼ばれるなんて初めてだった。出会った当初から芹には京さんと呼ばれていたので、違和感しかなかった



「……なぁ芹?」

「……なんですか?」

「俺……なんかしちまったか?」



京は芹の様子がおかしいのは自身のせいだと思っていた。前日、あんなことを話した挙句、勝手に家に帰ってしまったことを怒っているのだと、京は考えていた



「……別に。何もしてませんよ」

「ならなんでそんな態度なんだ?いつもと様子が違うし、俺のこと苗字で呼ぶなんてさ……」



京は問い詰める。だが、芹は淡々と返答する



「……なんでもないです。気にしないで下さい」



そういうと芹は自分の席に座り、作業に戻った



「……なんでもなくないだろ……」



原因は自分にある以上、機嫌を直してもらうしかない。そう考えた京は芹のご機嫌とりをすることにした。まずは……



「芹。あんまり仕事を詰め込みすぎるな。しっかり休憩は取れよ?」



京は自販機から買ってきたアイスコーヒーを手渡した。差し入れ作戦だ



「……赤坂さん」

「ん?どうした?」

「……私、ブラック飲めないです」

「……あっ」



ご機嫌とりに失敗した。理由……コーヒーのブラックが飲めないから



「おっ!仕事だいぶ進んでるじゃないか!こことか特にいい感じじゃないか?」



京は次の作戦に移行した。仕事ぶりを褒める作戦だ



「ここ。さっき社長に直すように指摘されたんですが……」

「あっ……」



またも失敗。理由……褒めた箇所が他の人にダメ出しされていたため



「仕事お疲れ!疲れてるだろ?俺が肩でも揉んでやるよ!」



さらに次の作戦。身体憩い作戦だ



「これぐらいで肩なんて凝りません。私まだ18ですよ?バカにしてるんですか?」

「あっ……」



失敗。理由……若さをバカにしたため



ことごとく失敗する京。次の作戦を考えるが、全くいいアイデアが思い浮かばない。……だが、ここで京はふと我に返った



「……そもそもなんで俺、機嫌なおしてもらおうとしてるんだ?」



そもそも女が苦手な京。それなのにわざわざ女の子に絡みに行く理由がわからない。話しかけられる回数が減ることは自分にとっても好都合なはずだった



そう考えると京の出した答えは簡単。わざわざご機嫌とりにいく必要はないのだ。なので、京は機嫌を取り戻すことをやめ、仕事に集中することにした



「……京さんの方から何回も話しかけてくれてる……これは占いの効果あるのかも……」



だが、冷たくすることに胸が痛いのもまた事実。正面の机とは間に塀があるため、京には見えていないが、頭を抱えて小さな声でうーっうーっ……と時折唸っていた



そして何より昨日の件に関してお礼を言うつもりだった芹。だが、朝の占いの結果が「冷たく接すること」を勧められた為、お礼も言えないことも胸が痛い原因の一つだ



「やっぱりお礼だけでもしっかりしとかないとだよね……でもでも、今日は冷たくした方がいいらしいし……」



芹は占いを全面的に信じるタイプで、そのせいもあって今これだけ悩んでいるのだ



「うぅ……どうすれば……」



机に突っ伏し、仕事も進まない。減っているのは残りの作業量ではなく、精神だけだった



と、ここで芹はあることに気がつく



「……京さん話しかけてこないな……」



先ほどまで15分単位で話しかけてくれていた京。それから30分近く経ったが、京から話しかけてもらえてない



「……もうちょっと待ったら来るかな?」



そんな淡い期待も虚しく、45分……1時間……1時間15分と話しかけられることなく時間は無情に過ぎ去っていく



「……話しかけてこないよぉ……おかしいなぁ……」



そしてあれから1時間30分。時刻は3時半。会社の予鈴が鳴り、15分間の休憩時間に入った



京は休憩の予鈴と同時に立ち上がった



「あ、これは話しかけてくるのでは?」



芹は突っ伏した身体を起こし、背筋を伸ばして、あたかも真面目に仕事してたかのように振る舞った



……が、京は話しかけてくることなく、オフィスの外へと出てしまった



「……あれ?」



オフィスの外へ出てしまった京を追いかける芹。廊下を一人で歩き、休憩所にある自販機に向かっているようだ



と、そこに後ろからドタドタと大きな音が近づいて来たと思ったらそのまま横を激しい風と共に過ぎていった



「京せんぱーい‼︎私もご一緒しますぅ‼︎」

「うぉっ!びっくりしたっ‼︎」



突風の原因は白瀬だった。休憩に向かった京を追いかけてきたようだ



突風が起こるほどの勢いで走っていたにも関わらず、京の隣でピタッと止まり、何事もなかったかのように同じ歩幅で歩き出していた



「廊下は走るなって……」

「ごっ、ごめんなさいぃ。私ぃどうしてもぉ京せんぱぁいと、休憩にいきたくてぇ……急いじゃいました‼︎」



京に対して上目遣いをする白瀬。その一部始終を見ていた芹は何が起きているのか理解が出来なかった



「香奈宮先輩……いつからあんなに気持ち悪く……はっ!」



芹は理解した。白瀬がなぜあんなことになっているかを



「香奈宮先輩は水瓶座か!……くっ!まさか先輩まで見てたなんて……」



二人の背中を見ていると、白瀬は芹の方に振り返った。そして……



「なっ……⁉︎まさかあれはっ!」



厚紙を土台にテープで貼られた八ツ葉のクローバーをこれ見よがしに見せつけていた



「まさか見つけていたなんて……」



これには芹も感服するしかなかった……

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