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第34話 朝の占い……?



「頭痛ぇ……」



スーツを着てマンションの階段を下りる京。頭を押さえており、少し顔色も悪かった



結局あれから家でずっと香織のことについて考えていたが、何一つ進展はなく、ただただ寝るのが遅くなっただけだった



「……あとでエナジードリンク買っとこ……」



マンションの階段を下り終わると、そこにはいつものように白瀬が朝日が眩しそうにしながら待っていた



「あ!京せんぱーい‼︎せんぱいせんぱいせんぱーい‼︎」



いつにも増してハイテンションな白瀬。朝のテンションとは思えない



「おっそーい‼︎私、待ってたんですからね‼︎」



いつもの白瀬とはどこか様子が違った。喋り方、仕草、声のトーン。何から何までいつもとは変化が起きていた



「……どうしたお前?」

「はいー?何がですかー?」



身体をクネクネさせ、上目遣いをする白瀬。やはり様子がおかしい……



「何か悪いものでも食べたのか?」

「朝は特製目玉焼きトースト食べた‼︎」



高らかに自身が食べた物を発表する



「……毒でも盛られたか……?」

「えーっ‼︎ひっどーい‼︎毒なんて盛られてないもん‼︎私は正常だもん‼︎」



今の白瀬は普段の状態にぶりっ子をカサ増ししたような性格をしていた。昨日は正常だったはずだが、一体何が起きたのだろうか……



そんないつもより2割増しで疲れる白瀬と約15分かけて会社に到着した



「そういえば今日は芹ちゃんいなかったねー‼︎」

「……先に出たっぽいんだよ。だからもう会社には来てるはず……ってやっぱりもう来てたか」



まだ始業時間になっていないにも関わらず、自身のデスクトップと向き合い、黙々と作業を進めていた



「おはよう。今日は早いんだな」

「……」



京の言葉が聞こえていないのか、反応を見せない芹



「おーい。おはよう芹」

「……」

「おはよう!」

「……あぁ……なんだか耳元でうるさいなーと思ったら、赤坂さんでしたか」



これまたいつもと様子が違う芹。白瀬と比べ、露骨にキャラが変わっているため、違和感しかなかった



「……で、なんですか?用がないなら早く仕事して下さい」

「お、おう……」



明らかな変化に戸惑いつつも、芹の言われた通り、席について仕事を始める京



(……うぅ……心が痛い……でも我慢!我慢するの私!)



芹は京に見えないように胸を押さえた。罪悪感からくる胸の痛みを和らげるためだ



「……芹ちゃんも()()()みたいだね……」



白瀬と芹の変化が起こった理由は、朝の情報番組にあった----



「----さあ今日から始まる新コーナー!押してダメなら○○○‼︎」



テレビには陽気な女性キャスターが、マスコットキャラのような人と一緒に映っていた



「振り向いてくれないあの人へ……どうすれば私の恋は進展するのかしら……そんな皆様の悩みを解決すべく、私達が星座占いで占っちゃいます!」



女性キャスターは水晶を覗き始めた



「まずは天秤座のあなた‼︎押してダメならー……諦めろ‼︎」



なんと無慈悲なことを言うのだろうか



「正直もう振り向いてはくれません。手遅れです。いや、最早最初からチャンスがないので手遅れどころの騒ぎではありません。無謀です。でもそんなあなたにチャンスが到来するかもしれないラッキーアイテムは……ツチノコです‼︎これさえ持ち歩けばチャンスが巡ってくるかも⁉︎」



理不尽な現実とほぼ入手不可能なラッキーアイテム、というか生物。天秤座は諦めるしかないだろう



「続いては水瓶座のあなた‼︎押してダメならー……ぶりっ子になれ‼︎」



白瀬は水瓶座であるため、今日はぶりっ子になっていた。人によってはかなりキツイのではないだろうか



「あなたは今こそ自分が可愛いということを再認識し、自分に自信をつけつつ、相手にもその自分の可愛さを再認識させることでいい方向に転ぶ‼︎はず‼︎ラッキーアイテムは八つ葉のクローバー‼︎これを持っていることで幸せなことが訪れるでしょう‼︎」



答えが曖昧。そして四つ葉でも幸せを運ぶと言われているクローバーが八つ葉であれば幸せを呼ぶのは明白だ



「そして次は乙女座のあなた‼︎押してダメならー……冷たくなれ‼︎」



芹は乙女座。この結果に該当する



「アピールしてもしてもしてもしても反応のない彼‼︎おそらく相手は自分をいつまでも好きでいてくれると思っているのでしょう……なのでここはあえて冷たく接することで、相手が自分に興味をなくしたと勘違いし、失ったものの大切さに気づかせるのです‼︎上手くいけば相手が泣きついてきてそのままゴールインの可能性アリ!」



他とは違い、関係が夫婦にまで飛躍する可能性のある乙女座



「ラッキーアイテムは茹でたスパゲッティ‼︎スパゲッティが幸運を呼んでくれるでしょう!さらにスパゲッティを身に纏うことでさらに運気が増すことでしょう‼︎」



スパゲッティを身に纏う……どこに纏えばいいのか……



----という朝の占いコーナーの影響で2人の様子がおかしくなっていた



「てことは芹ちゃんのどこかにスパゲッティがついてるってことだよね……」



自分の席についた白瀬が遠目で芹の身体を隅々まで凝視した



「あ、あった」



芹のラッキーアイテムであるスパゲッティは芹の髪飾りになっていた



いつも仕事の時は長い髪の毛を束ね、ポニーテールにする芹。いつもは赤のゴムだったり、黒のゴムだったりとシンプルなデザインのヘアゴムをつけている芹。それが今日は肌色のような……オレンジ色のような茹でたスパゲッティを束ねてヘアゴム代わりにしていた



「…….写真撮っとこ」



白瀬は携帯カメラでズームし、こっそり芹の髪の毛を撮った













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