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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第六章 過去の出来事
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第32話 栁内家のお家事情……?



「----とまあ、こんな感じだ。最初サークル一緒だったって嘘ついてごめんな」

「……いえ、隠したくなるのも分かります。仕方ないですよ」



京からの過去話を一通り聞いた芹。なにか取り乱している様子はなく、意外にも冷静だった



「ヤクザの息子……ってことは私の()で間違いないですね」



芹は香織のことは()()()()と呼ぶのに、()()()()と呼ばずに()と呼んだ。呼び方が違うことに何か意味はあるのだろうか



「香織って本当に離婚してるのか?」

「……なんでそう思うんです?」



ここで京は気になっていたことを芹に聞いてみた。京がこう考えたのにはちゃんとした理由があった



「苗字が変わったままだからだよ。昔は栁内じゃなくて、佐原だったはずだ」



初めて芹と会った時、栁内という苗字に反応を示さなかったのは元々、香織は栁内ではなかったからだ。たくさん使われている苗字ならともかく、栁内なんて苗字の人はそうそういない。もし香織と出会った当初、栁内香織と名乗っていれば、芹は香織の娘かもしれないと疑っていただろう



「ああ……そういうことですか。でも本当に別れてますよ。私が中二の頃だったから……5年前ですかね?」



苗字が以前と違う理由は別にあった



「栁内はお母さんの母親の苗字なんです。おばあちゃん達もお母さんが嫁いでから離婚しちゃって……その後、私が高校を卒業するまではおばあちゃんにお世話になってたんです。だからおばあちゃんの旧姓を名乗ってるんですよ」



京の中でやっと苗字の謎が解けた



「そんな複雑なことになってたのか……」



苗字の謎が解けたところで、もう一つ、聞いておきたいことが残っていた



「……なんで離婚したんだ?」



香織とヤクザの息子の離婚の理由について芹に尋ねた



「父の浮気ですよ。正確に言うと、浮気相手に自分に妻子がいることがバレて裁判沙汰になったから更に違う浮気相手と駆け落ちして逃げた。ですけどね」



なんとなくそうではないかと予想はしていたが、まさにその通りだったようだ



「ただ、ちょっとだけおかしなことがあって……」

「おかしなこと?」



芹は離婚が決まった際の事を話し始めた



「朝、起きたらお母さんが泣いてて……どうしたんだろって思ったら、机に離婚届と分厚い封筒、〈一生愛すと決めた女が出来た。もうお前も解放してやる〉って書かれた紙が置いてあったんです」



()()()()()()?なにから解放するのかさっぱり分からなかった



「お母さん泣いてたけど、なんか……悲しんでるというより、喜んでるように私には見えました」



芹は香織のその時の状態も細かく教えた



「まあでも喜ぶのは無理ないです。あんまりこういうことは言いたくないですけど、最悪な父でした!なんで京さんと別れてまで結婚したのか理解出来ないです!」



芹は何かを思い出したかのように机をドンドンと叩いた



「……暴力とか振るわれたのか?」



京はそこが心配だった。ヤクザの息子ならば、芹や香織に暴力を振るっていてもおかしくない



「いえ……暴力は全く。父はともかく、父のお父さんは私達を可愛がってくれましたから。……まあヤクザの組長だから怖かったけど……」



最悪な理由は暴力ではなかったようだ



「働かないし、何もしない。しかも堂々と浮気してると宣言もしてました。正直、何がしたいのか全く分からなくって……でも、私がお母さんに離婚した方が良いって言っても、なぜか離婚しようとしないし……」



京は少し考えた。香織には明らかに不審な点が多すぎる。



散々浮気されても離婚を切り出さない、と思ったら離婚届を出され、喜んでいる様子が見て取れた、そして……()()()()()()という手紙の言葉……



まだ現状では何も分からない。ただ、何か重大なことにはまだ辿り着いていない気はした






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