表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第六章 過去の出来事
32/90

第31話 裏切り……?



発覚したのは香織が家の中で嘔吐を繰り返していたことがきっかけで気がついた。最初は近くの病院で診てもらったのだが、その診断した先生から産婦人科に行くように言われ、検査したところ、妊娠が発覚した



「やったな香織‼︎子供だって‼︎」



俺は嬉しかった。子供が大好きだったし、ましてや自分の子供となると喜ばずにはいられなかった



でも……香織はそうじゃなかった



「……そうだね」



明らかに元気がなさそうだった。でも俺はその時、香織があまり喜ばないのはお金の問題とか、ちゃんと育てていけるのかっていう不安があるのだと思ってた



でも違った。元気がないわけじゃなかった。ただ……()()()()()()()()



妊娠が発覚した次の日。俺はいつも通り大学から戻ると、部屋が少し広く感じた。香織がまだ帰ってきていないから広いように感じたのかと思った。でも違った。家から物が減っていたからだ。それも……香織の私物全てが



「どういうことだよ……これ」



衣服や化粧品。香織が趣味で集めてた映画のDVDが丸々全部なくなっていた



俺は慌てて香織に電話をかけた。勝手にこんなことして出ていったんだ。着信拒否に設定されてるかもしれないとか思った。でも……電話するしか今、取れる行動がなかった



そして……携帯越しに音が聞こえてきた。どうやら繋がったようだった



「おい香織‼︎お前なんで出てったり----」

「----あー。うるせーなもう」



俺は耳を疑った。そして携帯の画面を確認した。香織の携帯にかけたはずだったのに、野太い()の声が聞こえてきたからだ



「……誰だお前」

「おやおやー?そんなタメ口聞いてくれるなよ。京」



電話越しの声だから最初は誰だか気づかなかった。だが、喋り方で気がついた



自分の彼女を手に出されて俺をボコボコにしたヤクザの息子だった



「なんでお前が香織の携帯持ってんだよ‼︎」



俺は怒鳴っていた。怒ることなんて滅多になかった俺だけど、この時だけは本気で怒っていた



「勘が鈍いなー。お前……残念だけど、香織は貰ったから」

「貰っただと?」



この男が何を言ってるのか俺には分からなかった



「いやさ、お前ボコって香織が通報したじゃん?俺、そん時、香織に惚れたんだよ。必死に逃げながらさ、あいつめちゃくちゃ可愛いなと思ってな」



あの後、結局のところ俺を殴ってた奴らはまだ捕まっていなかった。いや……捕まえることは出来たが、相手はヤクザ。何かしらの力でもみ消していたかもしれない



「で、半年後ぐらいだったか……香織の大学を突き止めて、アタックしたわけ。じゃあオッケーくれたってわけ」

「……は?」



俺はその言葉を信じられなかった。俺はあの殴られた日からずっと香織と付き合ってた。一回別れてその後に復縁したとかそんな時期もなく、ずっと付き合ってた



つまり、香織は二股をかけていた。俺とこのヤクザの息子と。しかも同棲する前から……



「ごめんね……京ちゃん」



ここで相手はヤクザの息子ではなく、香織に変わった。ごめんねと謝る声に、俺は苛立ちを覚えたが、必死に抑えた



「……お前……子供は」

「時期的に見てもこの人の子……だと思う。あと、京ちゃんとする時はピル飲んでたし……」



俺は何かが崩れ落ちる音がした。香織は俺ではなくこのヤクザの息子を選んだ。だからもう……容赦なんてしなかった



「……そうかよ。まあそれも分かったし電話切るわ」

「……えっ?」



香織は困っていたようだった。もっと色々と聞かれると思ってたんだろう



「何?別に子供が俺の子じゃないんなら後は何も話すことなんてない」

「でっ……でも……」

「なんだよ()()()



この言葉が刺さったのか、香織は黙り込んだ。今思えば酷いことを言ったと思う。でも……それぐらい許さなかったし、俺の中で何かが冷めてたんだ



「もういいだろ。切るぞ」

「……待って。最後に一つだけ言わせて」



俺は慈悲的な意味合いも込めて最後ぐらい香織の言いたいことを聞いてやろうと。なんだかんだで2年近く一緒にいたんだから……



「私ね。このまま大学辞めて、彼と結婚するの」



俺はただ無言で聞いていた



「でね?この2年間本当に楽しかった。ありがとね」



ただひたすらボロカスに文句を言ってやろうとする口を必死に抑えながら



「私……この子を大切にするね。絶対絶対、誰よりも……」



俺の携帯を持つ手が震えていた



「この子を……幸せにしてみせるよ……だからーーーー」



俺はまだ続きを話そうとしている香織の言葉を無視して、ガラケーを真っ二つに折った。これ以上聞いていると、怒りに身を任せてしまうと思ったからだ



「……うるせーよ……バカ野郎が……」



折れた携帯を片手に、俺は少し広くなった部屋に帰った。香織の荷物が残ってたら……捨てるためにーーーー





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ