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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第五章 変わった日常生活
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第26話 幼女……ではない……?



「改めまして……私は〈東我謝(あがりがじゃ) 瑠奈(るな)と言います。〈赤坂京保護自治体〉の局長をさせてもらってます」



かなり珍しいであろう苗字を名乗る幼女は京を自分の部屋に上げ、机を挟んで対面に座っていた



「……えっと」

「あ、小学生じゃないですよ私」

「え゛っ⁉︎」



どっからどう見ても小学生の容姿な為、驚きの声を上げる



「さっきランドセルを背負ってたのは赤坂さんを安心させるためですよ。大人だと思われたら怖がると思いまして……」



そう。瑠奈には自分が女の子が苦手なことがバレている。そして小学生以下ならまだ大丈夫なことも



「じゃあ家族がいないってのは……」

「実家から出て一人暮らししてますからね。なので家族はいない。嘘は言ってませんよ?」



いないって言うのはこの部屋にはいないということだった



「ん?……てことはさっきのエレベーターが止まったのって……」

「はい。大家さんに頼んでエレベーター止めてもらいました」

「他の人に迷惑かかるよ!」

「大丈夫です。他の利用者が現れた時には動かしてくださいって言っておいたので」



何もかもが瑠奈の思い通りに動いていたようだ。そして用意周到だ



「というかなんで俺が女の子が苦手だと知ってるんだ?」



今回の脅しに使われた内容の女の子が苦手なことがバレていたのかを瑠奈に聞いた。今まで外部に悟られないように必死に隠し、身近な人にしか言ったことのない秘密を。

盗聴器は以前から警戒して探していたので無いことは確認済みだ



「天井見てください」



瑠奈は指で上を指し示す。そこは何も変哲のない天井があるだけだったが、少しだけ違和感があった



「なんか……天井低くないですか?」



そう。この部屋は天井が低いのだ。身長が180cm程ある京もジャンプすれば頭が当たってしまう位置まで低いのだ



上の部屋に住む京の部屋ならばジャンプしても余裕で届かない。もし瑠奈用の部屋だから天井が低いと言われれば納得はいくが、ここはマンション。住人が変わる部屋にわざわざ瑠奈用の高さにする意味はない



と、よく見ると壁際の天井に穴が空いており、そこから壁に伝うケーブルの線がパソコンに繋がっていた



「この天井は偽物……実は本物の天井との間に自作の音響マイクを仕込んでるの」

「マイク?なんのために?」

「音を拾うためだよ。そのマイクが拾った音をあのケーブルを伝ってパソコンに音声データが送られてくるの」



ということは……



「……このマイクで上に住んでる俺の生活音とか拾ってるってこと?」

「うん。で、私が頑張って作ったプログラムで、赤坂さんの声だけを抽出してデータ化することが出来る。つまり足音とかシャワーの音とかは聞こえずに赤坂さんの声だけが聞こえるようになってる」



ヤバイ……ヤバイこと言ってるこの子……



「で、2年前の8月22日22時07分にひとり言で「女嫌い直さないとな……親にも孫見せてやりたいし……」と呟いていたので私は秘密を知ってるの」



ヤバイ……この子は白瀬みたいに追いかけ回すんじゃなくて、ちゃんと準備した上でバレないようにしてる……



「まあ簡単にタネをバラしちゃったけど……対策できるものでもないからね」

「……いいのー?良物件ないよー?」

「ぐっ……」



京は何度か特に引っ越す理由とかはなく、不動産屋に足を運んだことがある。だが、今よりもいい物件が見当たらなかったため、断念していた



普通の人ならば下の階の人に自分の事が筒抜けであればそれだけで必ずどこかに引っ越すだろうが、色々慣れてしまった京にとってはそれでは引っ越すという選択肢に踏み出せなかった



「まっとにかく本題に入らせてもらおうと思うよ。あんまり私の情報を与えるのも嫌だしね」



こちらの情報は白日の下に晒されてるのにあちらは秘匿……恐ろしい……



「さっきなんでも言うこと聞いてくれるって言ったけど、さすがに何回も聞いてもらうのは悪いから3回だけにしておきますね」



出来れば1回も使って欲しくないんだが……



「今日は1つだけ使います」

「……なんだ?」



ゴクリと息を飲む……どんなヤバイ条件を提示するのだろうか……



「香織さんの弱点を教えて下さい」



1つ目のお願いはまさかの自分に関係しないものだった



「大丈夫ですよ、そんな顔しなくても。私と結婚しろ!とか子供11人産ませろ!とかそんなことは言いませんよ。私も常識ぐらいあります」



自意的にエレベーターを止めたり、小学生のフリをしたり、天井に自作の盗聴器つける人間に自分は常識があると言われても……



「弱点……弱点ねぇ……なんでそんな事が聞きたいんだ?」



わざわざ香織のことのために好きに出来る権利を1つ使うほどだ。何かしらの理由はあるのだろう



「あの人は……あの人だけは許せません!」



拳を強く握り、憎しみを抱くかのような雰囲気を漂わせる瑠奈



実は今、香織の自治体加入で自治体は大きく揺らいでいた……




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