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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第五章 変わった日常生活
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第24話 白瀬からの忠告……?



「はぁ……全くもう……」



白瀬を外に追い出し、そのまま入れないように入り口の扉に鍵をかけた。もちろんちゃんと店主に鍵をかける許可を得ていたから問題はない



白瀬を追い出した芹は京の姿を探した。酒に酔った状態で泣き喚いていたし、すぐに見つかるはずだ



そして案の定すぐに見つかった。実に簡単だった。一ヶ所だけ明らかに女の人が集まっていたからだ



「赤坂さんは立派ですよ!だから泣かないで!私が慰めてあげます!」

「う……うわ゛ーぁぁぁん!あ゛りがど〜!」ダキッ

「はぁわぁー!」バタッ



酔って弱気になった京の隣に陣取った女は慰め、そして抱きしめられ、気絶していた。

よく見れば既に近くで気絶している女が数人ほどおり、中には鼻血を出しているものまでいた



どうやら酒に酔い、弱った京を優しく慰める事で、抱きつかれるという演出が起こるようで、それを女達は順番に繰り返しているようだった



「つ、次わたーーーー」



次の出番を待っていた女は京に近づこうとするが、芹が京の隣に座って遮った



「ちょっと栁内さん!順番抜かしはやめなさいよ!」

「そうよそうよ!」



順番を待っていた女達からのヤジが飛ぶ



「順番抜かしとか意味分かんないですよ。京さんに何してるんですか?」

「なにって慰めてあげてるだけじゃない!」

「慰めるのは結構ですが、酔っているのをいい事に利用するのやめませんか?」



女達相手に臆する事なく、自論をぶつける芹。周りから見れば多勢に無勢状態だが、芹は引くどころか威圧で押しているようだった



「……ちっ。自分が赤坂さんと一緒にいられるからって調子に乗ってるね」

「……そんなことは」

「若いからってあんまり調子に乗らない方がいいよ?」

「……っ」



女達は興醒めしたのか気絶している女達を回収して他の席にと散らばっていった



「京さん大丈夫ですか?……京さん?」



椅子にもたれながら不安定な体勢ながらも器用に寝ていた


「寝ちゃったんだ……」

「またそんな態度とって」

「うわっ⁉︎」



ひょっこりと顔を覗かせた白瀬に驚く芹



「どっ……どうやって入ったんですか⁉︎」

「普通に入り口の鍵開けて入っただけだけど」

「鍵閉めてましたよね!」

「あれぐらいなら針金使えばすぐ開けられるし」



恐ろしいことを口走る白瀬。芹は今度京の部屋の鍵を強化した方がいいと注意喚起しておこうと決めた



「それにしても……()()そんな態度とって……そんな態度ばっかり取ってると嫌われちゃうよ?」

「……いいんです。京さんさえいれば」



芹は度々、京に近づこうとする女達をあしらうことがあり、それに加えて芹自身が京と一緒にいることが多いこともあって社内の女達からの評価は最悪である



白瀬も同様に京との距離は近い部類に入るが、芹のようにあしらうことはなく、また邪魔をすることもない。そしてストーキングで得た京の情報をシェアしてくれるということもあり、どちらかといえば評価は高い



周りからは芹は独唱者。白瀬は平等主義者なのだ



「……1つ言っておくよ。これは香織さんにも言ったんだけど」



いつも見せる笑顔ではなく、真剣な表情で白瀬は忠告した



「京先輩と彼氏彼女の関係になるのはやめた方がいいよ」



表情から察するに本気で言っているのだろう



「……それは香奈宮先輩が京さんと付き合いたいからですか?」

「それもあるけどね。でも少なくとも()はやめておいたほうがいい。理由はわかるでしょ?」



芹も白瀬がなぜこのような忠告を出したのか理由は分かっていた



「……人気すぎるから……ですよね?」



京は町内のほとんどの女達から狙われる存在。そんな人と付き合えることが出来ればどれだけ幸せなことだろうか。



----否。それが意外と辛かったりするのだ



人気者と結ばれれば何が起こるか。それは〈周りからの嫉妬〉なのだ



もし結婚なんてしてしまえば、京のことが好きだった他の女達からの嫌がらせが絶えないだろう。最悪の場合、殺されてしまうかもしれない。嫉妬に狂えば、京自身も殺されかねない。それほど人の嫉妬というものは怖いものなのだ



「……それでも。私は取られたくないので」

「……頑固だね。まあ忠告はしたよ?」

「記憶の片隅には留めておきます」



芹は眠る京の腕に胸を押し当てるように抱きついた



「……誰にも……渡しません」



駄々をこねる子供が物にしがみついている様子に見えた。白瀬はそんな芹の姿を見て溜息をこぼしたが、芹の抱きついた反対側の手に同じように抱きついた



「忠告はしたけど、私も京先輩を渡すつもりはないよ」



2人はそのまま京が起きるまで、腕にしがみついていたという











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