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第20話 妹の夫……?



「やっと着いた……」



目的地である市役所に到着した二人



京の家から約1時間。京の言っていた到着時間を2倍ほどオーバーしていた



道中、沢山の刺客(女性)が京に絡んでもらおうと必死に動いていたのをうまく受け流し続けていたせいで時間がかかってしまっていた



「とりあえず出してくるから待っててくれ」

「いえ!私も入ります!」

「入るって……やることないんだし待ってたら?」

「いいんです!とにかく私もついていきますから!」グイッ

「あっおい!」



芹は京を引っ張って市役所に入った



「すいません。この書類はどこに提出すればいいですかね?」



京は立っていた市役所の男職員に菜由から受け取った書類を見せた



「ああ。これならこの奥を右に曲がったところに受付があるからそこに出すといいですよ」

「わかりました。ありがとうございます」



男職員の教えてくれた通りに進むと、言っていた通り、受付が設置されていた



「すいませーん」

「あ、はい!少々お待ちください!」



返事が来てから数秒。返事を返した男は持っていた書類を机に置いてこちらに向いた



「あ……京さん⁉︎」



室内中に響き渡るほどの声で相手は驚いていた



「久しぶりだな。鷹斗たかとくん」



京の相手をしてくれる男の名前は中畑 鷹斗。菜由の夫だ



「すすすすいません!大きな声を出してしまって……」

「いや別に大丈夫だ。それよりこれなんだが……」



京は菜由から受け取った書類を渡した



「これって……菜由のやつですよね?」

「そうなんだよ。出してきてほしいって頼まれてな」

「出してきてほしいって……僕に渡してくれればいいのに……」

「俺もそう言ったんだがな……鷹斗に渡すとくしゃくしゃになるからって言ってたぞ」

「あっ……なるほど……」



理由を聞いて納得した鷹斗



「お前……そんなにカバンの中汚いのか?」

「……はい。整理が苦手で……」

「しっかり片付けとけよ?」

「そうですね……また京さんに迷惑かけるわけにはいきませんし……頑張ります」



そういうと、京から書類を受け取った



「少し待ってて下さい。すぐ終わりますので!」



書類を持って奥へと戻っていった鷹斗



「京さん。今の人は誰ですか?」

「ああ……あれは菜由の旦那だよ」

「妹さんのですか?」

「そうそう。6年前に結婚してな。今では一児の母やってんだ」



菜由は今、4歳の息子と鷹斗との3人暮らしをしている



「その菜由さんって私にスーツを貸してくれた人ですよね?」

「そうだな」

「今度お礼しないとですね」

「あー……それはやめといたほうがいいかもな」

「……なんでですか?」

「……まあやめとけ。これはお前のためだ」



理由を聞かれた京ははぐらかした。何かダメな理由でもあるのだろうか



「お待たせしました!とりあえずこれで手続きは完了しましたので!」

「おお。ありがとうな」

「いえいえ!こちらがわざわざ持って頂いたんですから感謝するのはこちらの方です!……あと申し訳ないんですが……」

「分かってる。俺から渡しておくよ。くしゃくしゃになったら困るだろうしな」

「なにからなにまでありがとうございます!」



ここで鷹斗に持って帰らせてしまえばわざわざ頼まれた意味がないので京自身で持って帰ることにした



「ところで……その後ろの方はもしかして……彼女さんですか?」

「ぶっ!ち、違うわ!」



鷹斗の問いに吹き出した京



「か……彼女……」カァァァァ



後ろで赤くなる芹に気づかずに言い合いを続ける二人



「いやー。恥ずかしがることないじゃないですか!京さんやっぱりモテますね!こんな若くて可愛い女の子捕まえるなんて!」

「違うって!ただのお隣さんだからな!」

「ただのお隣さんがわざわざついてきませんって!隠すことないですよ!」



肘で二回脇腹をクイックイッとされる京。少ししつこく喰いつく鷹斗に腹を立てた京は灸を据えてやることに決めた



「……あー。もう菜由に言っといてやろ。若い女の子のこと見て可愛いって言ってたって」

「え゛⁉︎」



まるで小学生が先生に告げ口するときの煽り文句みたいな事を言い出した。だが鷹斗には効果絶大だった



「そっそれだけは⁉︎僕殺されちゃいますから!」

「ダメだ。浮気は良くないからな」



京は芹を連れて市役所の入口へと戻っていく



「待って!浮気じゃない!これは浮気じゃないですからー!」



鷹斗の健闘虚しく、京達は振り向く事なく帰ってしまった



「……終わった」



その場で絶望する鷹斗だった……



----その後、芹をマンションへ送り届け、市役所方面と反対方向にある菜由の家に到着した



「はいこれ。これで手続き完了だってさ」

「ん。ありがと兄さん」

「おう。あ、あとな」

「うん?」

「鷹斗が若い女の子見て可愛いって言ってたぞ」



京は鷹斗に宣言した通り、菜由に告げ口をした



「……それ本当?」

「本当」

「……そう」



菜由の目つきが変わった



「帰ってきたら……○す」



殺気を漂わせながら玄関の扉が閉まった



まあ……嘘は言ってないからな




ごめん……鷹斗……花は手向けてやるから……






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