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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第三章 隣人は元カノ
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第11話 栁内家に街案内……?


「もしかして……京ちゃん?」

「……久しぶり。香織」

「え⁉︎二人は知り合いだったの⁉︎」



二人の反応に驚く芹



「そうね。大学時代に私達はつ----」

「サークルが一緒だった。それだけだ」



付き合っていたことを言われないように京は言葉を遮った



別に芹に付き合っていたことを知られたくないわけではない。京は自分自身が香織と付き合っていた事実を忘れたいからだ



「あ、そうだ!京さん私達の家でご飯どうですか?ね!いいよねお母さん!」



母親に甘える子供のようにはしゃぐ芹は提案を持ちかけた



「そうね。私も京ちゃんと少し話したいし……」



香織は芹の提案に賛成した。……だが



「悪い……俺はもう眠いから……また今度な」



そう言うと京は自分の家の鍵を開け、家に入っていった



「えっ……あっ!京さん!……帰っちゃった……まだ7時なのにもう眠いんだ……」

「……やっぱり……許してるわけないよね」

「ん?何か言ったお母さん?」

「なんにも言ってないわ……さて京ちゃんは疲れてるみたいだからまた今度ね。とりあえず汗臭いからお風呂入っちゃいなさい」

「なっ!臭くないもん!」



臭いと言われたことに腹を立てながらお風呂に入っていく芹



「仲直りしたいと思うのは……私の身勝手かな……」



悔しそうに香織はつぶやいた



「はぁ……まさか香織が隣に住むなんて……」



京は扉を背もたれにしてその場に座り込んでいた



「……寝よ」



そして京はご飯も食べず、風呂にも入らず、そのままベットで眠りについた



----朝の6時半。早めに寝過ぎた京はいつもよりも一時間早く目覚めた



「やばっ……頭痛い……」



この頭痛は寝不足や疲れ、体調不良からくるものではなく、寝過ぎた代償の頭痛だった



「……お風呂入ろ……」



手洗い場の扉を開けた……そこには身体から湯気を出し、生まれたままの姿で立っている芹がいた



芹はドライヤーを手に持って髪を乾かそうとしていたところに運悪く京が入ってしまったようだ



「ご……ごめん……」



軽く謝り、扉をそっと閉めた



それから30分。芹は一向に手洗い場から出てこない

気になった京は扉をノックした



「せ……芹さーん……入りますよー?」



敬語で話しかけるが応答がない

仕方なく京はゆっくりと手洗い場の扉を開けると、そこには先ほどまで出ていた湯気は収まり、身体にバスタオルを巻いた芹が部屋の隅っこで体育座りしていた



「……何してんの」

「……見られた……男の人に見られるの……初めてだったのに……」



どうやら裸を見られたことによる精神的ショックでこうなっているらしい



「……いつも処理するとか言ってるのに裸見られるのはダメなんだ」

「それは私が故意で見せるからいいの……今回のは不意だもん」



つまり自分から見せるぶんには良いが勝手に見られるのは嫌だということらしい



なんの違いがあるのかさっぱりわからない……



「ごめん……いるとは思ってなくて……ん?そうじゃん!なんでいるんだ⁉︎」

「なんでって……」

「昨日かお……お母さん来てただろ?なんで家にいる!」

「だって約束は一週間だし……まだあと二日残ってたから……」



京の言っていた「一週間住まわせてやる」を律儀に守っているようだ



「……とりあえず着替えてもう帰れ。お母さんも来たんだから俺の家にいる必要はないだろう?」

「……分かった」



とりあえず納得はしてくれたようだ



「……でも!人の裸見といてあの反応はないです!」

「そう言われてもな……」

「焦ってドアを閉めるわけでもなく、見ちゃいけないって目を手で隠すわけでもなく、ただ「ご……ごめん」って言いながらドアを閉められた私の気持ちわかりますか⁉︎」

「ごっ……ごめん……」



芹に叱られる京



……あれ?これ俺が悪いの?



「許せません!お詫びに今日一日私とお母さんにこの街の案内をして下さい!」

「はぁっ⁉︎」



芹の提案に叫び声をあげる京



「今日は休みなんですからそれぐらいしてくれてもいいじゃないですか!」

「いや……休みだけど……なんでかお……芹のお母さんまで……」

「お母さんもこの街に来たの初めてですし、一緒に見て回る方が効率的でいいじゃないですか」

「……そりゃそうだけど」



芹の提案に頷かない京に対し、芹は仕掛けた



「もし断ったら……裸見たこと……お母さんに言っちゃおうかな〜」

「なっ⁉︎脅すつもりか!」

「そうですよ?これは脅しです」

「くっ……!卑怯な!」

「さあ……どうしますか?」


京は悩んだ。すごく悩んだ。そして……



「……分かった。案内してやる」



京は渋々了解した



「やったぁ!香奈宮先輩の言うとおりにしてよかった!」

「……白瀬が何言ったんだ?」

「「男は脅せば大抵なんとかなる」って教えてもらったんです!」



白瀬は芹に余計なことを吹き込んだようだ。……次会った時文句を言ってやる……



「はぁ……仕方ない……とりあえず9時でいいか?」

「はい!では9時にお願いします!……あと」

「ん?」

「……着替えたいので出てってくれませんか?」

「ん?ああ。悪い悪い」

「その興味なさげな反応がダメだって言ってるんです!もうっ!早く出てって下さい!」



京は芹に背中を押されながら手洗い場を追い出された



「興味ないわけないだろ……全く……」



本当は芹の裸をみてなんとか平静を装った京。京は女は苦手だが、身体に関しては一般男性と同様の興味はあるのだ



「というか……最悪なことになったな……」



別に街を案内するのがめんどくさいからダメなわけではない。京が嫌がったのは香織と芹。普通の人より恐怖心が増す二人と一日一緒だからだ



「マジで心臓止まるかもしれん……遺書でも書いとくか……」



遺書として妹宛にメールを送った。内容はこうだ



〈今日、俺は二人の女の子と出かけることになってしまった。死ぬかもしれないから財産は家族全員で分けてくれ〉



と、綴られていた



「……バカすぎる」



と、メールを受け取った菜由は一言だけ吐き捨て、メールを消去した






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