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俺に告白してきたのは元カノの娘でした  作者: 三折 佐天
第三章 隣人は元カノ
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第10話 母親は元カノ……?


「うん!だいぶスラスラと出来るようになったね!」

「本当ですか?ありがとうございます!」


芹が入社してから5日が経った。白瀬がつきっきりで教えていた甲斐あってか教えた仕事はもうほとんど出来るようになっていた



「ってもうこんな時間になっちゃったか……今日はもう帰って来週に備えてゆっくり休みなさい」

「わかりました」



明日は土曜日。勤める会社は土日が休日で、芹にとっては社会人初の休みだ



「お、終わったのか?」

「ちょうど帰っていいよって言ったところですよ」



仕事で外に出ていた京がちょうど戻ってきていた



「じゃあ帰るか。俺もさっき部長に帰っていいって言われたところだしな」

「えっ⁉︎先輩帰るんですか!なら私も----」



白瀬は言葉を言い終わる前に後ろから肩をガシッと握られた



「帰らせると……思っとるのか?」

「ひっ!」



白瀬が振り返るとそこには部長が立っていた。白瀬はまだ仕事が終わりきっていないのだ



「しっかり今日のノルマ達成してから帰れ!」

「ちょっ!芹ちゃんに仕事教えてたんですって!その間のノルマは減らされてるはずですよね⁉︎」



京と白瀬は新人の二人に仕事を教えている間はいつもよりノルマが少なくなっていた



「私が知らないとでも思っとるのか?お前最初に教えなくていい範囲まで教えただろ?」

「ぎくっ……」

「栁内に教えている間は赤坂の近くにいれるからってな」

「ぎくぎくっ……」



席の離れている白瀬は少しでも京の近くにいるためだけに芹につきっきりで教えていたようだ



「ほらっ!早く作業に戻れ!」



部長は白瀬の腕を握り、引っ張っていった



「セ……セクハラァァ!部長!これは立派なセクハラですよ!女の子の細々とした腕を握るなんて……訴えます!」



白瀬は抵抗した。どんな手を使ってでも京のストーカーをしたいようだ



普通の男性ならばうろたえてもおかしくはないが、部長にその方法は効かなかった。なぜなら……



「バカ()の腕掴んだだけでセクハラになるか!」



そう。白瀬は部長の一人娘だった



「全く……お前の評判は正直者で嘘が言えない子なのに、なんで家族相手だと嘘ばっかりの悪い子になるんだ……反省しろ!」

「ごっ……ごめんなさいぃぃ!」



ズルズルと引きずられ、白瀬は席へと連れていかれたのだった



「仕事教えるって名目で私をダシに使って……京さん。やっぱり訴えましょう」

「……まぁ白瀬のおかげで仕事わかるようになったんだし……セーフってことで」

「……本当に甘々ですね」



白瀬はまたストーカーとして訴えられる危機を知らないうちに回避した



「とりあえず帰ろうか」

「はいっ。……あっ、ちょっと待ってくださいね……」



芹はポケットから携帯を取り出した。携帯に着信があったようだ



「はいもしもし----うん。どうしたのお母さん?」



通話の相手は芹の母親だった



「うん----うん----えっ⁉︎もうこっちに着いてるの⁉︎」



どうやら芹の母親は予定より早く芹の方に来れたようだ。

これでやっと元の一人暮らしに戻れる。内心ビクビクしながらおくる生活が終わる。京にとっては朗報だった



はずだが……少しだけ寂しい気持ちにもなっていた



「今は会社から出るところだけど……迎えに行こうか?----わかった。----うん。また後で」



芹は携帯をポケットにしまった



「お母さんがもうこっちに着いてるみたいです」

「聞こえてたよ。……駅まで迎えに行くのか?」

「いえ、もうこっちに向かって歩き始めたみたいなので迎えはなしでいいみたいです」

「……そうか」



芹と京は家に向かって歩き始めた。帰り道、いつものように何気ない会話をしながら帰った

いつもと違うところは白瀬にストーキングされてないことぐらいだった



「お母さんもう着いてるかな?」

「さあ……どうだろう」



マンションの前まで歩いた二人は京の隣の部屋の場所を見上げると、半年近くつくことのなかった部屋の電気が付いていた



「先着いてたんだ!」



明らかにテンションが上がっていた芹。母親の到着が嬉しいのだろう



芹は階段をかけ足で登っていく。それを追うように京はゆっくりと一段ずつ登っていた



京が住んでいる階層に到着した時には芹の姿はなかった。既に母親の待つ部屋に入ったようだ



「……相当喜んでるなあいつ」



京も自分の部屋の前に着き、扉に鍵を刺した。その時、隣の部屋の扉が開き、芹がひょこっと出てきた



「京さん!私のお母さん紹介するのでちょっと待ってて下さいね!」



そう言うと芹は扉を開けたまま、再度部屋に入っていった

京は言われた通りに待っていると奥から芹ともう一人の声が微かに聞こえた



「……っ!」



京はその微かに聞こえるもう一人の声に聞き覚えがあった



その声に反応した京は頭を押さえた



心臓が苦しい……汗が止まらない……目眩がする……



()聞いた時より少し掠れてるけど……優しいお姉さんのような声……



「お母さん早く!」

「もう……そんなに急かさないでよ……」



芹が先に外に出てきた。そして芹に手を引かれ、出てきたのは芹より背丈が少し高く、茶色く、長い髪をした芹の姉と言われても違和感のない優しそうな女性が京の前に姿を現した



「ほらっ!この人が電話で話したお世話になった人だよ!」

「あらこの方が?……ん?」



芹の母親も気がついたらしい



「もしかして……京ちゃん?」



容姿、声、そして呼び方……確信した……芹の母親は……



「……久しぶり。香織」



俺の元カノだ










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