こんな時は・・・。
学校帰りにカラオケ店へ。
熱狂的に歌いまくる千尋と、それを見守るオレ。。。
どうも嫌なことがあったようで、千尋の憂さ晴らしに連行された。
「ヒロ! オレンジジュースとコーラ。 あとアイスコーヒーも持って来て!」
マイク使わんでも聞こえるっつーの(汗)。
オレはOKサインを出しつつ、『いやいや、グラス一人一つですから。』と、突っ込みを心の中で入れておきながら、ルームから離脱。
ドリンクバーに向かうと、中学からの同級生で男勝りな話し方が特徴的なクラスメートがいた。
「おぉ、桜井。お前もか。」
「おぉ・・・てか、2時間経つが、まだ1曲も歌っとらん。」
クラスメートは訝しみながら、「何しに来たんだ?」、と聞く。
「長瀬の憂さ晴らしに付き合あってる。今日、なんかあったようだ。」というと、
「あぁ、多分あのことだろ。」と切り返された。
なんか知ってんのか?と、尋ねたところ、
「聞いた話なんだがな・・・」といって、話し始めた。
そいつの話によると、千尋は昼休みに他のクラスの女子に呼び出され、口論になったらしい。
内容は、仮にA子とするが、このA子が好意を寄せている男子(仮にB男としよう。)が、千尋に告白をした。
千尋はそれに対して、丁重にお断りをしたと。
そのことを知ったA子が、「付き合って欲しいとは思わないが、あんな素敵なB男君をあっさり振るなんて何様だ!ちょっと美人で人気があるからって、お高く止まってんじゃないわよ!」的なことを味方2人引き連れて千尋に物申した。
千尋は、「B男君のことはよく知らないし、今、誰かとお付き合いをするつもりはない。」、とA子に告げたところ、
「桜井とデキてるくせに、付き合うつもりはないとかよくいうわよ!
あんな男の通い妻やってるくせに白々しい。
一体、桜井なんかのどこがいいのよ?
あんなのB男君の足元にも及ばないし、良いとこなんて一つもないわ!」、的なこと述べたら、
千尋が豹変。
「あたしがあんた達にどういわれようと一向に構わない。
だけど、今回のことにヒロは全く関係ない!
通い妻とか、なんとか言いたいなら好きに言えばいい。
でもね、人様の家庭の事情を知りもしないで、土足で上がり込むんじゃないわよ!
ヒロの迷惑になるようなことをしたら、あんた達のこと、絶対に許さない!!
高校生活これからまだ2年ぐらいはあるんだから、覚悟しておきなさいよねっ!!!」、
と脅され、3人の幼気(?)な女子は、涙目になり、縮み上がって一目散に逃げて行ったそうだ。
「そういうことか・・・。」
思わずため息。
千尋は言い方について、『やっちまった。』、という自責の念にかられたのだろう。
「長瀬はお前のことになると、人が変わるからなー。」
と、しみじみ。
「?」
「? 知らないのか? 昔からだぞ?」
「へ?」
「まー、その辺はお前もだけどな(笑)。」
といって、戻って行った。
オレは、クラスメートの後姿を目で追いかけながら一言。
「はぁぁあ?」
相当、間が抜けていたと思う。
そして、【告白された】ということに、なぜだろう?
胸の辺りがチクリとした。
でも、それより、、、
『ヒロくんは、チーが守るからね。』あの時のことを想いだす。
『ありがとな。 でも、無理すんなよ。』、そう心の中で呟く。
ルームに戻ると、「ヒロもなんか歌いなさいよ。」
といって、デンモクを差し出す。
オレはジンジャーエールと温かいコーンポタージュをおもむろに差出し様子をみる。
それから、「おー♪」、と返事をして検索にかかる。
千尋は…満足そうに両方少しずつ口に含む♪
こういう時、オレからは何も聞かない。
そうすると、
「・・・ねー、ヒロ。」
「どした?」
「実は、今日ね・・・」
という具合に、チーが話し始める。
結局この日は、1曲も歌わずに帰ることになった。
この間、オレはチーの話を真剣に聞き、受け止め、オレが助言できることをした。
こんなちっちゃなことだけれど、もし、多少役に立てたとしたら嬉しい。
守られてばかりじゃ、ね。