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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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退学勧告

「こないだは驚きましたわ」

「そうですわね。彼女、一体どうなるのかしら」

「どちらにしろ巻き込まれたくありませんわね」

「そうですわ。彼女自身が巻いた種ですもの」


クスクスと生徒達はあちこちで話をしている。


「あーもう!ヒソヒソ、クスクス煩いのよ!」

ルビーは噂話をしていた女生徒達に詰め寄る。


「まぁ!突然言いがかりをつけてくるなんて、怖い方ですわ」

「何をそうカリカリとお怒りなのかしら?」


「惚けないでよ!今ルビーの悪口言ってたでしょ!」

ルビーは女生徒達に怒りをぶつける。


「あら貴方の悪口なんて言いませんわ」

「えぇ私達はある生徒を心配する会話をしていただけですわ」

「誰かを貶める言葉なんて言いませんわ」

「貴方が聞いた悪口とはどんな言葉ですの?」

「そしてそれを証明することは出来ますの?出来ませんわよね?」

「私達に対して証拠もなくこのような態度を取るなんて、いくら学園内とはいえ不敬ですわ」


確かに女生徒達は悪口となる言葉は言っていない。

噂話をするのは何時もの事。

女生徒達の反論にルビーは己の不利を感じる。


「何よ!人のこと勝手に話してること自体嫌なことよ!」

ルビーは負けずに大声で反論する。


「ふふヤダわ。貴方みたいな人にそんな事言われるなんて」

「婚約者の居る男性に色目を使う人が私達を問いただすなんて」

「そういうお仕事の方でも常識を習うのですね」


「私は娼婦じゃないわ!」

ルビーは顔をカァと赤くし憤慨する。


「何を騒いでいるのかしら?」

「騒がしいな」


マリエットとダミアンが通り掛かる。

2人とも成績優秀者で来年の模範生、監督生候補と呼び声高く、騒ぎは見過ごせないようだ。


「ダミアン様、マリエット様。この方が私達に難癖を付けてきたのです」

「何言ってんのよぉ!ルビーの悪口言ってた癖に!ダン様! ルビーを信じてぇ!」


「落ち着け。それとそこの女生徒、勝手に俺を愛称で呼ぶな不愉快だ」

ダミアンに泣きつこうとしたルビーをダミアンはバッサリ言い捨てる。


「貴方達が噂話をしていたのは知っているわ。でも名指しでお話しするなんて、愚かなことはしていませんね?」

「「「もちろんですわ」」」


「そちら側の誤解のようだな」

「ダン様!名前を言わなかったからって悪口言ってたのは事実ですぅ!」

「名指しされてないのに何故自分の事だと分かった」

「みんなルビーの方を見て笑うからですぅ。それに皆ルビーが男性に色目を使ってるって言うのです。ルビー悲しぃ」

「笑われていると思うなら態度を改めろ」


「特に証拠も無いようですし、皆さんもうお行きなさいな。私達は彼女に用があるのです」

マリエットはルビーを残して女生徒達をその場から立ち退かせる。


「ちょっとぉ!まだ話は終わってないのにぃ!」

ルビーはマリエットに詰め寄る。

するとダミアンがマリエットを庇う様に2人の間に割り込む。


「マリーに近寄るな。マリー大丈夫か?」

ダミアンはマリエットをそっと抱きしめる。


「大丈夫よ。ダンが守ってくれるもの」

「あぁ。さっさと頼まれた用事を済ませてテラスに行こう」


「なっ!?」

「学園長がお呼びだ。以前より教員から呼びだしがあったはずだが、君が呼び出しに応じていないせいで我々が連れて来る様に命じられた」

「一緒に学園長室までお送りするわ」


「えぇー!学園長から呼び出しってなんでぇ!?」

「知らん。とにかく連れて来る様に言われている」

「(絶対ロクな事じゃ無いわ)ダン様にエスコートされてなら行きますぅ」

「お前に愛称で呼ばれるのは不愉快だと何度言えば済む。警備員!コイツを学園長室へ連れて行け!」


警備員はルビーを捕まえようとする。

「ちょっと!?」


「ダン落ち着いて。警備員も居れば逃げたりしないでしょうから、連行する様では可哀想よ」

「マリーがそういうなら仕方ない」


ルビーは両脇に警備員で固められ、ダミアンとマリエットと共に学園長室へ移動する。


コンコン

「学園長、ダミアン・モンタニエ、マリエット・ファビウス両名、ご命じ通りの女生徒を連れて参りました」

「入りなさい」


ルビーは警備員に押されて学園長室へ入れられる。

入ってすぐ眼光鋭い男性が座っているのが見える。


「2人ともありがとう。迷惑を掛けたね」

「「いえ、とんでもありません」」

「もう行って大丈夫だ。ありがとう」


ダミアンとマリエットは部屋を出て行こうとする。


「ダン様待ってぇ。学園長室に1人なんてルビー心細いのぉ。ダン様が一緒に居てくれたら心強いわぁ」

ルビーはダミアンの腕にすがろうとする。


「触るな。それと愛称呼びを辞めろと何度言えばわかる」

ダミアンは自分の腕に伸びてきたルビーの腕を避け冷たく言い放つ。


「マリー以外に愛称を許しているのは家族と殿下達ぐらいだ。それを知らない奴に呼ばれるのは不愉快だ」

「ダン様!知らない奴なんて、ルビーは何度もダン様にお会いしてますぅ!」

「学園で顔を合わせた程度だ」

「学園だけじゃないわぁ。お祭りで男に絡まれてる所をダン様が助けてくれたんですぅ!」

「あぁ、そうかお前はあの時の」


ダミアンが自分の事を思い出したと思い、頬を赤く染めるルビー。

「思い出してくれたんですねぇ!ルビーはあの時からダン様の事が…」

「そうか、あの時の腹いせか」

「えっ!?」


突然のダミアンの言葉にルビーだけではなく、その場に居たマリエット以外の全員が口を開きポカーンとする。


「祭りでお前の商売を邪魔したことで、腹いせに俺のことを愛称で呼び、付き纏っていたのか」

「商売って…私は客を取ってたわけじゃないわ!」

「そうか。だがお前のような者に付き纏われるなど嫌がらせとしか思えない」


「クッハハハ。モンタニエ君、流石にそれはないだろ。ここまで女心がわからないとは。ファビウス君、君も苦労するね」

学園長がとうとう耐えきれず腹を抱えて笑い出す。


「いいえ、ダンは私の事をわかって下さいます。ですから他の女性の心など、わからなくて結構ですわ」

「ハハ、モンタニエ君はいい恋人を持ったね。さぁそろそろ行きなさい。恋人の時間を削って申し訳なかったね」

「マリーは俺が唯一側に居たいと思う女性です。お言葉に甘えて失礼します」


マリエットとダミアンは学園長室から退室する。


「こっ恋人…」

ルビーは呆然と立ち尽くす。

(なんなのよ。なんでダン様はルビーを見てくれないのよ)


「さて、ルビー君だね。君に重要な事を伝えなければいけない」

「何ですか?」

「君の学費が未払いなのは知っているかな?」

「……は?」

「君の両親と連絡が取れない。このままでは君は学費未払いで退学になる。学費が払えない生徒には奨学金制度もあるが、君の成績ではとても無理だ」

「なっ何よそれ!?」

(どうせ旅行とか行って忘れてるんだわ!いい加減な奴らだもん)


「あっそうだわ!寄附金!寄附金をたくさんあげたじゃない!それでどうにかしてよ!」

「その寄附金だが、君が入学してすぐに返金願いが出されたため、返金している」

「は?何よそれ!じゃあ祖父は?両親がダメなら祖父にお願いすれば」

「祖父?君の祖父に該当する者は探せていないな。とにかく数日間は待つが、払えない場合は退学となる。話は以上だ、退室したまえ」


突然の退学勧告に呆然とするルビーは警備員によって学園長室から出される。





(なんで私がこんな目合わないといけないのよ!)


ルビーは両親に会いに家に帰るが、両親は居ないと門前払いされた。


(あのジジイ!本当の孫じゃないからって私を蔑ろにするなんて!こうなったら取り巻きの男達に出して貰うしかないわ!)


「あのねぇー。ルビー今すっごく困っててぇ」

「そっかー大変だなー」

「困ってるなら両親に相談するといいぜ」

「じゃあ俺ら行くから」

「じゃあね」


ルビー渾身の上目遣いに甘え声は効果はなく、男子生徒達は立ち去ろうとする。


「ちょ、ちょっとぉー」

ルビーは1人の男子生徒の腕にしがみつく。

「ちゃぁーんとお礼はするからぁ」


「辞めろよ。お前に構ってる場合じゃないんだよ!」

「そろそろ空気読めよなー」


そう言って男子生徒達はルビーを拒絶し立ち去り残されたルビー立ち尽くす。

あけましておめでとうございます。


年末年始はインフルエンサー、流行性結膜炎が職場で流行しまさかの8連勤でした。


もう後数話でルビー編は終わる予定です

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