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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
95/240

外堀

誤字脱字報告ありがとうございます。


「きゃあ〜!まさに天使だわぁ!!」

「セティー、それくらいにしてそろそろ打ち合わせをしないと」

「ゔぅー。後少しだけダメ?」

「はぁ、仕方ないな。お披露目が終わったらいつでも会えるというのに」

「だって赤ちゃんは少し会わないだけで成長するのよ?はぁ可愛い。まさに天使だわ」

「父上も同じ事を言っていたな」

「そりゃそうよ!あんなに可愛らしいお姫様なんだから」

「生まれる前に謎の呪文を言いながら踊り出した時はとうとう狂ったのかと思ったが」


アル様、とうとう狂ったかって……。

というか、その呪文と踊りってレオ君が産まれる前にお父様がしてたお祈りだよね。

ごめん。

それウチのお父様の影響だわ。


そう!

ついに産まれたのよ!

アル様の妹、この国のお姫様が!

王妃様と同じ桃色の髪に王家特有のブルーグレの瞳の可愛いお姫様が!


王族は出生のお披露目まで他人との接触はダメなんだけど、私は特別にアル様同伴でレースカーテン越しにお顔を見る事が許されたの。


でも、アル様の婚約者という特権使わせて頂いてしまったわ。

流石に我儘だったかな?

今度の学術研究発表会の後日に行われる授賞式と一緒に生誕発表するからそれまで待てば良かったよね。

しかも姫様のあまりの可愛さにまだ見てたいなんて言ってしまったわ。


「アル様、そろそろ打ち合わせしましょうか。お待たせしてごめんなさい」

「敬語になっているが、どうかしたか?」

「その、生誕発表前の姫様のお顔が見たいなんて我儘言った上に、忙しいアル様が時間を割いて打ち合わせをしてくれるのに、まだ見ていたいなんてさらに我儘を言ってしまったから。今日も遊びで来てるわけじゃないのに、ごめんなさい」

「セティー、あの子はセティーにとって義妹になるんだ。 だから発表前に顔を見ることは我儘に入らない。それに、私はそんな些細な事でセティーを怒ったりしない。それと今後私的の謝罪に敬語は使わないように(距離を感じるじゃないか)」

「うん、アル様ありがとう」


ではサクサク学術研究発表会の打ち合わせをしますか!

発表された研究や論文の総評をしないといけないのよ。

流石に当日聞いた発表にその場でする能力なんてないから、事前に摘出された概要を見てあらかじめ考えることにしたのよ。


アル様の婚約者として正式な公務。

アル様と一緒に参加だし、そこまで気を負う必要はないんだけど。

元々私ってこういう発表会とかで質問するタイプじゃないのよ。

それどろか寝ちゃうタイプなのよ。

大丈夫かな?

この世界に眠気防止のタブレット菓子やガムなんてないし、気合いで乗り切るしかないわ。


「ではセティーは医療と福祉方面を頼む」

「わかったわ」


その分野の資料や発表される論文の概要を貰う。

うぅ、もう緊張してきた。


「今回はセティーが居てくれるから私は退屈な発表会が楽しみだな」

「あら、アル様でも退屈だなんて思うのね」

「難しくて眠くなる話しを1日中聞いていないといけないからな」

「ふふ、私も寝ちゃわないように頑張るわ」

「ああ、私も寝そうになったら起こしてくれ」


ふふ、アル様が寝ちゃうことなんてあるわけないと思うけど、少し緊張が解けた気がする。

ありがとう、アル様。






-------------------

無事に学術研究発表会は終わったわ。

後は選考して発表するだけ。

でも確実に決まっているのはローウェル騎士爵の5年前に発見して発表した細菌に対応する抗菌薬の開発の発表ね。

治験の臨床データーも申し分ないし。

この薬が認可されれば医学がまた一つ発展するわ。


これは男爵位じゃなく子爵位に陞爵するかも。

新しい薬が開発されることはどれだけ大変で価値あることか。

ローウェル騎士爵の後継者問題とかがなければ子爵位だって手が届くほどのことだわ。


陞爵を行う前にその辺も調べられるはず。

正直、実の息子さんが爵位を継いだら研究費や報奨金を食い潰されてしまいそう。

そうなると残された研究員は路頭に迷ってしまうかも。


「セティー、どうした?」

「あっローウェル騎士爵の発表が素晴らしかったなって」

「そうだな。あれは受表確実だろう。今回のことで陞爵すると前々から言われているしな」

「そうね。でも陞爵したら後を継ぐ人が必要だわ。研究は勿論、爵位もね」

「ローウェル殿の身辺調査は既に終えているから心配は要らない。既に後継に指名する者は居るようだ」


そうなんだ。

じゃあ心配いらないかな? 

ちゃんと後を継いでくれる人がいるなら問題ないはずね。



とか言ってる内にあっと言う間に授賞式の日だわ。

授賞者は5名。

そのうち陞爵されるのは2名。

1人は騎士爵。

そしてもう1人のローウェル騎士爵が子爵になった。


色々驚いたけど、無事に授賞式と陞爵式が行われローウェル様が国王陛下から陞爵されるのをアル様の隣で見守った。




「ここで皆に新たな王族を発表しよう。第一王女のアナスタシアだ。名前の様に健やかな心根の娘になる事を祈っている」


王妃様に抱かれていたアナスタシア姫を国王陛下が紹介する。


国王陛下の言葉に出席していた貴族全員が盛り上がる。

一通り式典が終わり、国王陛下、王妃様、アル様はバルコニーへ行きアナスタシア姫を国民にお披露目する。


わぁすごい!

こんなに国民が集まっているなんて!


国旗や手を振りアナスタシア姫を祝う人で溢れている。


というかなんで私もここにいるの?

このバルコニーに出るのって王族だけだよね?

いやさっきから私の立ち位置おかしかったわ。


お父様の出仕と共に家族全員で早めに王城に来ていた。

一足先にアナスタシア姫に会ってと王妃様に言われ、私がアナスタシア姫に夢中になっている間に式典の時間になり、お兄様とお母様とレオ君はもう式典に向かってると言われ焦る私をアル様が一緒に向かおうと言ってくれた。

てっきり会場の前で別れるとおもったら壇上に続く門の前にいた。

そのまま国王陛下達と貴族との間にある椅子までエスコートされ、流れでその椅子に座ることになってしまった。

その後も流れでこのバルコニーに出されたんだけど。


いやいや、やっぱりどう考えてもおかしいよね!?

そりゃあ私以外の家族がもう入場してるのに後からコソコソ会場に入るなんて出来ないし、アル様にエスコートされて出てきて通された椅子に座れないなんて一悶着起こせないし、このバルコニーにだってアル様にサラッとエスコートされて来たけど、途中で振り解くなんて出来なかっただけ!

私はただの婚約者で王族の臣下だよ!?


「さぁセティーちゃんもアルと一緒に前にぃでてちょうだぁい」

「えっ!というかなんで私ここに居るのでしょう?」

「えぇー、セティーちゃんはぁ、アルの婚約者でぇもう王族みたいなものだからよぉー」


嫌々、そういう問題じゃないですよ!?


「さぁさぁ!早く早くぅー!」


アイリーン様によって無理やり前へ押し出される。

その瞬間アル様の名前を呼ぶ歓声が聞こえた。

聞こえてくる歓声の中に自分の名前が混じっていているのが聞こえ顔が強張る。


「セティー、ほら笑って」

アル様が私の肩に手を置き耳元で囁く


「っ!?」

耳元で囁かれたことで顔に熱が帯びるのを感じ、私は気持ちを抑えて笑顔を作り集まっていた国民へ手を振る。


国民から大きな歓声が上がる。


良かった。

アル様の婚約者として認めてもらえた気がする。



「ふぅ。無事に終わったか。残りはパーティーだけか」

「ふふ後少しよぉ。頑張りましょうぉー。セティーちゃんも一緒にお化粧直してしてぇ、一緒に入場しましょぉ」

「私はお兄様達とマルヴィン家として参加しますので」

「えぇー。セティーちゃんはアルの婚約者なんだしぃ」

「周りに遠慮することはない。セティーはもう義娘同然なのだから」

「国王陛下……」


義娘と言って頂けるなんて、なんて光栄なのかしら。


「国王陛下とはなんだ。アイリーンは名前で呼ばれているのに、ワシだけこんなそよそよしい呼び名で呼ばれるとは」

「えっあの陛下」


えっとこれが国王陛下の素なのかしら?

一人称も違うし、私のことも愛称呼びだし。


「父上!セティーを困らせないで下さい」

「何をいうか、将来の義父と義娘の仲が良いことにこしたことはないだろ。ほらお義父様と呼んでごらん。それかパパでも良い」


パパ!?

実のお父様にだって呼んだことないよ!

ああ、アル様と国王陛下が言い合いを始めちゃった!?

私がお義父様って呼べれば良いんだよね。


「あっあのお義父様!」

うわぁ。

恥ずかしい。


「おお!可愛いじゃないか!うん、可愛い娘が2人も出来てワシは嬉しいぞ。結婚したらアルに公務を押し付けて中庭でゆっくり過ごそう」

「えっ出来れば私はアル様を手伝いたいのですが」


アル様1人に働かせるなんて出来ないよ。


「くっなんて出来た娘なんだ」

「ふん、セティーは私の味方なんですよ。父上だからって馴れ馴れしくしないで下さい」

「おおなんだ自慢か?ワシにだってアイリーンという最愛の妻が居る。しかも念願のアイリーン似の女の子が生まれた俺にそんな自慢は効かんな」


国王陛下とアル様の間には火花が散っている。


うーん。

こうしてると現国王と王太子っていう感じじゃないよね。

普通の親子に見えるわ。


「セティーちゃん、この後のパーティーで次期王妃として振る舞ってねぇ」

「はっはい。頑張ります」

「ふふ、祝賀パーティーだから硬くならなくて良いのよぉ(今日のことで周辺諸国に我が王家がこの子を迎え入れる気でいることをアピール出来たはずだわぁ。私に出来るのは外堀を埋めることだけよぉ)」



控え室に戻るとそこには目を三角にしたお父様とそれを宥めるお母様達の姿があった。


「ロベルトー!なんでセティーをバルコニーに連れてったー!!」

「エド、そんな些細なこと気にするな。それよりセティーからお義父様と呼ばれたぞ!」

「!?そっそんな!セティー、嫁に行くなんてまだ早い!それにセティーの父親は父様だけだろ?そうだよね?ね!?」


お父様に両肩を掴まれユッサユッサ揺さぶられる。

ゔっ目が回る。


「父様、セティーが困ってますから離してあげて下さい」

「あぁ!ごめんよセティー。大丈夫かい?」

「えぇ大丈夫ですよお父様。それより今日の私の立ち位置、やっぱり予定通りではなかったのですね」

「そうなんだよ!おかげで周辺諸国の来賓から問い合わせが殺到したよ」


どうやらその対応をお父様がしてくれたらしい。


「お父様ごめんなさい。私がアナスタシア姫に夢中になって、お兄様達と一緒に入場しなかったせいです」

流石にお父様に申し訳ないわ。


「ふふふ。セティーちゃんならぁ、絶対アーシアに夢中になって時間を忘れてくれると思ったわぁ」

「あらアイリーンったら。やっぱりそうだったのね。ジルにセティーちゃんはお化粧を直してから来るって誤魔化してよかったわ」


王妃様!

まさか狙って!

というかお母様も気付いてたの!?


「エド、セティーちゃんは悪くないわ。悪いのは私とアイリーンよ。エドは大変だったわよね、ごめんなさいね。私を嫌いにならないでね」

「嫌いになんてなるはずないじゃないか!愛してるよエレオノーラ!」


目の前で両親がギュッと抱き合う姿を見るなんて。

ましてアル様達もいるのに。


「よしよし、エレオノーラのお陰でエドの機嫌も治ったな」

国王陛下がニヤッと笑う。


この後のパーティーはアル様と挨拶周りをし、アル様、お兄様、お父様の順でダンスを踊った。


来賓からは結婚式には是非参列させてほしいとか言われたわ。


はぁ。

告白も出来てないのにどんどん外堀だけが埋まっていくわ。

お姫様誕生です。


ルビー編が落ち着いたらちょこちょこ登場させたいです。

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