表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
94/235

気を引きたい

「ねぇ今日はテラスでランチしたいわ」

昼休みにルビーが取り巻きの男子生徒に提案する。


「あっごめんね。僕、教員に呼ばれてるから」

「俺も一緒に呼ばれてんだ。ごめんな」

男子生徒2人が教員に呼び出されているとランチを断る。

「えっ?」


「俺達もちょっと用事があるんだ」

「ごめん。今日は一緒出来ないんだ」

残り2人も用事があるとランチを断る。


「えぇーそんなぁ。用事ってなぁに?私皆を待ってるわぁ」

「けっこう時間掛かるから待ってなくていいよ」

「でもぉ1人のご飯なんて寂しいわぁ」

「じゃあ他の友達と食べなよ」

「そうだよ。せっかくだから女の子の友達と食べなよ」

「いつも俺達が独占してたけど、選択授業で友達も出来ただろうし、俺達以外の友達も大事にしないとな」

「え、は?友達!?」


「「「「それじゃあ急ぐから」」」」


そう言って男子生徒達は去って行ってしまった。


「なんなのよ。女の友達なんているわけ無いじゃない!」


ルビーは仕方なく1人でテラスに向かい、テラス席に着くと1人で食事を取り始める。


「はぁ。この私がぼっちで食事なんて。全くアイツらときたら」


ルビーはグチグチ文句を言いながら食事をする。

そこに1人の男性が近づいてくる。


「お食事中に失礼。レディーにお願いがあるのですが」

茶色の髪で端正な顔立ちの男性が立っていた。


「はい。私で良ければなんなりと仰って下さーい(これは一緒に食事をって誘われる流れよね!)」

「ありがとうございます。では席を変わって頂けますか?」

「えっ?」

「実は連れと食事をしたいのですが、生憎席が埋まってまして。隣の席と変わって頂けますか?」


ルビーは2人用の席に座って居るが、男性が指差す席は1人用の席である。

2人用の席の方がテーブルが大きく、椅子が2人掛け用になっている。


ルビーは初めに何でも言ってくれて良いと言ってしまったため、引くに引けない。


「わっわかりましたぁ」

「ありがとうございます」


ルビーは少し俯き、頬を赤く染めて恥じらいながら声を出す。

「(まだ諦めないわよ)あの私、友達が用事で1人なんですけどぉ、良けれはご一緒に……」

「おいで、マイレディー」


ルビーが話してる間に男性が荷物をせっせと移動し、連れを呼ぶ。

そこには水色の髪の美しい女性がいた。


「席を譲って頂いたようでありがとうございます。お礼にこれをどうぞ」

「っ!どっどうも」

ルビーは女性から学園内にあるカフェのクッキーを渡される。


「さぁせっかく席を譲って貰ったんだ。食事にしよう」

「えぇ。飲み物はコーヒーでよかったかしら?」

「あぁ。私が飲みたい物をわかっているなんて流石だ!」

「ふふ、そういう貴方こそ私の好物ばかりじゃない」


ルビーの隣の席に座ったカップルがイチャつき始める。


(なんでこの2人のイチャつきを見せられなきゃいけないのよ!)


「あら見て、1年のベストカップルだわ」

「本当だ。2人とも初々しいな」


(ベストカップル?そんなの居たかしら?)


ルビーはカップルが見てる方を見る。

そこには黒髪の男性と金髪の女性が寄り添っている。


「っ!?なっなんで!?」


ルビーの目に映ったのはダミアンとマリエットの2人だった。

この2人が一緒にいることは珍しいことではない。

しかし、ダミアンがマリエットの頭を撫でたり、肩を抱いている。

マリエットもダミアンに触れている。

このように2人がスキンシップを取っているのは初めての光景である。


「ふふ。ほんと初々しいカップルだわ」

「あの硬派な彼が恋人の前ではあんなに柔らかい表情をするんだな」


(なっ!そんなわけないわ!2人は家に決められただけの関係よ!ダン様の本当の相手は私よ!もっとアタックしなきゃ!)




それから数日ダミアンは学園の裏庭で剣の素振りを行っていた。


「やーん。どうしよぉー」

ルビーが木の枝に引っかかってしまった帽子を眺めて困っている。


「取れないよぉー。誰かとってくれないかしらぁ」

ルビーがチラッとダミアンの方を見る。


ダミアンは気にせず素振りを続ける。


「ダンさまぁ。助けてくださぁい」

ルビーは目を潤ませてダミアンの方を見て助けをお願いする。


しかしダミアンは自分のことなど呼ばれていないかのように気にせず素振りを続ける。


「ダン様!ダン様ってばぁ」

ルビーは諦めずにダミアンを呼び続ける。


それでもなおダミアンは気にせず鍛錬を続ける。


「(嘘でしょ!?)ダミアン様!」

「ん?なんの用だ」

愛称ではなく正式な名前を呼ばれてようやくルビーを視界に捉える。


「もうぉ、さっきから呼んでたんですよぉ。ダン様にお願いがありますぅ」

「俺の名前は『ダン』ではない。人違いのようだ」


ダミアンはそれだけを言うと立ち去ろうとする。


「えっ待って!『ダン』はダミアン様の愛称でしょぉ!?」


ダミアンはルビーの叫び声でようやく自分のことだと認識し足を止める。


「愛称とは親しい間柄でのみ使われる物。誰からも呼ばれる物ではない」

「ルビーとダン様はぁ、何度もお会いしてるしぃ、お話してる親しい間柄ですよぉ」

「記憶にない。クリスティーヌ嬢に紹介されたただの知人だ」

「やっやだわぁ。その後も鍛錬場や廊下でお会いしてるんですよぉ?」

「俺は知らないな。俺は君の事を知らない。クリスティーヌ嬢に紹介されたから『知人』ということになるが、それはただ名前を名乗り合ったに過ぎない」


「それならこれからルビーのこと知ってくださぁい」

ルビーがズズイとダミアンに近づき上目遣いをする。


「………。」

ダミアンは無言で冷めた目をする。


「時間が惜しい。さっさと用件を言ってくれ」

「そうでしたぁ。帽子が木に引っかかって困ってるんですぅ」

「取れということか。わかった」


(ふふ。ダン様ならカッコよく木に登って帽子をとってくれるはず。そしてその帽子を私にパサっと被してくれる爽やかなダン様!)


ルビーが妄想を繰り広げている中、ダミアンは木に引っかかる帽子を見つめる。

そして木に少し近づく。


バザッ!


ルビーの帽子が宙に舞う。

そしてヒラヒラと舞いながら地面に落ちた。


「取れたぞ」

「なっ……」


ダミアンは木に登ることはせず、少し離れた所から石を投げ、木を揺らして帽子を落としたのだ。


「用件は果たした」

それだけを言うとダミアンは足早にルビーの横を通り過ぎ去って行く。


「まっ待って下さい!(予想外すぎる。でもこれでお礼と称して近づくことができるわ)」


ルビーは小走りでダミアンを追いかける。


「ダン様お礼をさせて下さ…キャッ」

ダミアンを追いかけ追いつく瞬間に転んだ振りをする。


(よしこのまま抱きついちゃえ)


しかしルビーが転ぶ瞬間もダミアンは歩きを止めず、先に進んだ。

そのためルビーの腕はダミアンを掴むことは出来なかった。


ドサッ

ルビーはそのまま地面に転んでしまった。


(こんなはずじゃあ。でもダン様なら優しく手を貸してくれるはず…………って嘘でしょ!?)


ダミアンはそのまま前だけを見てルビーには目もくれず去ってしまったためルビーが顔を上げた時にはもう目の前にダミアンは居なかった。


「ふふふふ。いいわよ、そうこなくっちゃ。他の男達と違って難攻不落の男なんて燃えるわ!」

硬派なダミアンの行動が難しいですね。

下手するとただ冷たい人になってしまいそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ