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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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冤罪

なろうらしくした方が良いとのお言葉があり、タイトルを変更しました。


「「セレスティーヌ様!助けて下さい!」」

1年の令嬢2人が教室に駆け込んで来る。


「どうされたのですか!?」

「そっそれが、婚約者達とルビーさんが言いがかりをつけてきて」

「私達お揃いで襟飾りを作ったのですが、私達がルビーさんの物を盗んだと言いはじめて」


令嬢達は襟元にには同じ形にカットされた色違いの宝石を着けていた。


「それを作った時の宝石証明書は?」

宝石が本物である証明書が必ずあるはず。


「もちろんあります!宝石を加工した証明書だってあるんです!」

「それなのに、盗んだ物だと騒ぎ立てているんです!」

「教員の方が来てくれたのですが、新入職で庶民出身なためか押されているんです!」

「どうか、仲裁して頂けませんか?」

「わかりました。すぐにいきましょう!」


これはほっとけないわ。


「こちらです!」


連れてこられた場所は主に1年生が使う渡り廊下だった。


こんな廊下のど真ん中で騒ぎ立てるなんて、どういう神経してるの!?

こんな大勢の人が通る場所じゃあすぐに噂になるわ!

例え非がなくても、彼女達にとって醜聞になってしまう。


「鎮まりなさい!このような往来で騒ぎ立てるなど、何事ですか!」


ルビーさんと彼女達の婚約者である取り巻きの前に令嬢が2人。

そしてその近くでオロオロとしている教員が1人。

令嬢達は辛そうな表情をしている。


2人でなんとか耐えていたのね。


私の姿を見たルビーさんはあからさまに嫌そうな顔をする。


「関係ない人は口出さないでくださぁーい」

「私は模範生としてこの騒ぎを仲裁しに来ました」

「どうせそっちの味方なんでしょぉー?」

「いいえ、彼女達の依頼はあくまで仲裁です。ルビーさん側の話も聞きます。彼女が手にしている物がルビーさんが盗まれたと話した物で間違いないですか?」


彼女の手の中には先程と同じ形をした赤い宝石が見えた。


「えぇ、そうよ!早く返してよー!」

「では、ルビーさんのだという証拠はありますか?」

「ないけどぉー。でもそれはルビーのなのぉー」

「彼女達はこの宝石の証明書と加工証明書を持っています。 4人で一緒にお作りになったので、日付も加工した者も同じです。これは彼女の物という証拠になりませんか?」


こんなに証拠があるのに。

どうしてこんな騒ぎを起こすのよ。


「そんな物、いくらでも偽造できる」

取り巻きの男性1人が言い放つ。


「わざわざ、4人分の証明書を作ったと?そもそも、貴方達は何を根拠にこれがルビーさんのだと言っているんですか?」

「そんなの!ルビーが言っていたからだ!」

「それに、ここ数日ルビーはそれと同じ赤い宝石の襟飾りをしていた」

「大方、ルビーに嫉妬してこんな嫌がらせをしたに決まってる!」


は?

何それ?

結局、根拠になる証拠なんてないのね。

遠巻きで見ている生徒達も既に呆れ顔だ。


「ではやはりルビーさんの物だという証拠はないのですね。客観的に見ても、これは彼女の物だと思うのですが」

「宝石飾りはルビーのですぅ!私と同じ名前のルビーの宝石よぉ!この人達が盗んだのよぉ!」


「今この宝石がルビーだと言いましたか?」

「そうよ!」

「これはルビーではありませんよ」

「は?」


彼女から襟飾りを借りてルビーさん達に見せる。


「確かにルビーと同じ赤い宝石ですが、これはレッドスピネルという宝石です」

「え?」

「同じ赤い宝石なので、間違われやすいですが、光にかざすとその違いがわかります」


「そうです!これはルビーではありません!確かに赤い宝石といえばルビーが代表格です。しかし、ルビーさんが自身の名前と同じルビーの宝石を飾りに使っているのは知っていました。そんな宝石を友情の証にとお揃いにした飾りに使うはずがありません!」



宝石が違うという事実にルビーさんと取り巻きの男性達は固まる。


「どうやらルビーさんの見間違いのようですね」

「そっそうみたいですねぇー」


ルビーさん達はそそくさと退散しようとする。


「お待ちなさい。たとえ間違いだとしても人前で蔑むような発言をしたのですから、きちんと謝罪をしなさい。」


「うっ。ごっごめんなさい」

ルビーさんと取り巻きの男性達は謝罪の言葉を述べる。


「証拠も揃っているというのに、一方的に罵倒されたのです。口先の謝罪だとしても、頭を下げることぐらいはしてほしかったです」


どうやら令嬢は許す気がないようだ。

まぁ確かに。

謝ったから許されるなんてことが当たり前ではないし、許さなくていいわよね。

これも正式に名誉毀損で訴えてもいいことだし。


「私からは貴方達に減点と罰として1週間の慈善活動を言い渡します」


騒ぎを起こしたこと、無実の者に疑いを掛け一方的罵倒したのだから、罰則に基づいて罰を下すことにした。


「そんな!?ちゃんと謝ったのに!?」

「謝罪さえすれば無罪になるわけではありませんし、許されるわけではありません」

「だからって、罰なんてあんまりです!」

「心から反省しているなら態度や行動で示して下さい。そのための罰則ですから。自分を見つめ直す良い機会になるといいですね」


「さぁ、皆さんも騒ぎは収束しましたのでお帰り下さい。先生も、今回の件に関しては私から学園に報告させて頂きます」


私はそれだけを言ってその場から離れる。


はぁ。

疲れたぁー。

さっさと報告書を書いて終わりにしよう。

慈善活動は何がいいかな?

掃除か草むしりくらいでいいかな。


「セレステーヌ様!」

「はい」

「ありがとうございました。お陰で私は大事に至らずに済みました」

「いいえ、模範生として当たり前の事をしただけです。それに、証拠は揃っていたので苦労はしませんでしたし。貴方達こそ今回は災難でしたね」

「最近何かと言葉の攻撃を受けていたのですが、まさかこのように、私を貶めようとするなんて思いませんでした」


仮にも婚約者だしね。

関係が冷え切っていても、こんなことするなんて思わなかったよね。


「今回の件は家に報告します」

「その方が良いですね。今後のこともありますし」

「はい。実は最近、彼の行動があまりにも目に余るので、上手く行けば彼と婚約破棄が出来るかもしれないのです」

「あら、婚姻による事業の条件を結び直すのではなく、婚姻そのものが破棄出来るなんて嬉しいですね」

「実は私達4人で事業を起こすことにしたんですの。領地経営の一部ですが、それぞれの家の事業を合わせることで利益が出ます。今はそれ程の利益ではありませんが、時間が経てば初期投資も回収出来るはずです」


強いわね。

もう彼女達の中では、婚約者の家に頼る未来はないようね。

こうなったら徹底的に調べなきゃ。

彼女達の未来が明るくなるように。


「力を合わせて前へ進んで行くなんて、素晴らしいことです。学園生活と経営の両立は大変だと思いますが、頑張ってください」

「はい!必ず成功させてみせます!」


前へ向かって歩んでいこうとする彼女の目はキラキラと輝いていた。







---------------------------


ルビーside


最近、選択授業のせいで、取り巻きの男達が居ない事が多くて面白くないわ。

コソコソ、ネチネチうるさいのよ!

悪口なら直接言いなさいよ!


それに婚約者をルビーに取られてるのに、涼しい顔してる女達にも腹立つわ。

ちょっと陥れてやろうと筆箱とかノートを自分で壊したり破いて虐められたと訴えたけど、全員アリバイがあってダメだったわ。

ついでにクラスの他の女達にも。

なんなのよ。

なんでそんな偶然が重なるのよ。

たまたま全員アリバイありとか、有り得ないでしょ!


それに、せっかくダン様のクラスと合同のダンスの授業があるのに、ダン様とは踊れないし!!

あの婚約者邪魔なのよ!

周りを味方につけて、初心者は教員と踊った方が良いなんて、あからさまに邪魔されて。

しかも、ダン様とお揃いの飾りを着けて見せびらかすなんて嫌味な女だわ。

ダン様がそんな物わざわざ着けるなんてしないわ。

絶対あの女に無理強いされたのよ!


クラスが違うから、あの女には中々近づけない。

だから取り巻き達の婚約者でストレスを解消しようと思ったのよ。


馬鹿な男達は飾りが無くなった。

彼女が着けてるの、ルビーのと同じだわ。

なんて言ったら、思った通りに行動してくれたわ。


なのに。


なんで模範性なんかが出てくるのよ!

もう少しで上手くいったのにー!!


せっかくこの数日ルビーの襟飾りを着けて周りにも周知させて、野次馬を味方に出来てたのに!!

なのにセレスティーヌのせいで台無しだわ。

おまけに草むしりって何よ!?

暑いし、腰は痛いし最悪よ!!


全然楽しくないわ。

せっかく男達に囲まれていても低スペックの男達じゃあ周りに羨ましがられないし。

学園内カーストでは立場が低いままだし。


やっぱりダン様の恋人にならないと!

ダン様の恋人になれば、みんなから羨望の眼差しで見られるわ!

カーストの頂点間違いなし!

はぁ、最高だわ!


ダン様を落とす作戦考えないと!

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