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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第1章
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お披露目②

高らかな音楽と共に、国王夫妻とアルベルト様が入場し、壇上にあがる姿が見える。


あぁ〜〜‼︎

アルベルト様‼︎

小さいアルベルト様が‼︎

ゲームでの面影がある!

可愛いぃぃ‼︎

尊い!尊いよー!

ヤバイ、興奮が止まらい!


私が興奮している間に、国王陛下とアルベルト様の挨拶が終わっていた。



アルベルト様の前に行列が出来ている。

ご子息ご令嬢が王子と仲良くなろうと挨拶する為に出来た列だ。

私は、その列に並ぶ人達の気迫に若干引きながらその行列を眺めていたのだ。

するとお兄様が私の顔を覗き込み込んだ。


「セティーは行かないの?兄様と一緒に行こう。

兄様はアルベルト様とは顔見知りだから大丈夫だよ」


私が緊張していることに気を使ってくれている。

本当に優しいお兄様だ。

こんな人に将来、暗殺されるかもしれないなんて……。


私は列に並び、順番を待つ間アルベルト様の方を見る。

アルベルト様は王子様の仮面を貼り付けたような笑顔をしていた。


確か、アルベルト様は生まれた時から、権力に媚びてくる人達を見てきたのと、世継ぎとして、完璧さを求められ、極親しい人にしか素の表情を見せないんだよね。


私は権力に媚びる気はしないが、動いてる生のアルベルト様を前にして冷静でいられるだろうか。


ついに私達の番が来た。

「アルベルト様、本日は誠におめでとうございます」

「ジェラルド、来てくれたのか。ありがとう。ジェラルドに祝ってもらうのは嬉しい」

「ええ、本日は私の妹を紹介させて頂きます。セレスティーヌ、ご挨拶を」


「お初にお目にかかります。セレスティーヌ・マルヴィンでございます。本日は誠におめでとうございます。以後お見知り置きを」


私はお兄様の後ろから一歩前へ出て、習った通りの礼をする。


「あなたがセレスティーヌ嬢か、宰相とジェラルドから良く話は聞いている。聞いていた通りに可愛らしい人だ」


お兄様に向けた笑顔から一転、貼り付けた笑顔で言われ、私も淑女の笑顔で答える。


「ありがとうございます。それでは、これで失礼させて頂きます」


「「えっ!?」」

2人が驚いた顔でこちらを見たが、私は無視して、体を翻しアルベルト様のそばから離れる。


「セレスティーヌ嬢!?」


お兄様は私の後を追って来た。

「セティー、いいのかい?アルベルト様と話す機会なんて、めったにないことなんだよ?」

「はい。あれ以上は私が緊張してしまいますし、何か失礼な発言をしてしまうより良いと思いまして」


というか、私の顔面の筋肉が限界。

いくら心のこもってない言葉や笑顔でも、生のアルベルト様を近くで見て、私の心は浮かれまくっている。

あれ以上長く居ては、緩みまくった、だらしない顔を晒すことになる。

思い出すだけで心臓がやばい。


落ち着かせる為に庭園の花を眺めるが、中々落ち着かず、頬が緩むのがわかる。



「楽しそうだね、何か珍しい花でもあった?」

「えっ?」

不意にお兄様が問いかけてきたが、よくわからない。

「いや、すごく良い笑顔だったから、何かあったのかなって思ってね」

「な、なんでもありませんわ」

「そう?ならいいけど。」


危ない、自分の世界に浸ってるのがバレたのかと思った。


「もし疲れたなら言うんだよ。母様は、ご婦人達とお話しを楽しんでるようだけど、ベンチに座って休んで待ってることも出来るからね」

「わかりました。でもまだ大丈夫ですわ」



アルベルト様の集団から離れていると、貴族のご子息達が話しかけてきた。


「はじめまして、お話ししませんか?」

「君は王子に興味ないの?」

「君の髪、とっても綺麗だね」


わぁっと言う感じで群がられる。


今日のパーティーは、アルベルト様が主役で、ほとんどの令嬢が、あっちに行ってしまったからだろうか。


助けを求めて、お兄様の方を見るが、お兄様にも、年上の令嬢達が群がっている。

アルベルト様と年が離れた令嬢にとっては、お兄様の方が魅力的なのだろう。

まぁ何せ、公爵家の跡取りで、イケメンで、性格も良しの優良物件なのだから仕方ない。


仕方ないので、ご子息達とお話しすることにする。

「はじめまして、セレスティーヌ・マルヴィンです。よろしくお願いします」

「「「「よろしくお願いします」」」」

「僕たち、今日のパーティーで良い人を見つけるように言われてるんだけど、みんな王子の所に行っちゃって」

「君も、婚約者を見つけるように言われてるの?」


「今日は、アルベルト様にご挨拶に来ました。私に婚約者なんてまだ早いです」


確かに、婚約者を見つけるには、良い機会なのかもしれない。

ゲームのセレスティーヌはこの後アルベルト様と婚約する。

しかし、私はアルベルト様に興味が無いような対応をしたことで、婚約の話しは流れるだろう。

アルベルト様の婚約者とならなくても、私は公爵家令嬢、他の誰かと婚約を結ばなくてはならないだろう。


ふと、令嬢に囲まれている、アルベルト様の方を見る。

今ここで、私が婚約者にならなければ、他の誰かが、婚約者になるんだろうか。

今無理に婚約した所で、破棄され、処刑される運命なんだけどね。

今は他の誰かと婚約する気にはなれないな。


今のこの気持ちも、もしかしたら、ゲームのキャラに対してであって、本物ではないのかもしれない。

それでも、今はこの気持ちを捨てることが出来ない。

願わくば、お兄様のように、アルベルト様にとって内側の人間になりたい。


なんだか胸がモヤッとする。


ある程度した所で、お兄様が私を呼びに来た。

そのままパーティーは終了し、私は屋敷へと帰った

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