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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
87/235

ルビー・セレバート

王都郊外、貴族街の外れ。

宿屋ほどの大きさの屋敷と奥に厳重な門で囲まれた研究所が見える。


今日からここで暮らすのね。


「フフ。まぁまぁな屋敷じゃない!」

「今日から私も令嬢なのね!」


そうよ!

これで私も貴族よ!

夢の特権階級よ!

ドレスや宝石に囲まれて暮らすのよ!

数日前まで娼婦見習いだったなんて嘘のようだわ!


「フフ私に感謝しなさいよ。私が彼を口説き落としたおかげでこの屋敷に住めるし、ルビーは娼婦にならずに済んだんだから」

「ハイハイ。母さんには感謝してるわよー」


ハッ!

あんたみたいな娼婦の娘に生まれたせいでどれだけ苦労したと思ってるのよ!

物心ついた頃から店で下働きをさせられて、学校では蔑まれて。

10歳を過ぎた頃からは酒の席で酌をさせられ、少女趣味の気持ち悪い男の相手をさせられたのよ!

もう少しの所で娼婦にさせられる所だったわ。

私はただ娼婦をしてる母さんの所に生まれただけで何も悪くないのに。

借金をして娼婦になったのは母さん。

体で稼げるからって店に借金したままだったのも母さんよ!

なんで私まで母さんのために働かなきゃいけなかったのよ!


いい男捕まえたくらいでいい気にならないでよ。



「此奴が勝手に娶った者とその娘など、関わる気はない。 研究の邪魔さえしなければ屋敷に居ることを許そう」


屋敷の主人で私のお爺様になる人に挨拶したらこの返事が返ってきた。


この老いぼれジジイが。

まっ幸い、新しいパパは私にメロメロだわ。

フフ、綺麗なドレスに綺麗な髪飾り。

私にぴったりー!

もう、おねだりすれば何でも買ってくれるわぁ!

正直、母さんより買って貰えてるかも!

やっぱり若い方が良いに決まってわよねー!



「ルビーを王都の学園に入れることにしたわ!」

「はっ?何言っちゃってんの?私の頭で入れるわけないじゃーん」


王都の学園ってあれでしょう?

貴族の学校でしょう?

庶民は成績優秀者だけが推薦を貰って奨学金制度を受けて通うあの学園でしょー?


「何言ってるのよ。私達は奨学金を貰わなくても大丈夫なのよ。それと寄付金で貴族棟にゴリ押したわ」


あっそうか。

私はもう庶民じゃないし、入学に必要なお金を払うことだって出来るんだわ!


「一応試験があるらしいけど、クラス分けをする為の物だから大丈夫でしょ。それより!貴族の良い男を捕まえるのよ!今度はルビーが頑張る番なのよ!絶対に良い男を捕まえて頂戴!」


そんな事言われなくても分かってるわよ!

私だって良い男を捕まえる必要くらい分かってるわよ!

でもそれは私の幸せの為によ!

母さん達を楽させる為にじゃないわ!


まぁ、あの薄汚い娼館と違って貴族ばかりの学園だもの。

選り取り見取り。

男を捕まえるなんて簡単だわ。


もしかしたらあの人に会えるかも。

祭りで店の客に絡まれて困っていた時に助けてくれたあの人。

もう娼館の女じゃないのに、母さんのことを散々指名してやっただろとか、高い酒だって入れてやったとか言って絡んできた男をあっという間に捻り上げ私を助けてくれた。

名前を聞いたけど、颯爽と去っていってしまったから名前も知らないあの人。

出来ることならまた会いたいわ。



制服の見本が届いたわ。

ふーん。

オーダーメイドも出来るのよね。

じゃあスカート丈を短く申請しよっと。

ロングスカートだと長過ぎて野暮ったいのよねー。

これくらいが丁度良いわよね。

うんうん、いい感じだわ!

中のシャツはどうしようかしら。

見本は胸元をピッタリ閉じてる普通のシャツだけど、これだと野暮ったいわよねー。

少しくらい胸元を開けた方がいいわね。

うん、この方がスタイルも良く見えるわね。




キャアー!!!

あの人だわ!!!!


かったるい入学式の中で、新入生代表の挨拶をするあの人の姿があった。


ダミアン・モンタニエ様というのね!!

私が貴族になって学園で再会出来るなんて、まるで運命だわ!!


ダミアン様の事を調べるとすぐに辺境伯家の跡取りであることがわかったわ。

ついでに婚約者が居るってことも………。


婚約者が居るからって気にすることはないわよね!

政略結婚の婚約者なんだし!

現にこうして、婚約者が居る4人の男が釣れたわ!


初めは何か言ってきたけど、最近はなーんにも言ってこないし。

きっと諦めたのよ。

だってルビーの方が可愛いし!


でもこの4人が良い男かと言われると微妙なのよねー。

顔は普通、家も普通。

成績も普通で将来の伸びしろは今の所なし。

ちょっとボディタッチをしてあげただけで欲しい物を貢いでくれる扱いやすさはあるけど、将来相手には選ばないわぁ。

婚約者の女達には悪いけど、ダン様のハートを射止めたら捨てさせてもらうわ。

その為にはまずダン様に近づかなくちゃ。



なんか教室の廊下側が騒がしいわね。


「セレスティーヌ様よ!」

「マリア様もいらっしゃるわ!」

「エメリア様まで! 模範生の方々がお見えなんて!」


あぁ。

2学年の模範生とかいう女3人ね。

王子様の婚約者だとか、侯爵令嬢だとか、生まれが良かっただけで何にも苦労してなさそうな2人と、私と同じで元庶民だけど頭が良いからって身分が高い人達に混じってる女ね。


でも正直羨ましいわ。

どうしても学園で1番キラキラしてるグループってこの3人なのよね。

全員綺麗で可愛いなんて類友ってやつかしら。


「ルビーさん、貴女に模範生としてお話があります。放課後お時間を頂けますか?」


気がついたら3人が目の前に来てたわ。


「えっわっ私ですかぁ?わかりました。えー?なんだろぅ?」


げぇー!!

どうせ説教でしょー!!

はぁー。

さいあくぅー!!


あっでもこの機会にこの3人に媚を売っておけば良いことあるかも。


セレスティーヌ先輩は母方が辺境伯家だからダン様とも面識があるみたいでこないだ廊下で挨拶してるの見たんだから!

マリア先輩も双子の兄が騎士を目指してるから同じく騎士を目指すダン様と繋がりがありそう!

エメリア先輩は同じ元庶民の身分で、上手くここまでのし上がった裏技を教えて貰えるかも!



はぁー。

まぁ案の定お説教だったけどさー。

無理だわぁー。

仲良くなるとか無理だわぁー。

もうルビーのやる事全部否定する気?ってくらい説教されたわー。


ちょっと生まれと見てくれが良いからって調子に乗らないでよ!

エメリアさんも同じ元庶民なんだから少しは味方してよねー!



ダン様を見かける度に色々と仕掛けるけど、ことごとく上手くいかない。

訓練場にも通ったけど、婚約者が邪魔なのよ!

そして噴水近くにいるダン様に近づいて噴水に落ちた。


あぁーもう!

最悪だわぁ!

ダン様は行っちゃうし!

この婚約者も邪魔なのよ!!


噴水に落ちた後日。



「貴方、あんな凡才の男子生徒を手玉に取って天狗になっているのかしら?」

「えっ?はっ!?いきなりなんなのよ!?」

「いいえ、別に。ただ1学年の問題児さんの姿をよく目撃しますが、噂と違って連れている男子生徒は対したことないと思いまして。まぁ貴方にはちょうど良いかもしれませんが」

「何ですって!?あれはただの貢ぎ用の男よ!」


金髪縦ロールのよくわからない女に絡まれたわ。

ていうか金髪縦ロールって本当に存在するのね!


美人だけど、万人ウケしないキツイ顔の変な女って思ってたけど、ダン様を紹介してくれるなんて!!



それからはクリス姉様と呼ぶことにしたわ!


「ダン様の挨拶がね、クールでとっても素敵なの!それからねー!見て!この髪飾り!ルビーにぴったりでしょう!取り巻きの男子から貰ったの!」


ダン様との近況と取り巻きから貰ったプレゼントを披露したわ。


クリス姉様はクラスの女達と違って「よかったわね」と言ってくれたわ。

見かけより優しいのよねー。


それにしてもこんな大きなルビー初めて見たわ!

庶民の頃は偽物しか持てなかったから嬉しいわぁ!

これに合うネックレスも買ってくれるって言ってたわ!

ちょっと抱きついたり、頬にキスするだけでこんなに良い物が貰えるなんて、ほんとチョロい男達だわぁ。


ふふふ。

ますます綺麗になるわぁ。

後はダン様のハートを射止めれば完璧だわ!

取り巻きの4人と違って婚約者と仲が悪いわけじゃなさそうだけど、愛想の悪そうな女だったもの、きっとルビーになびくはずよ!

貴族の女は高位になればなるほど、愛想がないのよねー。

女は愛嬌が大事よ!


ルビーの可愛い顔と完璧なスタイル!

それに愛嬌が加われば最強よ!!


待っててねダン様!

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