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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
86/236

懐かれる

台風15号凄いですね。

私はタクシー2時間待ってますが、一向に列が進みません。


こういう時、休めない職種が憎いです。

クリスティーヌside


悔しいですわ。


2学年の初日、勇気を出してアルベルト様に話しかけましたのよ。

それなのに一緒に並んで勉強するどころか、セレスティーヌに令嬢達を紹介させるなんて!


アルベルト様がセレスティーヌの頭を撫でると教室内にどよめきが起きましたわ。


聴こえてくるのは2人を賞賛する声。


それからも近づこうとしましたが、ことごとく失敗。

一緒のクラスになれればチャンスはいくらでもあると思いましたのに!


授業中も休み時間も食事の時間さえも、いつも6人で固まっていて近づけませんわ!


授業で近くに座った令嬢からは

「あの6人は1学年の時から仲がよろしいんです!我がクラスの象徴ですわ!」

とか

「クラスのトップに君臨する方々ですわ。私達のような普通の者が中に入るなんて恐れ多いですわよね」

とか

「アルベルト様とセレスティーヌ様は恋人同士ですし、皆さんお2人の共有の友人ですもの。素敵なはずですわ」

などと言われましたが、私だってアルベルト様とはただの知り合いではありませんわ!

それにマリアとだって昔、遊んであげたことがある仲だわ!


今日はアルベルト様に勉強のことで話しかけてみましたわ。


ふふふ。

勉強のことなど真面目な内容にはきちんと対応して頂けるわ。

このままどうにか距離を縮めたいですわ。


「よろしければ昼食がてら他の問題も教えて頂けませんか?」


最悪、他の5人が一緒でも構いませんわ!


「すまない。今日はセティーと2人で食事をする大事な日なんだ。解らない問題は教員に聞いてくれ」


アルベルト様はそう言うとセレスティーヌの所へ行ってしまった。


アルベルト様は後ろ姿しか見えないので表情はわかりませんが、セレスティーヌは花が咲いたような笑顔ですわ。

2人は甘い雰囲気を作り出し、アルベルト様はセレスティーヌをエスコートして教室を出て行きましたわ。


なっ何ですの!?

2人きりで食事ですって!?


「クリスティーヌ様、ダメですよ。お2人の邪魔をされては」

「2人はああして週に一度2人っきりで食事をしてるんですよ」

「学内デートだなんて羨ましいですわぁ」

「いつも御友人達と過ごされているのに、あのように2人の時間も大切にされてるなんて」

「まさに理想のお2人ですわ!」


令嬢達が盛り上がっている一方で私の心は冷めていきますわ。

せっかくアルベルト様と同じクラスになれたというのに、セレスティーヌと睦まじくしているのを目の当たりにするだけなんて。



「お2人は卒業後すぐに結婚で来年は式の準備で多忙になりますし、恋人期間を楽しめるのも今だけですものね」

「お2人が思い残すことがないように応援致しましょう!」


結婚!!

まだ先だと思ってましたが、王族の結婚ですから準備に1年は掛けるはず。

つまり来年には周辺諸国にセレスティーヌが王太子妃になることが発表されてしまいますわ。

今年中に、どうにかしてアルベルト様に振り向いてもらえないといけませんわ。


セレスティーヌと私の何が違うのかわかりませんわ。

ただあの王宮のパーティーで行われた婚約式からはっきりと立場に差がつきましたわ。


でも!

私は周りに邪魔されてるだけですわ!

お父様が勝手に候補者を降りてしまったからいけないんですわ!

未だに納得してませんのよ!!

だいたいお父様が私を王妃に望んだというのにどうしてですの!?

お父様だけではありませんわ。

お祖父様やお祖母様にだって望まれて、私が王妃になることはアルベール家の総意であったはずですわ!


ふん!

お茶会を断ってしまったのは不味かったと一瞬思いましたが、やはり断ったことに後悔はありませんわ!


恋敵と馴れ合うなんて言語道断ですわ!






私が悶々としながら廊下を歩いていると辺境伯家子息とその婚約者が噴水の近くに居るのが見えましたわ。



「あっつーい。こう暑いと水遊びしたくなっちゃうわぁー」

シャツの胸元をはだけさせ、規定より短くしてあるワンピースの裾から足を覗かせて噴水に手を浸す例の女生徒の姿も見えましたわ。


なっなんて、はしたない姿なの!?

たしかに春は過ぎ、暖かくなってきてるからといって、あんなに足を晒すなんて!?


そうこうしているうちに、女性徒は噴水に落ちた。


「きゃあー。もうやだぁ 私ったらぁドジなんだからぁー」

女性徒がチラッと辺境伯子息の方へ視線を送っているのがわかりましたわ。


まさかあれで辺境伯子息の気を引こうとしているというの!?


気になるので、木陰から様子を伺うことにしましたわ。



「あら大変だわ。このハンカチをお使いになって。ダンは先生を呼んできてもらえるかしら。それまで私は彼女についているわ」

「ああ、わかった」


「えっちょっと。ダン様が手を貸してくれるだけで大丈夫です」

「あら、ダンならもう行ってしまったわ。それより早く噴水からお上り下さい。 風邪を引いてしまいますよ。この噴水は浅いから立ち上がれると思いますが」

「貴方に言われなくても立つわよ!」

「立てるようであれば良かった。あら、随分ワンピースのスカート丈が短いようですが。この際、洗うのではなく仕立て直すことをお勧めしますわ」

「大きなお世話よ!これは好きでこの丈にしてるのよ!」

「まぁそうでしたか。あまりに貴族的ではないもので、失礼しました」


「マリー、教員が居なかったので、彼女の付き添いを名乗り出てくれた者を連れてきた」

「ダン、ありがとう。ではその方々にお願いしましょう」


「ルビー!噴水に落ちたと聞いて心配したんだ!」

「早く医務室に行こう!」

「どこか痛くない!?」

「歩けないなら俺が抱えようか?」


付き添いに申し出たのは女生徒が誑かしていると噂の男子生徒4人ですわ。


「それでは彼女をお願いします。あっ先程のハンカチは返さなくてけっこうです。それでは私達はこれで」


「あっちょっと! ダン様!」

「ダンったらいつの間に『知り合い』になったの?」

「いや、知らない。『知り合い』になった覚えはないな」

「あらそうなの?でも愛称で呼ばれてるわよ」

「何度か姿を目にしたことはあったが、いつもマリーが対応してくれているから、俺は『知り合い』ではないな」


「えっ!?そっそんな!?」

「誰だかは知らないが、勝手に俺のことを愛称で呼ぶのは辞めろ。マリー、行こう」



辺境伯子息と婚約者はその場を離れて行き、女生徒は呆然としていますわ。

周りにいる男子生徒が世話をし、医務室に連れて行くのが見えますわ。


なるほど。

身の程知らずにも、あの辺境伯子息が本命ですのね。

今侍らせている男子生徒は正直ニ流ですものね。

あの辺境伯子息を手に入れるまでの踏み台と言った所かしら。


あの様子だと1学年はさぞ荒れているでしょう。

そして、指導に困り果てるセレスティーヌの顔が浮かびますわ。

オーホホホ。

いい気味ですわ!



その後も度々辺境伯子息の周りをウロついたり、男子生徒と親密にしている彼女の姿を目撃しましたわ。


相変わらず辺境伯子息には近づけない様子ですわ。

もし私がここで辺境伯子息と彼女を引き合わせたら、セレスティーヌはもっと困ることになるかしら。



「貴方、あんな凡才の男子生徒を手玉に取って天狗になっているのかしら?」

「えっ?はっ!?いきなりなんなのよ!?」

「いいえ、別に。ただ1学年の問題児さんの姿をよく目撃しましたが、噂と違って連れている男子生徒は大したことないと思いまして。まぁ貴方にはちょうど良いかもしれませんが」

「何ですって!?あれはただの貢ぎ用の男よ!」


私の挑発に女性徒は目を見開き怒りを露わにしますわ。

チョロいですわ。


「それなら本命が居ますの?まさか、あの辺境伯子息とは言いませんわよね。 全く相手にされてないんですもの」

「!?キッカケがないだけよ!キッカケさえあれば私だって!」


「そのキッカケ、私が作ってもよろしくってよ」

「はっ?えっ!? ほっ本当に!?」

「ええ。申し遅れましたが私はアルベール侯爵家のクリスティーヌですわ。 私ほどの者になると社交界でも顔が効きますのよ!」

「お願い!彼に近づきたいの!!あっ私は……」

「知っていますわ。ローウェル騎士爵のお孫さんでルビー・セレバートさんでしょう? 貴方有名ですもの」

「ふふーん。ルビーの美貌はそんなに有名なのね!」


問題児ってことで有名なんですのよ!

確かに可愛らしく綺麗ではあるけど、ここは貴族が通う学園。

美しい女性は沢山居ますわ。

まぁ、私はその中でも飛び抜けていますが!


「あっでもなんで急に?ルビー、貴方と知り合いじゃないのに」

「貴方が思うままに過ごすことで私にメリットがありますの」

「ふーん。まぁなんでもいいや!早くルビーにダン様を紹介して!」


さっきから私に敬語を使わないなんて、なんて生意気な小娘なのかしら。



後日。

ルビーの思い人あるダミアン・モンタニエに近づくため、モンタニエ家主催の展覧会にマナーの勉強と称して私の連れとして参加しましたわ。


そこで正式にダミアン・モンタニエとその婚約者である、マリエット・ファビウスにルビーを紹介しましたわ。

これでお互い名乗って言葉を交わした『知り合い』になりましたわ。


全く。

ルビーときたら貴族の礼儀や決まりを知らなさすぎですわ。


高位の者に下の者から声をかけてはいけない。

お互い正式に名乗り合うことで初めて知り合いになる。 それ以外は他人であり、知らない者として扱われる。


そんな事も知らずに子息の前でワザと転んだり、物を落としていたなんて、恥ずかしい子ですわね。



「クリス姉様!聞いて、聞いて!ダン様に挨拶したら挨拶が返ってくるようになったの!」


ここは中庭の中でも端にあり、人目につかないベンチ。


どういうわけか、あれから懐かれてしまいましたわ!


「それからねー!見て!この髪飾り!ルビーにぴったりでしょう!取り巻きの男子から貰ったの!」


ルビーの髪には名前と同じ宝石のルビーが使われていると見える髪飾りがありましたわ。


あら、その髪飾り、よく見ると……。

はぁ、そういうことですのね。


「ルビー、私はあれっきり貴方に協力できることはありませんわ。 懐かないでちょうだい」

「えー!そんなぁ。ルビーのことわかってくれるのは、クリス姉様くらいなのにぃ!模範生の先輩なんて特にきらーい!」


よほどセレスティーヌ達を困らせているようね。

本当いい気味だわ。


しかし、私も早くルビーと離れませんと。

巻き込まれたくありませんし、何より彼女と一緒にいるのはストレスが溜まりますの!


「あっでもー。もう指導されないみたい。こないだので最後だって!」

「何ですって!?」


セレスティーヌ!

ルビーは何も改善されてないわよ!

放り出すというの!?

無責任な!?


「なんかぁ、後は自己責任なんだってー。もうそれなら、初めっからそうしてよーって感じだよね」


不味いわ!

完全に指導終了ということは、彼女が悪さしてもセレスティーヌ達に被害がないじゃない!?


むしろ私が危険だわ!!

マナーの勉強と称して展覧会なんて連れて行ってしまったわ。

もし、学園全体に広がり、模範生による指導後の、彼女のマナー教育係を買って出たなんてことになれば、私が責任を負わされてしまいますわ!


こんな堪に触る話し方で自慢話しか出来ない子と一緒に居るだけでストレスだというのに、私にまで火の粉が飛んでくるなんて嫌すぎますわ!


この疫病神から早く離れませんと。

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