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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
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波乱の予感

「どうかお力を貸して下さいませんか!?」

「私達、もうどうしたら良いかわからなくて」


サロンには私とマリア、エメリアそして1年生令嬢4名。

令嬢達は皆涙ぐんでいる。


「皆さん落ち着いて要件をどうぞ」

「ルビーさんが私達の婚約者を口説いているんです」

「私達のような正式な婚約者がいるから辞めてほしいとお伝えしたのですが、改善されずに困ってるんです」


令嬢達の訴えに中庭で見た光景が頭に浮かぶ。


はぁ。

やっぱりこうなっちゃったわ。

ルビーさんを見てまるで乙女ゲームみたいだなって思ってたんだけど。

現実になってしまったわ。

ゲームならルビーさんがヒロインでこの令嬢達は悪役なんだけど。


「婚約者の男性には言ったのですか?」

「言いましたわ!彼女は貴族のルールに疎いようですし、男性側がきちんとしていれば問題ないことですから。なのに、こんな事になるなんて」


「男性側にもう一度注意してみたらどうでしょう?」

とエメリアが提案する。

「それが、遠ざけられていて、とても私達の話を聞こうとしません」

「はぁ。そうですか」


「そこで模範生であるセレスティーヌ様達のお力をお借り出来たらと思いまして」

「私達では彼女の暴走を止められませんが、普段から彼女を指導されてる御三方ならと思いまして」


ゔーん、私達も手を焼いているのよ。

はぁ。

どうしようかな。

この令嬢達は皆、政略結婚でしかも自分の家の方が格下なので婚約破棄されたら困る側かぁ。

実はここにいる令嬢達とは別に1年生の侯爵令嬢にも依頼されてるのよね。

婚約者の辺境伯家の子息が狙われているらしい。

侯爵令嬢は自力でどうにかするけど、火の粉が自分に向いた時や正式な訴えを起こした時に情報が欲しいというお願いだった。


侯爵令嬢の方はまだ実害はないし、家の力も強いから最悪婚約破棄になっても平気そうだけど、問題はこっちよね。


「では正式に学園に訴えを起こし、彼女と婚約者達の素行調査を依頼しましょう。その結果で断罪するかを決めましょう」

「それしかないかしらね。素行調査をするということは相手を信用していないということです。何もなければ相手からの心象が悪くなり、その後の関係にヒビが入るかもしれませんが、その覚悟はありますか?」


「元より覚悟の上の政略結婚ですわ」

「もう既に関係にヒビが入ってますもの!」

「自分の家に良い条件で契約を組み直してみせますわ!」

「私もです!共同事業なんて破棄してみせます!」


おぉ、みんな頼もしいわ。


「では正式な書類を用意しましょう。こちらに被害状況と訴えに至った経緯を記入して下さい」

「セティー、私達の指導記録も必要になるわよね」

「念のため、今回のことは一度彼女に指導して見ましょう」

「そうしましょう。もちろんその指導は記録に残して証言者もほしいわね。職員に依頼しましょう」


「あっそうだわ。皆さん、くれぐれも調査中は彼女や婚約者に近づかないように。皆さんの言葉の揚げ足を取り、自分の都合の良いように解釈されるかもしれません」


「「「「わかりました」」」」






「はぁー。また呼び出しですかぁ。いい加減勘弁して下さいよぉ」


開口一番にこれって。


「ルビーさん。私達も呼びたくて呼んでないわ。貴方の素行や成績に問題があり、学園から依頼を受けているから、こうして指導しているんです」

「でもぉールビーは庶民だったしぃ。もう少し目をつぶってくれてもいいんじゃないんですかぁ?」

「言い訳するくらいなら少しは努力して下さいね」

「同じ庶民出身なのに、エメリアさんたら優しくなーい」

「ルビーさんエメリアは男爵令嬢で目上の先輩ですから様付で呼んで下さい」

「えー。じゃあなんでルビーは庶民棟の人からさん付なんですかぁ?ルビーだけ注意されるなんて差別だわぁ」

「あら、貴方は貴族じゃないからさん付けで問題ないわ」

「ルビーは騎士爵の令嬢ですぅ!」

「「「はぁー」」」


「ルビーさん、騎士爵は世襲ではなく一代限りの爵位です。よって騎士爵を賜っているローウェル騎士爵以外は家族であっても身分は庶民です」

「ルビーさんが騎士爵の令嬢と名乗るのは身分詐称の犯罪行為に当たるので今後は辞めて下さい」

「突然の環境の変化に舞い上がるのはいいですが、身分や爵位は大切なことです。ちゃんと覚えましょう!」


私達の言葉にルビーさんはポカーンとする。


「えぇー!そんなの知らないですぅ!あっでも、そのうち昇格するから大丈夫ですね! 」


それはローウェル騎士爵が今してる研究を自分の名前で発表したらね。


「それと、婚約者の居る男性と親しくなるのは御法度です」

「えー。なんのことだかわかりませーん」

「実際に苦情が出ていますし、貴方だって不貞を疑われたくないでしょう?」

「そう言われてもー。みんなルビーに優しくしてくれてるだけですよぉー」

「友人として仲良くするのは良いと思いますが、他人から見て疑われることは辞めて下さい」

「ルビーさんはもちろん、相手の男性の名誉にも傷をつけてしまうことを忘れないで下さいね」


ルビーさんは私達の話に対してあからさまに機嫌が悪くなる。


「そんなのルビーだけの問題じゃないわよ!だいたい男を繋ぎとめられない女も悪いのよ!」


えっと。

逆ギレですか?

というか、あのブリっ子みたいな話し方辞めたの?


「だいたい先輩達は関係ないでしょ!自分に婚約者が居なくてモテないからって僻まないでよ!」


私達3人はポカーンとしてしまった。


「はぁ、もういいでしょう。私達もルビーさんに指導するのはこれで5度目ですし、日々の注意は数え切れないほどしました。今回を最終警告とし、指導を終了しましょう」

「セティー!?いいの!?」

「そうですよ。何も改善されてませんよ」


2人の言い分はわかる。

でも改善する気のない人にこれ以上、週末を潰されたくないのよ。

だってレオ君に会えないんだもん!

王妃教育がない日はレオ君に会いに行くつもりだったのにぃ!私の癒しがぁ!!


「普通は5度も同じ人を指導をするなんてこと有り得ないわ。もう改善の余地がないのだし、終了しましょう。後は自己責任ということで」

「学園側はそれで納得するでしょうか?」

「模範生として責任を取らされるかもしれないわよ?」

「大丈夫よ。毎回きちんと報告書を出してるし、他の指導した生徒は更生したじゃない。例のこともあるし、これ以上の問題が起きたらそれなりの罰を学園から与えてもらいましょう」


「あのー。もう行って良いですかぁ?」

「良いですよ。もう私達がルビーさんを指導することはないと思います」

「やったぁー!はぁ、やっと解放されたわぁ!」


それはこっちのセリフよ!!


「そのかわり、今後何かあったとしても自己責任です。 規則を破ったり規律を乱すようなことがあれば、罰則が下ることを忘れないで下さい。これは私達からの最期の警告です」

「はいはーい」


ルビーさんは軽い返事をして部屋を出て行った。


はぁ。

どっと疲れたわ。





コンコン

部屋がノックされ、ドアを開けるとシャル様が居た。


「邪魔してすまない。マリアに用があってな」

「指導なら終わったから大丈夫よ。どうぞ」


「シャル様どうしたの?」

「前に言ってた俺の国の本が届いたから持ってきたんだ」

「わぁ!シャル様ありがとう!ずっと楽しみにしてたの!」

「マリアが望んでいた原書以外に同じ作者の本もあるぞ」

「ふふ、ありがとう。早速読み始めるわね!」

「ああ分からない言葉があれば聞いてくれ」


マリアは本を大事そうに抱える。


「シャル様の国の文字で書かれているんですか?」

「ええそうよ。翻訳されたのは持っているんだけど、翻訳の仕方によって表現とか違うし原書を読んで見たかったの」

「私もロマンス小説は好きだけど、マリアの本好きは凄いわね」


外国語の本を読むために外国語を学んでいるようなものだし。


「だって国によってロマンス小説の傾向も違うし、文化も違うから登場人物もこの国とは違うのよ。シャル様の国のお話はメイン男性は王子じゃないことが多いのよ」

「俺の国は身分が高位であるほどハレムを持つからな。ロマンス小説のような純愛はないからな」

「あら、これなんかはハレムの中で寵愛を得ようとするものよ?もちろん人の黒い部分も書かれてるけど、現実感があっていいと思うわ」

「まぁハレムは欲と憎悪が渦巻く巣窟だからな。それより、マリアから借りたこの本も面白かった。また何か貸してくれないか?」

「もう読んだの!?じゃあ次はアレにしましょう!同じ作者で良いのがあるのよ!取ってくるわね」

「せっかくだから温室で一緒に読書をしないか?」

「良いわね!この本の感想も聞きたいし、そうしましょう!」



「私もリュカと約束があるので失礼しますね」

「お買い物に行くんだっけ?」

「はい!義父の誕生日が近いのでリュカにプレゼントを選ぶのを手伝ってもらうんです!」

「そっか。良いのが見つかると良いわね」

「はい!行ってきます!」


うーん。

私は何しようかなー。

今からレオ君に会いに行ってもゆっくり出来ないし。

仕方ない。

図書室で勉強しよう。




「ルビー分からないのぉ。教えてー」

「ここは、こうするんだよ」

「凄ーい!流石だわぁ」

「そっそうかな?」

「そういえば万年筆カッコいいね。似合ってる」

「ありがとう。気に入ってるんだ」

「ねぇもっと近くで見たいわ」


図書室で勉強しようと思ったらルビーさんと男性が居た。

ルビーさんは男性の腕に自分の腕を絡めて体を密着させている。


全く。

あれだけ注意したのに。


はぁ。

質の悪い乙女ゲーム見てるみたいで気分悪いわ。

もしかして、私が悪役やらないせいでエメリアがヒロインとして活躍してないからルビーさんが登場したとか?

まさかね。

お話を展開させるのに新キャラ登場なんてありがちだけど。


学園側からの素行調査書に目を通す。

出るわ、出るわでルビーさんと男性達の密会や不貞の証拠。

ルビーさんが近づいている男性は全部で5人。

内1人は辺境伯子息。

他の男性は子爵家と伯爵家の子息だわ。

この中に本命がいるのかな?

それともただの遊び?

どっちにしろ、このまま行けばルビーさんはザマァ系ヒロインだわ。


はぁ。

これ以上学園が荒れないといいな。

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