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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第3章
83/235

2年生

今日から2年生。


「みんな久しぶりって感じしないわね」

「セティーの家で会ってるからねー」

「レオ君可愛かったですね!!」

「中々懐いてくれなかったが、最後は懐いてくれて良かった」


アル様以外のみんなも家に遊びに来てくれたのよ。


「ちょっと待て!シャルにも懐いたのか!?」

「ああ。初めは俺に抱かれるのを嫌がっていたが最後の方は笑ってくれたぞ」

「何故だ!?シャルに懐いて何故私には懐いてくれない!?」


そうなのよ。

お休みの間、アル様は時間があれば遊びに来てレオ君をあやしてくれたのだけど、レオ君がアル様に懐くことはなかったのよ。


「失礼だな。俺に何人異母兄妹が居ると思っているんだ。赤ん坊には慣れている」

「ぐっ。私にだけ懐かないなんて悔しいな」


シャル様が赤ん坊をあやすの上手で意外で驚いたけど、異母兄妹が10人以上いるって言ってたことの方が驚いたわ。


はぁ。

私としてはレオ君とアル様は仲良くしてほしいのだけど。

どうしてなのか、アル様が抱っこすると必ず泣いちゃうのよ。

はぁ、アル様の苦悩は続くわね。



「アルベルト様!今日からご一緒ですわ!!」

「クリスティーヌ嬢、そうか今年から同じクラスか。お互い勉学に励むとしよう」


アル様はクリスティーヌ様に対してサッと王太子の表情で応対する。


「よろしければ同席させて頂きたいのですが」

「すまない、私達でここの席は埋まっている」

「ぐっ、ですが」

「新しい教室で知り合いがいないのか? セティー、クリスティーヌ嬢を他の令嬢達に紹介出来ないか?」

「出来るわよ。お家が派閥替えがあったばかりでクラスもクリスティーヌ様以外は去年も同じクラスメイトだし心細わよね。クリスティーヌ様、よろしければ同派閥の令嬢達を紹介しましょう」

「けっ結構よ!!」


クリスティーヌ様は顔をカァッと赤くして怒って体を翻して行ってしまった。


あぁやっぱり。

私に令嬢達を紹介されるなんて嫌がりそうとは思ったんだけど。

でも大丈夫かな?

1人外国へ行ってしまった子を除いて去年と同じクラスメイトでクリスティーヌ様と同じクラスだった人は居ない。

つまりクラス替えで知り合いがいない状態のようなもの。

プライベートで親交があればいいけど、このクラスは王党派の家柄が多いし。


「セティーすまない。私が余計なことを頼んだばかりに嫌な目に合わせたな」

アル様はそう言って私の頭をポン、ポンとする。


キャー!

頭ポンポンされたー!!

はぅー!

教室でこれは、恥ずかしいよー!


「大丈夫よ。アル様こそ、気分を害してない?」

「クリスティーヌ嬢に対してはいつも通りと言った所だな」


「セティー、クリスティーヌなら自分で何とかするから大丈夫よ」

「そうそう。昔から取り巻きを作ってたんだから平気だよ」


マリアとヴィクトルが私を元気付けてくれる。


「マリアとヴィクトルはクリスティーヌ様と昔から交流があったのよね?」

「家が近くで同じ侯爵位だから仕方なくね」

「昔マリアの悪口を言ってたから俺は嫌いだったけどね」


あー。

何となく、初対面の時を思い出してきたわ。

あの時は今より凄かった気がする。


「はぁ。同じ王党派になるなんて。お茶会に招待しなきゃダメかしら?」

「あっそれマリアに相談しようと思っていたのよ。私も1度くらいは招待しなきゃかなって思ってたの」


王党派に入ってきた令嬢をお茶会に招待しないって失礼だし、外聞が悪いよね。


「本人が来るかどうかは別として、招待しなきゃまずいわ。はぁ、嫌だわ」

「その点、私は下級貴族なのでそういう事をしなくて良いので楽ですね」


確かに男爵位のエメリアは無理してお茶会なんて開かなくていいのよね。

男爵位が高位の貴族を気軽く招待することは出来ないし。


「ねぇマリア。1回だけ連名でお茶会を開かない?」

「いいわね!そうしましょう!セティーと主催なら何とか乗り越えられそう!」


「女性は女性で交流が大変だな」

「貴族に生まれた定めみたいなものだな」

「女の世界ってどこもドロドロで怖いよね」

男性陣がコソコソと話している。


「「人事のように言わないで」」

「あっもちろんエメリアも招待するから」

「1人でも味方が欲しいわ。お願い参加して」

「ありがとうこざいます。お2人の力になれるように頑張ります」



こうしてマリアと2人でお茶会を開いたけど、クリスティーヌ様は不参加のお返事が来た。


残念のような、嬉しいような。

まぁ最低限の1回は誘ったのだし、もうこれで良いよね。

模範生としての仕事も大変だし。




-------------------

2年生になり数ヶ月。


「リュカの方は大丈夫なの?」

「えぇ初めこそ皆様の視線がキツかったのですが、最近はもう大丈夫です」

「リュカの凄さがわかったんですよ!」

「あの点数発表が効いたわよね」

「まさかアルと並ぶ点数だったとはな」

「これで男性陣は特に問題ないな」

「俺も後輩の指導頑張るよ!問題になってる奴が居たら教えてね!俺が根性叩きなおすから!」


「問題は女性陣か」

「「「はぁ〜〜」」」


中庭の温室にため息が木霊する。

そうなのよ。

生徒会としてはアル様を筆頭に国のトップクラスの家柄と他国の王太子が集まったおかげか今の所問題ない。

ちなみにヴィクトルは模範生じゃないけど、監督生として剣術などの監督をするので、私達が生徒会メンバーに指名したのよ。


ここで問題なのは模範生の仕事。

簡単に言えば風紀委員みたいな取り締まりや指導が大変。

男子生徒のことはヴィクトルが指導という面で活躍してくれてるけど、女子生徒のことは女性がということで私達3人で頑張らなければならない。


「もう!何度も注意してるのに全く改善しないなんて!」

「もう何度も注意してますが、自分が間違っているという認識はないようですね」

「教師からだけでなく、他の生徒からも苦情が出てるから、早くどうにかしないとまずいわね」


1年生の女子生徒にとんでもなく問題児が居るのよ。

元庶民で祖父にあたる人が騎士爵を賜っているけど、態度やマナーがもう酷いのよ。

貴族云々は別として人としても酷いわ。


別に寄付金を出して貴族棟に来たことはいいのよ。

周りに迷惑を掛けなければ。

毎日寝坊して、授業はサボるし、たまに授業に出ても、ついていけないのか寝てるか男子生徒とお喋りで授業の邪魔になると教師達から苦情が来て、指導することになったのよ。

一般生徒からは

①制服着崩していて露出の度が過ぎている。

②貸したノートや教科書が返ってこない。

③人の容姿で態度を変え悪態をつく。

これらのことで苦情が来てるわ。


そして従来通りに生活態度改善とマナーの指導をマンツーマンで行ったけど、全く効果はないわ。


「もう、私ではダメみたいです。『同じ元庶民の癖に偉そうなこと言わないでよ』 って言われてしまいましたし」


なっ!?

エメリアに向かってなんてこと言うのよ!?

確かにそうエメリアは元庶民だけど、貴方は現在も庶民なのよ!

それ以前に怒られてるのに、その態度は何?


「お力になれなくてごめんなさい」

エメリアはシューンとして申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にする。


「そんな!エメリアが悪いんじゃないわ!それに私もはぐらかされてばかりでちゃんと指導出来てないわ」


エメリアに続きマリアまでシューンとなってしまう。


はぁどうしたらいいのかしら?

これ以上の問題が起こらないうちに解決したいわ。


私は無意識に溜息をつく。


「そこまで困っているのか。私達に何か出来ることはないか?」

「女性のことは女性がと思っていたが、そこまで深刻なら俺達も関わるべきか」


アル様とシャル様が手伝ってくれるようだけど、どうしよう。


「まだ私達は頑張れるわ。でもお手上げになったらお願いね」

「私ももう一度頑張ってみます!」


マリアとエメリアはまだ頑張れるみたい。

私も頑張らないと!


「あの、問題の女性徒はルビーさんですか?ローウェル騎士爵の家の」


リュカが深妙な顔をして聞いてきた。


「ええそうよ」

「やはりそうですか。こちらでも問題になってるんですよ。自分のことをセレバート騎士爵令嬢と名乗って庶民棟の生徒を見下しているので」


はぁ。

セレバート騎士爵令嬢って。

騎士爵は一代限りの爵位だから爵位を持つ本人以外は貴族ではないからね。

だから普通は本人の名前に騎士爵とつけるのよ。

貴族のように振る舞うのは良いわよ。

実際お金持ちだし。

でも騎士爵って名乗っちゃったら身分詐称で犯罪よ。

早くなんとかしないと。


「はぁ。リュカ教えてくれてありがとう身分や爵位についても教える必要があるわね」


「ねぇ、その子ってピンク色の髪に赤い瞳の女の子?」

「そうよ。ヴィも知ってるのね」

「いやー。マリアが最近元気がない原因になってる問題児が居るのは知ってたけど、顔と名前が一致してなかったんだよね。でも最近鍛錬場に来る子がルビーって呼ばれてたからもしかしてって思ったんだよ」

「ねぇヴィクトル、もしかして鍛錬場でも問題を起こしてるの!?」

「あー。いや、まだそこまで問題ではないよ。迷惑ではあるけど、他の令嬢も同じようなもんだし」

「でも迷惑ではあるのね」

「ゔーん。キャーキャー騒ぐのは他の令嬢も同じだから、これ以上の問題が起こらなければ大丈夫かな」

「それなら良いけど。このまま大きな事が起きなければ良いのだけど」


私達は温室を出て中庭を歩き校舎に向かう。

途中でリュカと別れ貴族棟に向かう途中。


「ルビーは可愛いなぁ」

「ルビー綺麗だ」

「ルビーに似合うネックレスを見つけたんだ。受け取ってほしい」

「おい!抜け駆けだぞ!」

「うふふ。 みんなありがとうぉー」


4人の男性に囲まれ笑っているピンク髪の女の子が居た。


えっ何あれ。

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