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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
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悪影響

お久しぶりですわ!

クリスティーヌですわ!


アルベルト様とセレスティーヌが婚約してからというもの、お見合い、お見合い、お見合いと、お見合い三昧!!

全く持って迷惑ですわ!!


アルベルト様以外に素敵な人なんて居るはずありませんわ。

それなのに毎日、毎日お見合いをさせられてストレスが溜まりますわ!

しかもお父様が派閥替えをしてしまって、私の交友関係が崩れてしまいましたわ!

お陰でお茶会に呼ばれることも無くなりましたし、学園でも気まずいですわ!

お義兄様は上手く溶け込めているようですが、私のように繊細な性格では無理ですわよ!!


でも今日はエリザベート様からお誘い頂いてますのよ!

私の心中を察してお手紙を下さるなんて、流石エリザベート様ですわ。

年上なので同じ派閥といってもそう親しくはしていなかったのに、気にかけて下さるなんて!

あとボルテール伯爵令嬢のオリヴィアさんからもお手紙は来てましたけど、こっちはゴシップに飛びついてきただけですわね。


今日のお茶会は主催のエリザベート様と私、オリヴィアさん、おまけに我が家の分家のレニーですわ。

オリヴィアさんとレニーはほっといてエリザベート様とお話ししましょう。


レニーは我が家の分家ですし、オリヴィアさんは没落一歩手前の伯爵家ですもの。

特別仲良くする必要ありませんわ。



「さぁレニー、行くわよ。私のお陰でミットランド公爵令嬢であるエリザベート様のお茶会に参加出来るのだから感謝なさい!」

「はっはい、ありがとうございます。クリスティーヌ様」





「エリザベート様もクリスティーヌ様にお手紙を出してたなんて驚きです」

「年齢的に一緒に居ることはありませんでしたが気にかけていたのですよ」


ふふふ、さすがエリザベート様ですわ。

むしろオリヴィアさんが意外ですわ。


「でも王党派にはセレスティーヌ様の他にもマリア様が居ますし、大丈夫でしたよね」

「お二人は模範生に選ばれたと聞いております。クリスティーヌ様の御年代は輝かしい令嬢が多いようですね」

「そうですよね!そんな輝かしい方が多い中に居たら埋もれてしまいそうです」


フン!

確かにあの2人は模範生になりましたが、この私が埋もれるワケありませんわ!

なんたって私は新年度からアルベルト様と同じクラスになりますのよ!

ふふふ、お義兄様の指導の下頑張りましたのよ!


「でも1番注目されていると言えば、やっぱりセレスティーヌ様ですよね。王太子様とさらに仲睦まじいご様子で。学園でも腕を組んで歩いている所や、王太子様がセレスティーヌ様を抱えて歩く姿が目撃されているんですよね」

「まぁお二人は以前から仲がよろしくて正式な婚約を結びましたから」

「お二人は本当に素敵ですよね」


いつの間にか話題がアルベルト様とセレスティーヌの話になってしまいましたわ。


オリヴィアさん!

私の事を本当に気にしてくれてますの!?

それにレニーも!

二人が素敵って何よ!?

仮にも同じ家門の私が婚約候補でしたのよ!?

なんで褒めてるんですの!?



イライラする中、途中レニーとオリヴィアさんが席を外しエリザベート様と二人になりましたわ。


「あの、このような事を聞くのは失礼だと思いますが、クリスティーヌ様は心の整理がつきましたか?」

「なっなんのことですの!?」

「世間ではクリスティーヌ様が自ら婚約候補を降りたことになっていますが、クリスティーヌ様は本気でアルベルト様を好いていらしたでしょう?」

「なっなぜそのことを!?」


エリザベート様とはそこまで交流がなかったのに、なぜ知られているの!?


「わかりますわ。同じように、本気で恋をしましたもの。本気の恋は直ぐには忘れられないものです。(そう。ジェラルド様の麗しいお顔も妹様に対する笑顔も、公爵家の家門を背負っていく為に努力されていること。武家であるお母様側の従兄弟達に並んで剣術を学び、体格差を埋める為に努力された姿も。全て愛しくて、忘れたくても忘れられませんわ)」



アルベルト様。

初めて会った時からあの綺麗なお顔に惹かれましたわ。

大人になってさらに綺麗なお顔立ちになりましたわ。

あの凛としたブルーグレーの瞳。

私達に向ける微笑も素敵過ぎて目が離せませんでしたわ。

そして成長され完璧に整えられた体躯。

もう存在がパーフェクトですわ。

そんな人を簡単に諦められるわけありませんわ。


「クリスティーヌ様はご自身の気持ちをお伝えになられたのですか?」

「え?伝えてませんが、アルベルト様はわかっているはずですわ。仮にも婚約候補に残っていたのですから。他にもダンスやエスコートをお願いしたりしましたのよ!わからない筈がありませんわ!」

「婚約候補に残ったこともエスコートやダンスも全て侯爵家の令嬢としての行動や発言だと取れますわ。侯爵家の娘としてではなく、クリスティーヌ様御自身の言葉で気持ちを伝えてみるのはいかがですか?結果はわかっていても相手に自分の気持ちを伝えられればきっと前を向くことが出来ると思うのです。このまま自分の気持ちを相手に知ってもらえず、時が忘れさせるのを待つのは辛いことだと私は思うのです」


侯爵家の娘として。

確かにアルベルト様は今まで私自身を見て下さらなかった。

時が忘れさせる?

忘れるわけありませんわ!

でも縁談の話が来ているのは確か。

お父様のことだから直ぐに縁談を纏めるに決まってますわ。

このまま他の方に嫁ぐなんて嫌ですわ!


ふと、お母様の顔が浮かびましたわ。

お母様はお父様のことを好きで嫁いだわけではありませんわ。

まして結婚後もお父様へ気持ちを向けませんでしたわ。

だから今になっても、こんなに夫婦仲がよろしくないんですわ。

私はそんな結婚したくないですわ!!


「私、アルベルト様にこの思いを伝えてみますわ!」

「ええ!頑張って下さいませ (セレスティーヌ様、恋路を邪魔してごめんなさい。でもクリスティーヌ様が前を向く為ですもの)」




オリヴィアさんやレニーが席に戻りしばらく談笑した後、お茶会はお開きになりましたわ。


新年度からアルベルト様と同じ教室で学びますもの、思いを伝えるチャンスはいくらでもありますわね。



「クリスティーヌ様、ちょっとだけお話しよろしいですか?」

「オリヴィアさんなんですの?」


馬車に乗る間際にオリヴィアさんに声をかけられましたわ。


なんですの?

お話ならさっきまでしてたじゃない。


仕方なくオリヴィアさんの馬車の中でお話をすることになりましたわ。


「それで話とはなんですの?」

「んー。手短に言うと、クリスティーヌ様はまだ王太子妃の座を狙ってますか?」

「は?」

なんなんですの!?

そんな直球な!?


「エリザベート様とのお話も同じ様な内容でしょうけど、どうですか?」

「!?私はアルベルト様に私自身の言葉で思いを伝えることにしましたの」


話を蒸し返さないでほしいですわ。

私の一大決心を易々とお話したくありませんわ。


「えー!どうせ振られるとわかっているというのにですか!?」

「っ!!」

「クリスティーヌ様が王太子様のことを好きなことなんて、皆んな知ってます。 知っている人はクリスティーヌ様が婚約候補者を降りたのではなく、セレスティーヌ様に負けたのだと知っていますよ」

「なっなんですって!?私はセレスティーヌに負けたわけではありませんわ!」

「だって王太子様を振り向かせることが出来なかったのですよね?それなのに今更告白なんて。せっかくクリスティーヌ様がお二人の為に自ら身を引いたという美談に出来ているのに、告白なんてしたら笑い者ですよ?母親と娘、親子揃って思い人に振られたって」

「っ!!」


オリヴィアの言葉で体が熱くなるのがわかりますわ。

わっ笑い者ですって!?

でも、私がアルベルト様に告白して、再び正式に振られ、目の前でアルベルト様とセレスティーヌが仲睦まじくしている姿が想像でき、腹わたが煮え返るほどの怒りがこみ上げてくるのがわかりますわ。


「告白なんて辞めて、返り咲くことを目指したらどうですか?私も協力します。そのかわりクリスティーヌ様が王太子妃になった暁には私を側室に抱え上げて下さい!」

「側室ですって!?」


この女は何を言っているの!?


「我が家の噂は知っていると思うのですが、このままでは商家に嫁ぎ、ずっと働いて行かなければなりませんの。散財したのはお父様やお兄様だというのに、どうして私が生贄にならなければなりませんのかしら。この前セレスティーヌ様にもお願いしましたが、セレスティーヌ様と王太子様は恋人同士、このお願いは聞き入れてもらえそうになくて」


私だって嫌ですわ!

好き好んで側室を選ぶわけありませんもの!

没落寸前なんだから大人しく嫁ぎなさい!

私のお義兄様は真っ当な方で良かったわ。


でもさっき聞いた通りに、笑い者にはなりたくありませんわ。

どうして。

どうしてアルベルト様の隣に居るのが私ではありませんの!?

こんなに好きだというのに!!


「参考までに聞きますが、どうすれば良いと思います?」

「そうですねー。セレスティーヌ様と王太子様は恋人同士なので簡単に婚約破棄はしないと思います。ただセレスティーヌ様が王太子妃になるのは難しい状況になれば話は別だと思うんです。例えば怪我や病気とか。そうなるようにすれば良いかと」

「わっ私に犯罪を犯せというのですか!?」


今までセレスティーヌの小物を隠したり机に花を供えたりと嫌がらせはしてきたけど、犯罪は犯せませんわ!!

前に一度暴漢にセレスティーヌを脅すように仕向けて何故か誘拐になってしまって、私の仕業だとバレたらと、本気で怖かったんですのよ!?


「そんな直接危害を加えるなんてこと、考えるわけないじゃないですか。セレスティーヌ様は模範生になられたんですよね?模範生は皆の悩みや相談も聞かなければいけないし、マナーの悪い者には指導もしなければいけなくて大変な仕事ばかりです。その内ストレスが溜まって体調を崩したりしますよ」

「セレスティーヌはそんなに弱くありませんわ。ストレスなんかでダメになるならとっくに私が……。」


はっ!

いけませんわ。

私がした事を気付かれてしまいますわ。


「たしかに王妃教育にも耐えているセレスティーヌ様はそんなに弱くありません。でも今年は問題児が入学するのですよ」

「問題児ですの?」

「えぇ。騎士爵の跡取りがとんでもない事に娼婦を妻に迎えましたの。その娼婦には娘が居るのですが、現当主の功績で騎士爵から昇格出来そうなことを良い事に、自分は貴族だと言っているそうなのです」

「とんでもない娘ですわね。まさかその娘が学園に来るんですの?まぁ来ても庶民棟の方でしょうけど」

「それが、その娼婦と娘に熱を上げた跡取りが多額の寄付金を払って貴族棟の方に入れたようですよ」

「なっなんですって!?そんな人が来たら風紀が乱れてしまいますわ!」

「その風紀を取り締まるのがセレスティーヌ様ですよ。きっとその方の指導係になり頭を抱えるでしょう」


それは、確かにいい気味ですわ。


「あと頭が軽くて短絡的な方は他人にとやかく言われて大人しくするとは思いません。腹いせに何かする筈です。上手く行けばこちらの望み通りに動いてくれるかもしれません」

「それは良いですわ!」


手を汚さずに事が進むのを見ているだけで良いんなんて楽ですわ。

これだとオリヴィアが直接協力したわけではありませんし、そもそも側室にする約束なんてしてませんし、私の望む結果だけが残りそうですわ!



ふふふ、新年度がより楽しみになりましたわ!

連日の酷暑で参っています。

皆様体調にお気をつけ下さい。

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