お悩み相談
「セレスティーヌ様!ようこそおいで下さいました!」
今日は社交界で会った令嬢達とのお茶会に来ている。
「こちらこそ、お招きありがとうございます」
「さあ、こちらですわ!」
案内されたサロンには、すでに他の令嬢達が揃っていた。
あれ?
約束の時間より早く着いたつもりだったんだけど
「皆さんお待たせしてしまったようで、申し訳ありません」
「まだお約束のお時間ではないですわ」
「私達が早く来てしまっただけです」
「今日が楽しみすぎて早く来てしまいました」
良かった。
遅刻したかと思ったわ。
何がそんなに楽しみだったのかはわからないけど。
「それなら良かったです」
「ふふ、なんたって今日はセレスティーヌ様とのお茶会ですものね」
「そうなんです!セレスティーヌ様とお茶会が出来るなんて夢のようで!」
!?
「セレスティーヌ様はお忙しいですからお茶会には来られないと諦めていました」
「ですから、いつもマリア様やエメリアさんと中庭でお茶会をしているのを見て、羨ましい気持ちでしたの!」
「セレスティーヌ様とお茶会が出来るなんて自慢になりますわ!」
いや、ただよく知らない人とのお茶会が苦手で行かなかっただけなんだけど。
「ふふ、私なんかセレスティーヌ様をお呼びしていることを、昨日のお茶会で自慢してしまいましたわ!」
お茶会の主催者の令嬢が言い放つ。
「わかりますわ!私も他の方に話して羨ましがられました!」
「私もです!中には自分も参加したいと言われる方もいましたわ」
「あっあの。そう言って頂けると有り難いのですが、私は皆さんが仰るような人間ではありませんよ?」
みんな王太子の婚約者で公爵令嬢だからって持ち上げすぎじゃない!?
「そんなことありませんわ!」
「そうですよ!慈善活動に精を出し、学園でも王妃教育でも立派な成績を修められてますもの!」
「それなのにおごったりせず、誰にでも優しいですわ!」
「特技のピアノは講師から絶賛される腕前と聞いておりますわ!」
「マナーだけではなく教養まで完璧なんて!」
えっと、マナーならマリアの方が完璧だし、ピアノなんて人並みで上には上が居るわ。
「「「「何より、アルベルト王子を惹きつける魅力!」」」」
「へっ!?」
やばっ!
変な声出た!
「ふふ、アルベルト王子が体調不良のセレスティーヌ様を心配そうに寮まで抱えてらしたのは大勢が知っていますわ」
えっ!?
それってこないだ話の途中で寝ちゃった時のだよね!?
皆んなに見られてたってこと!?
恥ずかしいー!!
「そんなセレスティーヌ様に是非その愛され術を教わりたいんですの!」
愛され術って……。
私が知りたいよ……。
でもアル様とはお友達なんですなんて言えないよ。
「えっと皆さんの婚約者はどういった方ですか?」
とりあえず相手に合わせた解答を考えよう。
「私の婚約者は年上で、仕事が忙しいせいか中々会って下さらないんです」
「私は逆に年下なんです」
この中で一番子供っぽいというか童顔な令嬢の婚約者が年上で、一番大人っぽい令嬢の婚約者が年下か。
なんてアンバランスな。
「私が年下で童顔なせいか、いつも子供扱いされてしまって。いつも仕事で全然会って下さらないから今度職場に行って見ようと思ってますの!」
えっ職場に押しかけるのは迷惑だよ!
気を引きたいなら他の方法の方が良いと思う。
「職場に押しかけるのは相手にとって迷惑ですわ。相手が年上なら自分も大人な対応をしなくてわいけませんわ。 相手へのプレゼントを作ってはいかがかしら。 会えない時間も貴方のことを考えていましたってメッセージを添えるのはどうでしょう」
「それ良いですわ!早速やってみます!」
「あの、私は彼が年下なので姉弟にしか見られなくて。それに彼はどちらかというと綺麗より可愛い方が好みなようで」
確かに大人っぽい顔立ちだから可愛らしいドレスより今着てるドレスの方が似合うわ。
でも小物を見る限り、彼女も本当は可愛い物が好きなのかも。
「少しならレースやリボンをつけても良いと思います。 素材やデザインに気をつければ貴方にも似合う可愛いが見つかるはずですよ」
目指せ大人可愛いね!
「本当ですか!私にレースやリボンって変じゃないですか?」
「大丈夫ですよ。でもくれぐれもやり過ぎには注意して下さいね」
「はい!」
「あの、私は慈善活動をあまりしてなくて」
「私もです。寄付なら何度かしてるのですが、セレスティーヌ様のように自ら動くことはなくて」
まぁ慈善活動が推奨されてるとはいえ、令嬢自身が表立って活動することって少ないよね。
「あっあの、打算的な理由でお恥ずかしいのですが彼や彼の家に良い印象を与えたくて」
1人の令嬢が言うと他の人も同じだと言い始めた。
慈善活動してるってだけでイメージ良くなるもんね。
私も最初はアル様や周りによく思われたくて始めたっけ。
でもそういう気持ちでも慈善活動をしてくれる人が増えるのはいいことだよ。
この世界はまだ、手助けが必要な人がたくさんいる。
それにやってく内に楽しくなるかもだし。
私もやってみて楽しいって思ったし。
前世ではボランティアなんて全然してなかったのに不思議。
「ちょうど私の活動を引き継いでくれる人を探して居たのですが、皆さんやってみませんか?立場上、同じ所で活動するわけにはいかなくなりまして」
正式な婚約者になったことで個人的に教会や孤児院に肩入れするのは良くないと言われてしまったんだよね。
まぁアル様の婚約者といえば未来の王妃だからね。
他の貴族達もどうせ寄付するなら王族に関わりある所が良いに決まってるから他の教会や孤児院が困っちゃうから仕方ない。
「わっ私達で出来るでしょうか!?」
「大丈夫ですよ。 私も始めのうちは協力しますから。 初めは慣れないことばかりだと思いますけど、楽しいですよ」
「「頑張ります」」
「他の方々も王都のお祭りでチャリティーバザーやイベントを行うので良かったら参加されませんか?」
「「チャリティーとはなんですの?」」
あっこの世界には馴染みない言葉だったか。
「チャリティーとは寄付によって運営され、得たお金を困ってる人々に使うことですわ。皆様からまだ使える不要な物を集めてバザーに出そうと思っているんです。それと人を集めるために演奏会を行おうと思っているんです」
「まぁ、素晴らしいですわ!」
「でも不要な物なんて売れるのですか?」
「演奏家を呼ぶとしたら相当なお金が掛かるのではありませんか?」
「私達が普段使っているもの自体高価な物が多いので使わなくなった物でも、十分商品価値はありますよ。それにお呼びしようと思っているのは一流の演奏家ではなく、それを目指している人にお願いをしようと思っていますから大丈夫ですよ」
娯楽が少ない上に音楽や演劇は高くて貴族しか楽しめないし、音楽はお金が掛かるから駆け出しの演奏家達にとって自分の演奏を披露するのに良い機会だと思うんだよね。
王都のお祭りだし、貴族達も来るからパトロンを見つけられるかもだしね。
「お祭りの正式な催しですし、御協力して頂いた方々は協賛者としてお名前を上げますのでどうですか?」
国のお祭りだしね。
企画書や必要書類を国に提出しないといけないからね。
「「「「「是非参加させて下さい!」」」」」
全員が参加を希望した。
国に提出する奉仕活動報告書に名前が上がれば周りからの評価は確実に上がるもんね。
良かった。
これで人手はなんとかなるわ。
「それは良かった。では、詳しいことは後日説明しますね」
こうしてお茶会はお開きとなった。
あっという間に4月が終わり、年号も令和になりますね。
新社会人の方々はお仕事に慣れたでしょうか。
私は部署の新卒さんが飛んでしまい驚いています。
5月はもう少し更新していきたいです。




