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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
66/235

仲違い

「えっ?みんな集まって何をしてるの?」


アル様今エメリアに、唯一無二で大切だって言ってたような。

手を握ってたし。

え?

みんなの前で告白?


エメリアの大事な話しはやっぱり告白でアル様がその思いに応えたの?

それでみんな祝福を?


「えっと……」

「これはその」


マリアとエメリアが答えに詰まる。


やっぱりそうなのね。

2人とも友達だし、私の気持ち知ってるから言いづらいのね。


やっぱり悪役令嬢の運命なの?

アル様だけでなく、大切な友人まで失うなんて。

あぁダメだ。

目の前が暗くなりそう。


「失礼しました。おっお幸せに」


私はそれだけ言って身体を翻し駆け出した。


「「「「「セティー/さん!?」」」」」


「アル様追いかけて!!」

「わかってる!!」



「アルベルト様、そろそろ会議のお時間です」

「後にしてくれ!」

「なりません。皆お待ちですから」

「今は急用なんだ!」

「会議より大事な用とは?例え肉親が病気でも会議を欠席するようなことはありえません。その会議より大事な用とはなんでょう?」

「そっそれは」

「無いのでしたら行きましょう」

「くっ!わっわかった」




---------------

寮に戻ってから、私の様子がおかしいとメイドの3人がソワソワしていたが、3人にはもう休むと伝えて自室にこもる。



いつからだろう。

いつからエメリアはアル様のことを好きになったの?

こないだ婚約を祝福してくれたのに。

味方だって言ってくれたのに。


マリアやヴィクトル、それにシャル様も知ってたのかな?

知らなかったのは私だけ?

みんな友達だと思ってたのに。


もう、アル様を振り向かせることは出来ないのかな。


あぁダメだ。

どんどんマイナスな考えしか浮かばない。

誰かに相談したい。

でも誰に?

みんな以外に相談出来る人なんていないよ。


みんな大切な友人。

失うのがこんなに辛いなんて。



一晩中モヤモヤして寝れなかった。



「お嬢様、おはようございます」

「体調はいかがですか?」

「昨日は夕食も召し上がれてない様子でしたので、スープをご用意してますが」


メイドの3人が気を使っているのがわかる。


「ごめんなさい。何も要らないわ。それと今日は学園を休むわ」


学園に行ったらみんなに会わないといけない。

どんな顔して会えば良いのかわからない。


「大変!お医者様を呼びましょう!」

「ジェラルド様にもご連絡を!」

「お嬢様!横になって下さい!」


「大丈夫!体はどこも悪くないわ!お医者様は必要ないの。それに明日は行くから。今日だけ休ませて。お願い。」

「「「お嬢様……。」」」




コンコン


ベットに伏せっているとドアを叩く音がする。


誰だろう?


「セティー?入っていいかい?」

「!?お兄様!?えっと、はいどうぞ」


女子寮になぜお兄様が?


「入るよ。どうしたの? 昨日からセティーの様子がおかしいとセティー付きのメイドから報告があって心配したよ」

「だっ大丈夫です。寝不足で学園に行くのが億劫なだけで明日にはちゃんといきますから」


お兄様にまで心配かけてしまったわ。


私が焦っているとお兄様に抱き締められる。


「セティー。昨日は臨時で王妃教育に行っていたけどアル様と何かあったの? 」


ギクッ!!

お兄様、鋭い!


「一度行かなくなると次の日も行きづらくなるよ。そうだなぁ。寝不足は本当みたいだし、午後から行こう。午後は兄様の授業と選択授業だけだから。ねっそうしよう。お昼の後に迎えに来るから、兄様と一緒に学園に行こう」


ゔぅ。

たしかに1日休むと明日も行きづらい。

でも選択授業ってマリアとエメリアも一緒なのよね。

でも、お兄様にこれ以上心配掛けられないよ。


「わっわかりました」

「うん!セティー偉いよ。じゃあ兄様は仕事に行くね。ゆっくり休むんだよ」


そう言ってお兄様は私のオデコにキスをして部屋を出て行く。


くすぐったいような、恥ずかしいような。

でもこれ以上お兄様に迷惑かけないように頑張ろう。


「お嬢様、お休みになられますか?」

「いいえ。寝れそうにないから大丈夫よ」


しばらくぼーっとした後メイドの3人に入浴を勧められる。


「お風呂でさっぱりしましょう」

「気分転換になるように花も浮かべてみました」

「さぁ入りましょう」


されるがまま入浴をし着替えさせられる。


あっシャツどうしよう。

クローゼットの中はみんなとお揃いのシャツばかりだ。

最初にお揃いにしてから新調するたびにお揃いのマークを刺繍してもらってたし。

いつのまにか、増えたなぁ。


「お嬢様?」

「今日はいつものシャツ以外にするわ」

「かしこまりました」

「では旦那様から頂いたレースのリボンが付いた物に致しましょう」

「せっかくですから髪型も変えましょうか?」


髪型……。

ずっとハーフアップだったからどうしよう。

アル様からのリボンも付けれないよね……。

でも具合悪いことになってるし、手の込んだ髪型はダメだよね。


「今日はこのままでいいわ」

「でしたら今日はこのカチューシャをつけましょう!」

「可愛らしい雰囲気になりますね」

「お似合いですよお嬢様」


花の飾りがついたカチューシャをつけられ、身仕度が完成した。


食欲がないと言ったが軽食が用意された。


朝もスープを用意してもらったのにお昼の軽食まで。

それにお風呂も。

今日は余計な仕事を増やしてばかりだわ。

せっかく用意してくれたのに食べないのは申し訳ないよね。


軽食を食べた後、お兄様が迎えに来た。

「セティー行こうか」

「はい」


お兄様と一緒に教室に入る。

もうじき昼休憩が終わるためか、ほとんどの生徒は着席している。


いつもの窓側の席を見ると、みんなが座っているのが見える。

アル様と目が合うがとっさに顔を逸らしてしまった。


どうしよう。

顔合わせづらい。


「セレスティーヌ君、授業が始まってしまうのでとりあえず、この席に座って」

そう言ってお兄様は廊下側の1番前の席に置いてあった教材を退ける。


「はっはい」


気を使ってみんなと反対の席を取っておいてくれたのかな?


「セレスティーヌ様、御体調は大丈夫ですか?途中何かあれば自分に言って下さい」


同じ長机に座っていたクラスメイトの男性に話しかけられる。


「あっありがとうございます」


ごめんなさい。

仮病なんです。


授業が終わり選択授業のため移動する。


マリアとエメリアがこっちに向かって来たので、目的の教室とは違う方向に歩き始めてしまった。


あぁどうしよう。

どっちみち同じ教室に行かないと行けないのに。


「セティー様?」

「リュカ、どうしてここに?」


廊下の途中でリュカに会った。


「それはこちらのセリフですよ。教室は向こうですし、僕達の校舎からはこの廊下を通るんです。セティー様こそどうしてここに?リアやマリア様が一緒じゃないなんて珍しいですね」


ギグッ!


どうしよう。

なんて言ったらいいのかな?


「リアと喧嘩でもしました?」

「えっ?いや喧嘩っていうか」

「はぁ。リアは頑固なところがありますが、友人は大切にします。早く仲直りして下さいね」

「えっええ。わかったわ」


エメリアが原因といえばそうだけど、喧嘩じゃないのよね。


「では教室に行きましょうか。2人と顔を合わせづらいですか?よければ僕と別の席に座りましょうか?」

「えっいいの?」

「構いませんよ。2人1組で座って、前後の組とのグループワークですし。セティー様がいないと、リアとマリア様が居ても奇数になってしまいますし」

「リュカ、ありがとう!」


リュカのおかげで選択授業もどうにか乗り切れる!


教室に入りいつもとは違う席に着くとマリアとエメリアからの視線がバシバシくる。


「セレスティーヌ様、マリア様達はあちらですよ?」

「たったまには違う人達と学習するのも良いと思って」

「そうでしたの!よろしくお願いします!」

「私リュカさんともお話して見たかったんです!」

「光栄です。僕なんかでよければ、いつでも声をお掛けください」

「えぇ!そうさせて頂きます!」



授業中ずっと視線を感じていたがリュカのおかげで乗り切れたわ。


「リュカ、今日はありがとう」

「お礼を言われるのは早いと思いますよ」


リュカはそう言って私の手を掴んできた。


「授業中ずっとリアが悲しい顔をしてこっちを見てましたので、ここでちゃんと仲直りして下さい」

リュカはにっこりと笑う。


手を掴まれて逃げれない!


他の生徒は教室を出て行ってるし。


「セティーさん!!」

「セティー、話を聞いて!」

エメリアとマリアが来てしまった。


マリアと目を合わせた後、エメリアを見る。


ゲームのヒロインのエメリア。

どう足掻いても勝てないのかもしれない。

それでも、やっぱりアル様を諦めるなんて出来ない!


「エメリア、貴方がライバルでも、私は諦めるなんて出来ないの。だっだから、私は2人を祝福出来ないわ!」


私の答えに2人は慌て出す。


「あっあのセティーさん、誤解なんです!」

「こないだのあれはワケがあるのよ!」


「ワケ?ワケって何?それにエメリアがアル様に大事な話があるって言ってたじゃない!?」


「「それは……」」


昨日と同じで2人は答えれない。

やっぱり私には言えないことなのね。



「おぉセティー、2人からちゃんと説明されたか?」

「シャル様!?」


いきなり教室の扉から顔を出したシャル様に驚いた。


「アルとヴィクトルは教官に呼ばれているから後で来るぞ。ん?なんだこの雰囲気は?なんだ、まだ2人とも言ってなかったのか?昨日のアレは罰ゲームというだけだというのに」

「罰ゲーム!?」


なにそれ!?


「ああ。負けた者が自分が考える最高の愛の告白をするという、なんとも恥ずかしい罰ゲームだ」

「そっそんな!?じゃあエメリアの大事な話ってなんだったの!?」

「ああ、あれか。アルにセティーを必ず幸せにしろと言っていたな。王家に楯突いてでもセティーを守ると。エメリアだけじゃないぞ。マリアも同じことを言っていた。セティー、良い友人達だと思わないか?」

「えっ?」


なにそれ!?

そんなの言ってくれたらよかったじゃない!

答えに詰まることなかったのに。


「2人とも話してくれればよかったのに。私てっきり、エメリアがアル様のこと好きになって告白したと思ったの」

「ハハ、セティーのとんだ勘違いだな。まぁ2人とも気恥ずかしくて言えなかったんだろ。察してやれ」


シャル様はお腹を抱えて笑う。


「「シャル様!内緒だって言ったじゃないですか!」」

「内緒にして大事な友人であるセティーと仲違いするよりいいだろ」


「セティー、私もエメリアもセティーの幸せを願っているの」

「そうです!セティーさんには誰よりも幸せになってほしいんです!それに私がアル様を好きになるなんてあり得ませんから!」


なんだ。

私の勘違いだったのか。

良かった。


「2人とも勘違いしてごめんね。エメリア、疑ってごめんなさい」


自然とエメリアとマリアの方へ足が動き、私達はぎゅうと抱き合う。



「セティー!!」

「アル様!?」


アル様が息を切らして教室の扉を開いた。


「セティー!私の話を聞いてくれ!」

「話ならシャル様から聞いたわ。罰ゲームだったのね」

「えっ罰ゲーム?」

「えっ?その話じゃないの?」

「いっいや違わない!そうだ!罰ゲームだったんだ!」

「昨日は変な態度とってごめんなさい」

「いや、いいんだ。それより少し2人で話せるか?」

「大丈夫よ」


私達は中庭に移動し、ベンチに腰掛ける。


「セティー、はじめに言っておくが、エメリアとは本当に何にもないんだ」

「うん。エメリアとマリアからも話は聞いたわ。私てっきり、エメリアがアル様に告白して、みんなで2人のことを祝福してるんだと思ってしまったの」

「そんなことは絶対にない。私が一番大切にしたい女性はセティーなのだから」


良かった。

アル様から大切だと言われて安心した。


あれ?

安心したらなんだか眠くなってきたわ。


「私…みんなと友達になれて…よかった。友達まで…なくしたのかと…怖かった」


ああ、本格的にウトウトしてきたわ。


「みんなセティーの味方だ」

「えぇ。でも…アル様に嫌われるのが…一番怖いわ。あなたの…近くにいるのが…私の幸せ…」


あっダメだわ。

睡魔に勝てない。


私は言葉を発しながらアル様の肩にもたれかかる。


「セッセティー!それは私を好いているととっていいのか!?」

「スースー(Z z z)」

「えっ寝てる!?そんな!?セティー、起きてくれ!」


アルベルトはセレスティーヌの肩を揺さぶるがセレスティーヌは目を覚まさない。


「ん?良く見たら薄っすらとクマがあるな。仕方ない、起こすのは諦めよう。しかし、せめて答えてから寝て欲しかった」


アルベルトはため息をつく。


「いつになったら、セティーと恋人になれるんだ」


そう言ってアルベルトは寮までセレスティーヌを抱えて行った。

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