表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
64/236

婚約式③

「セレスティーヌ様!」

「こんばんは!」

「社交界のパーティーで婚約式なんて驚きましたわ」

「相変わらず仲睦まじいご様子で羨ましいですわ!」


あっという間に令嬢達に囲まれてしまったわ。

どうやら敵意はないようだけど。


ん?

あっ化粧や髪型が違うからわからなかったけど、何人かはクラスメイトだわ。

他の令嬢もどこかで会ったことあるような。


「ふふ、私共は幼い頃からセレスティーヌ様が婚約者に選ばれるとわかっていましたわ」

「初めてお会いした時からセレスティーヌ様以外いないと思っていましたわ」


あっ婚約候補者だった方々だ!

うわぁ。

懐かしい。

みんな美人さんになってる!


「いえいえ、そんなことありませんわ。でもありがとうございます」

みんな敵意がないようで良かったわぁ。


「それにしてもクリスティーヌ様が辞退なんて信じられませんわ」

「きっとお二人の間に入れないと思ったんですわ」

「ふふ、こないだも王都国立公園で仲睦まじくデートをしてましたもんね」

「うぐ!?」


えっ!?

なんで知ってるの!?

確かに公園に人はいたけど!


「アルベルト様はお忙しいのにああやって、ちゃんとお二人の時間を持たれるなんて羨ましいですわぁ」

「社交界ではお二人が思い合っているという噂で持ちきりでしたわ」


噂になってるの!?

恥ずかしいよぉ!


「まったく、ウチの婚約者も見習ってほしいですわ」

「本当ですわね。忙しいって言ってばかりで蔑ろにされては困りますわ」


「あのぉ?失礼ですが皆様婚約者の方が?」

みんな婚約してるのかな?


「「「「婚約者は居ります」」」」

「仮にも王太子様の婚約候補に上がったということで好条件の婚約をすることが出来ました」


そうなんだ。

候補者を降りても良い婚約が出来たなら良かった。


「条件が良くても、婚約者に大事にされないのではと不安ですけどね」

「ウチの婚約者も形式上の贈り物ばかりで、手紙を送っても筆不精で困りますわ」

「セレスティーヌ様、婚約者に大事にされる秘訣はなんですの?」

「セレスティーヌ様お茶会を開くご予定はありませんか? ゆっくりお話を聞かせて頂きたいです」


えぇ!?

蔑ろにはされてないし、どっちかというと大事にされてると思うけど、友情なんだよね。

どうしよう。


「えぇっと。特に思いつきませんわ。お茶会も開く予定はありませんわね」


私がそういうと令嬢達はあからさまにガッカリしという顔をする。


「でっでは、私がお茶会を開きますのでお越し下さい!」


1人の令嬢に手をガシっと捕まれ懇願される。


「わっわかりましたわ」

こんなに真剣な表情で頼まれたら断れないよね。


「ありがとうございます!もちろん、皆さまもお越し下さい!」

「「「もちろんですわ!」」」

「楽しみですわぁ! セレスティーヌ様を御招待出来るなんて、自慢になりますわぁ」


令嬢達はキャッキャと盛り上がっている。


うーん。

お茶会で色々聞かれても何も答えられないわ。

あとでマリアとエメリアに相談しよう。


「あら?クリスティーヌ様だわ」

「ほんとだわ。クリスティーヌ様!こちらで一緒にお話しませんか?」


1人の令嬢がクリスティーヌ様に話しかける。

クリスティーヌ様がこちらを向くと私と目があった。


あっすごく嫌な顔された。


「クリスティーヌ様は、お二人が思い合っていると知っていたのですね!」

「思い合う二人のために婚約候補者を辞退されたのでしょう?」

「お二人のことを思ってのことですが、身を引かれるなんて中々出来ないことですわ」

「クリスティーヌ様はお優しい方なのですね!」

「王太子様の婚約候補者に選ばれ、思い合う二人のために身を引いたクリスティーヌ様には、きっと良縁がありますわ」

「婚約の申し込みが殺到するに決まってますわ!」


「オーホホホ。ええそうですわね! 」

令嬢達に囲まれ、高笑いするクリスティーヌ様だが、顔が引きつっている。


「やはりそうでしたのね!」

「邪心せずに他者の為に身を引けるなんて、なんて清らかな心の持ち主なんでしょう!」

「私達も候補者を降りたらすぐに婚約者が出来ましたの。クリスティーヌ様にもすぐ素敵な婚約者が現れますわ!」


「えぇ。それでは私はこれで。ご機嫌よう」

クリスティーヌ様はそう言うと私に近づいてきた。


「わたくしはまだ諦めてなくてよ」


私の横を通り過ぎる際にそっと囁かれ、キッと睨まれた。


そうだよね。

簡単に諦められないよね。

きっと今後のことを考えてクリスティーヌ様自身が辞退したことになってるんだ。

クリスティーヌ様の気持ちを知ってる分、申し訳ないような気持ちになる。

でも私もアル様を諦める気なんてないし、自分とクリスティーヌ様の立場を交換するつもりはない。


「セティー?大丈夫かい?」

「えっ? 」

気がつくとお兄様、エメリア、ガルド兄様が心配そうにこちらを見ている。


「令嬢達に囲まれて疲れたのか? 難しい顔をしているぞ」

「何もフォロー出来なくてすいません」

「少し座って休もうか?」


「いえ、大丈夫です。考え事をしてただけなので」

そんなに酷い顔をしてたのかな?

心配させて申し訳ない。


そういえば、さっきまでいた令嬢達はパートナーとダンスを踊っているようだ。


ダンスエリアを見るとクリスティーヌ様がアル様にダンスを申し込んでいるのが見える。


あっアル様がクリスティーヌ様の手を取った。

元々約束してたし、アル様と踊ることで、婚約候補者を降りても関係は良好だってアピールになるし、クリスティーヌ様の立場が不利にならないためだよね。

うん、だからアル様がクリスティーヌ様と踊るのは自然のこと。


なのに、クリスティーヌ様のアル様を見つめる顔をみると胸がモヤモヤする。

自分は正式な婚約者になったくせに嫉妬だなんて、ダメダメだなぁ。


「セティー、良かったら兄様と踊ろうか」

「え? ええ踊りましょう。ではガルド兄様、エメリアをお願いします」

「おう!任せておけ」


「曲の途中に誘ってごめんね。でもダンスを踊っていれば、アル様達を見なくて済むだろう?」

お兄様はニコッと微笑む。


「え?あっありがとうございます」

わぁ気持ちバレバレ。

でも踊っていればお兄様しか見ないで済むし、有難いなぁ。


お兄様とダンスを踊ってエメリア達の所に戻るとマリアとヴィクトルも合流していた。


「マリアとヴィクトル何してたの?」

パーティー開始から全然姿が見えなかったけど。


「いやぁ、マリアと話したり、踊りたいって奴が多くてさー」

「お父様とヴィが対応してくれていたの」

「そうだったのね。マリアも大変ね」


モテるって大変だなぁ。

でもマリアならちゃんと対応出来そう。


「エメリア嬢も大変だったぞ。ジルとセティーが居なくなった途端に野郎どもが一斉にこっちに歩いてきて流石に焦った」


なんですって!?

「大丈夫?変な人に話しかけられてない?」

「大丈夫です。ガルド様が睨みを利かせて近寄ってこないようにしてくれましたから」

「それなら良かったわ」

ガルド兄様グッジョブ!


「まぁしばらくは大丈夫よ。ほら、婚約者のいない男性達はクリスティーヌ様に群がってるから」


マリアの指差した方を見ると男性達に囲まれているクリスティーヌ様がいた。


「アル様と踊ったことで、婚約候補者を辞退しても王家と親しい関係だと思われたみたいよ。今日は二人の婚約とクリスティーヌ様の話で持ちきりね」


噂のネタになるのは嫌だなぁ。


「もう、 私達くらいには教えてほしかったわ!びっくりしたのよ!」

マリアは頬を膨らませる。


拗ねたマリアも可愛い。

じゃなかった。


「私も知らなかったのよ!アル様も昨日知らされたんだって!」

「えっ!?そうなの!?」

「そうなのよ!私もビックリしたんだから!」

「そうだったの。うーん。王妃様あたりが企てたのかしらね」


マリア凄い!当たってるよ!


「ねぇ、正式な婚約者になった気分はどう?」

「えっ?どうって?」

「気持ちに変化ない?アル様の正式な婚約者なのよ。 このままいけばセティーはアル様の妻になるのよ」


アル様の妻!?

他の人に言われると照れる!


「うん、気持ちに変化はないみたいね。マリッジブルーって言葉もあるし、万が一嫌になったら言うのよ。私もエメリアもセティーの味方だから!」

「えっ?うん!ありがとう!」


ふふふ。

信頼できる友達がいるって嬉しいなぁ。


「あっそうだ!さっき令嬢達にお茶会に誘われたんだけど、婚約者と円満な秘訣を教えてって言われたのよ!どうしよう!?」

「えっ?そのまま答えれば良いんじゃないですか?セティーさんとアル様は現に仲良しですし」

エメリアは不思議そうな顔をする。


「エメリア、アル様とは友人であって本当の恋人同士とかじゃないのよ。もちろんね、良くしてもらってるわ。でもそれは友情なのよ!」

「えっ!?私はてっきり恋人同士なんだと」


「エメリア、ちょっと」

マリアとエメリアが後ろを向き、コソコソ話し始める。


「マリアさん、どういうことですか!?お二人はどう見ても恋人同士なのに!」

「お互い気持ちは伝えてないのよ!お互いが自分の片思いだと思っている状態なのよ!」

「えぇ!? 」

「今まで2人とも頑張ってると思うんだけど、セティーが鈍感なのよ!」

「そっそんな!だってデートとかしてましたよね!?」

「デートだってして、自分の瞳の色の髪飾りとかもプレゼントされてるわよ」

「そうですよね!それなのに進展しないなんて!」



「あの、2人で何話してるの?」

「「大した事じゃないわ/です」」


えぇ、仲間に入れてほしかったなぁ。



「セティー」

「アル様、どうしたの?」

「そろそろラストダンスだからセティーを誘いに来たんだ」

「もうそんな時間なのね。わかったわ。じゃあみんな、ちょっと行ってくわね」


「アル様!」

「エメリア、どうした?」

エメリアがアル様を呼び止める。


「大事なお話がありますので、今度お時間を下さい!」

「大事な話?ここでは言えないのか?」

「ええ!とても大事な話です!」

「わかった。今度時間を作る。それでいいか?」

「はい。ありがとうこざいます!」


エメリアの大事な話ってなんだろう?

気になる。


まっまさか!?

こっ告白!?

そんな!?



エメリアの大事な話が気になりすぎてダンスに集中できないまま夜会は終了した。

誤差脱字の報告ありがとうこざいます。

とても助かります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ