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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
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クリスティーヌ③

執事の言葉の意味がわからない。

今まで家庭教師達は私は天才だと褒めてくれたわ。

行動や他の人への対応も貴族的だと褒めてくれていたし、何よりお母様のように行動していただけよ。


そうよ!

お母様は恋には敗れたけど、伯爵家から侯爵家に嫁いでいるじゃない!

貴族としては勝ち組よ!


それに、今更なによ!

今まで注意なんかしたことないくせに!

今更、行動を改めろって言われたって無理よ!


もう!

頭の中がグチャグチャでテストに集中出来なかったじゃない!

おかげで25番に落ちちゃったわ!

アルベルト様と同じクラスになるには15番までに入らないといけないのに!


でも、どうしよう!

このままじゃ本当に婚約候補から外されるわ!


私の頭に学園でアルベルト様と寄り添って、笑っているセレスティーヌの顔が浮かぶ。


憎い、憎いわ!

セレスティーヌばかりどうして!

どうして私の幸せを奪うのよ!

呪ってやりたいわ!



「マーサ、マーサ!」

「はい、クリスティーヌ様どうされました?」

名前を呼ばれ、初老のメイド長が返事をする。


「マーサは私の味方よね!?」


マーサはあの執事と違って、私が生まれた時から世話をしてくれている、婆や的な存在。

私の味方なはず!


「はい。私は侯爵家の味方ですもの」

「そうよね!人を呪うにはどうしたら良いのかしら!?」

「まぁ、呪いだなんて、私にはとても。おまじないの類いなら本で読んだことがありますが」

「おまじないでも良いわ!教えて!」

「相手の机に花を飾るんですよ。飾った花の花言葉がら相手に降りかかるらしいですよ」


まぁ! それ良いわね!


「さっそく明日からやるわ!明日から、早朝にセレスティーヌがいつも座る席に飾ってちょうだい!」

早朝なら誰もいないし、メイドが学園を歩いていても大丈夫よね!


「かしこまりました」

マーサは細い目をさらに細くさせて笑って答えた。



しばらくして、セレスティーヌの席に、いつも花が飾られていると、令嬢達が話していた。


ふふ、噂になっているわね。


「ねぇ何の話しかしら?」


近くにいた令嬢達に話しかけてみた。


「クリスティーヌ様!?」

「えっと、セレスティーヌ様の席に、いつも花が飾られているのですが」

「初めは綺麗だと思っていたのですが、花言葉が不吉な花ばかりで」

「怖いわねって話していたんです」


と令嬢達は不安そうな顔をしている。


ふふ、効果出てるじゃない!

さすがマーサ!

これならセレスティーヌ本人も怖がってるはず!


「そう、それはお気の毒ねぇー。それでは私はこれで、ご機嫌よう! オーホホホ!」



私は上機嫌でダンスの授業を受け、メイドに髪を整えてもらうため、更衣に戻った。


「飾りをつければ完璧ね!」

ふと棚を見ると、見たことのないガラス細工があった。


なにこのガラス細工。

あら?

これブルーグレーじゃない?

アルベルト様の瞳の色だわ!


誰かの忘れ物かしら?

まぁ、しょせんガラスだもの。

きっと要らないから置いて行ったのよ!

これは私が貰っても良いわよね!


ふふアルベルト様の色なら、ガラスでも綺麗に思えるわ!


池の近くでガラス細工を太陽にかざして見る。

ふふ本当に綺麗。

最近嫌なことばかりだから、きっと神様からのプレゼントね!

気持ちが高揚するわ!


私がそんな気持ちでガラス細工を見ていると、セレスティーヌが慌てた様子で駆けてくる。


えっ何よ!?


セレスティーヌは、このガラス細工が自分のだと言い始めた。


はぁ?

あんたみたいな公爵令嬢が、こんなガラス細工を大切にしてるわけないじゃない!


このガラス細工は渡さないわ!

私が拾ったんだから私のよ!


私達が問答をしているとアルベルト様が颯爽と現れた。


えっ?

このガラス細工はセレスティーヌのですって!?

アルベルト様ったら、またセレスティーヌを庇っているのね!


えっ?

このガラス細工に色を付けたのはアルベルト様ですって!?

じゃあ、どうしてセレスティーヌが持っていたのよ!?


昔一緒に色をつけて交換した?


思い出……お揃い…互いの瞳の色……


なぜ?

なぜ2人が思い出の品を持っているの?

なぜ互いの瞳の色の物を持ち歩いているの?


私が考えごとをしていると、アルベルト様から、このガラス細工をどこで見つけたか聞かれる。


え?

私の使っていた更衣室にあったけど。


はぁ?

盗まれた物ですって!?

そんなの知らないわよ!?


ダメよ!私の使ってた更衣室にあったなんて言ったら、犯人だと疑われるわ!


私は知らないの一点張りで、その場を離れる。


なんなのよ!

高揚していた気持ちが台無しだわ!

いえ、台無し所じゃないわ!

危なく犯人になる所だったわ!


ガラス細工の件を思いだしてムカムカする。



「セレスティーヌ様は本当に強い方よね!」

「本当よね!私だったらあんな風に、毎日花が飾られていたら、気味が悪くて気が滅入るわ」

「それなのに毅然とされていて、凄いわぁ」

「私達も見習わいといけませんね!」

「「「「ですわねー」」」」


令嬢達がセレスティーヌのことを話しているのが聞こえた。


何よ!全然怖がってないし、効果出てないじゃない!

物を隠しても困ってる様子もないし!


もう辞めよ!

こんな周りくどいこと!


次の日、教室と更衣室の棚に鍵がついた。

なんでもアルベルト様が学園に掛け合ったらしいとの噂だ。

その噂にはセレスティーヌの為だという話も含まれている。


結果的にみんな喜んでいるけど、なんなのよそれ!

セレスティーヌの為にアルベルト様が行動するなんて!


セレスティーヌへの憎しみがます。



嫌な気持ちのまま夏休みになった。


暇だわ。

お母様は実家に帰ってるけど、お母様の実家に行ったって、家計が傾いているから、何にもしてもらえないし。

侯爵家の領地も田舎なのよね。


はぁ。

王都で買い物したくても、お金は渡してもらえないし。

商人も呼んでもらえないなんて!


つまらないわ!

はぁ、どこかのお茶会にでも行こうかしら?


そういえば、お誘いないわね。

みんな長期休暇だから、領地に行っているのね。


「クリス。暇なら僕と勉強しよう? 課題出されただろう?」


私が暇でソファに項垂れているとお義兄様が話しかけてきた。


「勉強なんて、今はする気になれませんわ」

「わからない所は僕が教えるから。それに休暇の後には、テストがあるんだよ」


テスト!?

またテストなの!?

終わったばかりじゃない!


「テストなんて聞いてないわ!」

「休暇中もきちんと勉強しているか、確かめるためのテストなんだよ。僕の時にもあったからね。本当はクリスに言ったら、他の生徒に悪いと思うんだけど、テストって聞かないと、勉強にやる気が出ないだろう?」


たしかにそうね。

テストが待ってると思えば、嫌でも勉強しないとって思うわ。


「それにね、このテストは、来年のクラス分けにも反映されるんだよ。来年上のクラスを目指すなら、みんなが休暇で緩んでいる、今がチャンスなんだよ」


えっ!?


「そうなのですか!?」

「うん、そうだよ。クリスが上のクラスに入れるように、頑張ってほしいって思ったから、声を掛けたんだけど。テストならきちんと順位もつくし、クリスの自信になると思うんだ」


確かに!

ここでセレスティーヌと並べば良いわね!


「流石はお義兄様ですわ!それならセレスティーヌを見返せますわ!」


ふふ、他の生徒には、秘密にされてるテストのことを教えてくれるなんて、お義兄様はやっぱり優しいわ!


「サンドラ様が実家に帰っている間は僕が勉強を見てあげられるから。基礎からゆっくり復習して課題を片付けよう」

「わかりましたわ!」


お義兄様ならキツくされないだろうし!

これでテストの順位を上げてセレスティーヌに勝てるわ!








--------------

「カミーユ様、せっかくの休日をクリスティーヌ様に使われてよろしいのですか?」


執事がカミーユに話し掛ける。


「オリバーか。良いんだよ。このままチャンスを貰えないままじゃ、クリスがあんまりだ」


「ほほほ、坊ちゃんはお優しいですね」


「マーサ、そんなんじゃないよ。僕がクリスを気にかけているのは、自分の置かれた環境が恵まれているから。それに、恋は人を成長させるけど、狂わせもするって知ってるから」


「ほほほ、恋は嫉妬と憎悪を生むこともありますからね」


「はぁ。ウチには嫉妬と憎悪を持った者が2名おりますからね」


「オリバー、マーサ、僕は正妻であるサンドラ様には、申し訳ないと思っているよ。それに、母さんの命を優先してくれた父様には、感謝してる。こうして、侯爵家の跡取りとして扱ってくれていることも。母さんにも定期的に会えるし、僕は庶子の中でも、かなり恵まれている。でも、侯爵家の爵位を継ぐのは本来なら、クリスの夫となる者だ。それだけじゃない。僕は、クリスが手にするはずだったものを、奪ってしまっている。だから、クリスに手を差し伸べずに、見てるだけでは居られないんだ。このまま、僕がクリスに手を差し伸べるのを見守ってほしい!父様には報告しないでくれ!サンドラ様の前では以前のように行動する!だから、お願いだ!」


カミーユが執事のオリバーとメイド長のマーサに頭を下げる


「頭をお上げください!」

マーサが慌ててカミーユに駆け寄る


「わかりました。カミーユ様がそこまで仰るなら、カミーユ様がクリスティーヌ様にすることには目をつぶります。旦那様に報告は致しません。」

とオリバーが言う。


「「ただし、我々はアルベール侯爵家の為に動いております。それだけは、お忘れなきように」」


「ああ、ありがとう」

クリスティーヌ視点の続きです。


どうしてもカミーユを絡めたくて出しましたが、変だったらすいません。


そのうちカミーユ視点でアルベール侯爵家を書ければと思っています。

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