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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
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夏休暇①

「前から物が失くなっていた!?どうして早く言わないんだ!」


予定通りアル様達に物が失くなっていることを話したが、怒られてしまった。


「セティー、不用心過ぎるぞ!」

「そうだよ!ストーカーは思い過ごしとか、セティーは鈍感だなぁ」


なっ!

ヴィクトルに鈍感って言われたくないわ!


「でも、なぜガラス細工が盗まれたのかしら?」

「そうですよね。ガラス細工よりも耳飾りや髪飾りの方が高価ですのに」

マリアとエメリアがガラス細工が盗まれたことに疑問を持つ。


確かに。

私にとっては大切だけど、他の人から見れば普通のガラス細工だもんね。


「ストーカーの場合は、本人がよく身につけている物が欲しいんじゃないか?」

「セティーがいつも付けてるのって髪飾りじゃない?」

今度はシャル様とヴィクトルが発言する。


「ヴィの言うとり、セティーがいつも身につけてる物は髪飾りよね。そのガラス細工は子供の頃に見せてもらったきりで、持ち歩いてたなんて知らなかったわ」


マリアの言う通りこれを持ち歩いてることは誰にも言ってないわ。


「高価な物じゃない方が騒ぎにならないと考えたんじゃないか? ガラス細工程度では学園側に盗まれたと報告されて大事にはされないだろ」


アル様が険しい表情でさらに続けて話す。


「しかし、ストーカーなら盗んだ物を手放したりしない。クリスティーヌ嬢は拾ったと言っていたが、それが本当なら犯人はわざわざ盗んで捨てたことになる。マリア達が言っていたように嫌がらせやイタズラかもしれないな。私もこの件に関しては大事には出来ないが、棚に鍵を付けるくらいのことは進言しよう」


そうアル様が言った次の日さっそく更衣室や教室に個人用の鍵付きの棚が出来た。


すごい!

昨日の今日で設置されるなんて!


「これで少しは安心だろ」

アル様はドヤ顔で言った。


「ええそうね!これで物は失くならないわね!」

まるでロッカーみたいだわ。


「でも昨日の今日で設置されるなんて凄いわ」

学園側も良くすぐ許可したわね。


「セティーの物が盗まれたんだ。すぐに対応しないとだろ。それに、他の生徒の為にもなるしな、少し無理を言ったが元々ある棚に扉と鍵を付けるだけだからな」

「そうだったの。ありがとう。大工の方々にも感謝ね」



「今日は花が飾られてないのね」

「いきなり花が飾られなくなるなんて、どうしたんでしょう?」


マリアとエメリアの言う通り、今日は花が飾られてない。


「ガラス細工を盗んだ者と花を飾っていた者は同一人物なのかもな」

とシャル様が言う。


「でも、ガラス細工が盗まれたことは騒ぎになっていないから、普通なら花は続けるんじゃないかしら?」

騒ぎになってたら目立つことは辞めるでしょうけど、今の状況だと犯人は私がガラス細工を盗まれたことを気にしてないって思うはず。


「証拠不足で、どれも憶測の域を出ないな」

アル様が険しい顔をする。


「難しいことはわかんないけど、とにかく気をつければ良いよね!」


ヴィクトルの言うとおり、気をつけないと!





「そういえば、もうすぐ夏休暇ですけど、皆さんはどうされるんですか?」

お昼休みのランチでエメリアがみんなに質問をする。


そうか、もう夏休みなんだ。

ゲームだともう、攻略対象ルートの分岐点を過ぎて、夏休みのイベントがあったわ。

アル様とお兄様の内容しか知らないけど。

確かアル様には王宮お抱えの避暑地へ、お兄様には領地へ、それぞれデートという名の小旅行に誘われるのだけど。

エメリアはどう夏休みを過ごすんだろう?


「俺は一度国に帰るぞ。久々の帰国だし、俺の誕生日パーティーもあるからな。あっという間に夏休暇が終わるな」


シャル様も第一王子だから大変ね。


「俺は騎士志望の人達と剣術稽古の為に合宿だよ!朝から晩まで鍛錬だよ!」


朝から晩まで鍛錬って、辛そうなのにヴィクトルったら嬉しそう。

流石だわ。


「私はお父様の海外出張について行くの。通訳のお手伝いもあるけど、海外旅行が楽しみだわ!」


マリアったら目が輝いてるわ。

よほど楽しみなのね。


「私は公務があるからな。ほとんど王宮と視察の繰り返しだろ。シャルの誕生日パーティーには国賓として招待されてるから、シャルとは夏休暇でも会うな」


アル様、やっぱり仕事大変そうね。

シャル様の国に行くのは仕事の1つだし、観光も出来なさそう。


エメリアが私の方を向く。

後話してないのは、私とエメリアだけか。


「私は、王妃教育以外は公爵家の領地とお母様の生家に行く予定よ。お祖父様や叔父様達に久々に会えるのが楽しみだわ」


「セティーさんも王都を離れるんですね。私は一度家に帰った後、この学園の寮に戻ってくる予定です!皆さんと会えるのは休暇後ですね!」


夏休みなのに学園に戻ってくるの!?


「エメリア、学園に戻ってきて何するの?」

「何って勉強ですよ!夏休暇中なら図書館使い放題です!それと合間でリュカと前住んでた街に行こうかと思ってます!」


勉強!?

マジか!

エメリアって本当に努力家だわ!

休暇後のテスト、私も負けないように頑張らないと!

というか誰からもお誘いないのかな?

みんなそれぞれ予定ありだけど。


「セティーはほとんどお祖父様の所へ行くの? 空いている日が合えばお茶会がしたかったわ」

とマリアに残念そうに言われた。


「領地は近いんだけど、お母様の生家が遠いから、しばらく王都を離れるわ。でも王妃教育が夏休暇の始めと終わりにあるから、それまでには戻ってくるわ!」


「じゃあ夏休暇の終わり頃にお茶会しましょう!もちろん、エメリアも良かったら来て!」

「はい!是非行きたいです!」



夏休暇楽しみだわ!

でも、みんなとしばらく会えない寂しいなぁ。

特にアル様とは1ヶ月も会えないのは寂しい。

王妃教育で王宮に行っても会えるとは限らないしなぁ。


「セティー、あの、相談なんだが」

ランチから教室へ戻るため、廊下を歩いていると、アル様から遠慮がちに話しかけられた。


「アル様、相談ってどうしたの?」

「いや、セティーさえ良ければシャルの国に一緒に行かないかと思って。私のパートナーとして誕生日パーティーに参加しないか?」

「えっ?でもシャル様の国には国賓として行くのよね?パートナーは要らないんじゃないの?」


私王族じゃないから国賓にはならないし、国外のパーティーに出る資格ないしなぁ。


「うっ!でっでは、王宮抱えの避暑地に行かないか?夏休暇でもセティーに会えたらと思って」


私に会いたいと思ってくれてるなんて!

嬉しい!


「行きたいわ!あっでもお祖父様達の所へ行ってたら、アル様と日程合わなくなってしまうかも」

「そうだな。マルヴィン領は近いが、辺境伯領は遠いからな。無理に日程を詰めてはセティーに負担だし、親族に会える貴重な時間を奪う訳にはいかないか。双方から恨まれそうだな」

アル様が残念そうに言う。


はぁ。

残念だけど、避暑地は諦めるしかないかな。

お祖父様達には夏休暇で会いに行くと手紙を出してるし、それぞれの宿泊日程はもう決まっている。

ここでやっぱり行かないとか、宿泊の予定を縮めるとか言えないわ。

私だけじゃなくて家族みんなで行くから。


「残念だけど諦めるしかなさそうね。ごめんなさい。王妃教育で王宮に行く時に会えれば良いんだけど」


私はシュンと落ち込んでしまう。


「いや、私こそ無理言ってすまない。せめて半日か一日、時間をとってセティーに会えるようにする。旅行の日程を教えてくれ、手紙を出すから」


えっ!本当!

アル様、忙しいのに調整してもらって申し訳ないけど、嬉しい!


「わぁ、嬉しいわ!私も手紙を出すわね!それからお土産も買ってくるわ!」

私はパァっと笑顔になる。


「っ!ああ。セティーからの手紙楽しみにしてる」


わぁーい!

嬉しいなぁ!


夏休みを楽しむ為に課題なんてさっさと済ませてしまおう!

もう配られるはずだから、夏休み入る前から手をつけよう!




そしてあっと言う間に夏休みになる。

簡単な終業式的なものの後はそれぞれ寮に戻り自宅や領地へと移動するために支度する。


「「「お嬢様、支度が整いました」」」

メイドさん3人が全て支度してくれていた。


「ありがとう屋敷に戻ったらみんなも夏休暇だからね! 休みを楽しんでね」


「「「はい!ありがとうございます!」」」


荷物を持ち、馬車の所へ移動する。


「良かった。呼びに行こうと思っていたんだ。荷物はそれで全部?」


お兄様はもう荷物を積み終えてる。

待たせてしまったわ。


「お待たせしてしまってすいません。はい、これで全部です。積み終えたら出発出来ます」

「そんなに待ってないよ。女の子の荷物が多いのは仕方ないことだよ。衣替えも必要だしね」

「良かった!ありがとうございます!」


「ふふ、夏休暇の間は兄様がセティーを独占だからね」

「はい!私もお兄様を独占です!」


学園でも一緒だけど、教師の立場もあって中々一緒に居られないしね。



「セティー、もう出るのか?」

アル様が見送りに来てくれたようだ。


「ええ。早くしないと馬車が混み合ってしまうから」

「そうか。セティー気をつけて」

「ええ。アル様も。忙しいとは思うけど、体調には気をつけてね。それじゃあ、行かないと。手紙、絶対に出すから」

「ああ、私も手紙を必ず書くよ」


アル様はそう言って私の頬に触れる。


えっ!?何!?

ああ!

恥ずかしい!!


「それではアル様、私とセティーはこれで失礼します」


固まっている私はお兄様に手を引かれて馬車に乗り込む。


気づいた時には馬車は動いていた。

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