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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
56/235

失くし物

教室に入りいつもの席に近づくと花が飾られていた。


えっ何?

なんで花があるの?

まさか、古い漫画に出てくるイジメ的なやつ?


「あら、綺麗ね!」

「そうですね!誰が飾ったんでしょう?」

「きっとクラスの誰かが飾ってくれたのよ。でも机の真ん中じゃあ授業の邪魔になってしまうから端に置きましょう」


マリアが花を3人机の端に寄せる。


そうだよね。

3人掛けの机だし、いつもここに座ってるって言っても基本的に席は自由だしね。



それからしばらくの間、毎日花が飾られていた。


うーん。

なんでここだけ花が飾られてるのかな?

花言葉が不幸とか憎しみとかなのは、気のせいかな?


前世の教室でされたら確実にイジメって思うけど、この世界で亡くなった生徒の机に花を飾るなんて習慣はないだろうし、これは善意なのかな。


「こう毎日だと気になるわよね」

「そうですね。それに花言葉が良くない意味の花も多いですし」

マリアとエメリアが不安そうな顔をする。


「大丈夫よ!別に嫌がらせってわけじゃないし。花は綺麗だしね」

花に罪はないわよね。


「もう、セティーは呑気ねえ。ストーカーだったらどうするのよ。相変わらず物を失くしてるんでしょう?」

とマリアが呆れたように言う。


マリアの言うように、相変わらず物が失くなる。あまりにも失くなるので、最初は自分の不注意だと思っていたんだけど、誰かの仕業かと思ってしまう。


だけど失くなった物はどれも換えのきく物ばかりで無くても大丈夫な物だ。

そんな物、盗んだってどうしようもない。

ましてここは、ほとんどが貴族の学園。

人の物なんて欲しくないでしょ。

嫌がらせなら、教科書とか無かったら困る物にするはず。


「ペンや栞とかなんて欲しくないでしょ。それに、私にストーカーなんて有り得ないわ」


私の発言にマリアとエメリアが怒る。

「そんなことはないわよ!」

「そうですよ!セティーさんは高嶺の花なんですよ!」

「それに、次期王妃なんだからね!少しは自分のこと自覚して!」


そんなこと言われても……。

確かに自分は可愛い方だと思うけど、目の前にエメリアという完璧な美少女がいるし、とても自分が一番とは思えないわ。

それに、高嶺の花も次期王妃もアル様が居てこそのもの。

私自身は大したことないのよね。

学園でも大して目立つことしてないし。

それならマリアの方が凄いわ。

外国に対して言葉や知識が多いから将来外国に嫁ぐ予定の令嬢達から相談されているし、マリアの赤髪はどこに居ても目立つから、よく注目されてるわ。


「うーん。どう考えても私って大したことないはずよ」

「「そんなわけない!/です!」」

「セティーは可愛い上に優しい。それに身分も高いから正に高嶺の花!」

「そうですよ!庶民棟のほうでも綺麗で優しいって言われてるんですよ!」


またマリアとエメリアに怒られてしまった。


「全くセティーは。どうして自分の評価が低いのかしら」


それは悪役令嬢だからよ。

なーんて言えないわね。


「でも、これだけ物が失くなるのは嫌がらせでしょうか?」

とエメリアが心配そうな顔をする。


「大丈夫よ。嫌がらせなら教科書とかを狙うはずよ」

私はエメリアを安心させるように言った。


「そうでしょうか。私も昔同じように物を隠されたりしました。仮にストーカーだとしても、だんだんとエスカレートしていきそうで怖いです」


怖がるエメリア可愛いぃ!

てっそうじゃないわね。

エメリアは昔から嫌がらせされてたものね。


「そうよね。今の所は実害はないし、セティーに嫌がらせする人なんて思いつかないけど、一応アル様達に報告した方が良いわね」

とマリアが言う。


「えっ実害ないし、こんなことでアル様達に心配を掛けるわけにはいかないわ」

これ以上の被害が無ければ平気だし。


「もう!甘いわよ。それに、頼られた方がアル様は嬉しいと思うけど」

マリアの言葉にエメリアが続く


「そうですよ!こういうのは、後で何かあった時に、先に知らせておいた方が拗れませんよ!」


そんなに言うなら仕方ない


「わかったわ。乗馬の授業の後はお昼休みだし、その時に言うわ」


どっちにしろ乗馬の授業は男女別だしね。

男性は元々馬に乗れる人が多いから本格的な馬術訓練だけど、女性はまず普通に乗れることから。

なので授業は別になる。




乗馬のために、乗馬用のジャケットとキュロットに着替え、ブーツと手袋を着ける。

貴重品は無くさないように棚に置く。


ちなみに今日の着替えを手伝ってくれたのはエルだ。


「お嬢様、乗馬後の為にお湯とタオルを御用意しておきますね」

「ありがとう。助かるわ」


更衣室は1人1部屋と流石は貴族、贅沢だ。


エルが着ていた制服をハンガーに掛ける。

メイドさん達はこれだけの為に、わざわざ寮から学園の校舎に来てくれる。


有難いわ。

1人じゃ背中のボタン留められないから。


エルと一緒に更衣室を出る前に一応貴重品を確認する。


と言っても私の貴重品はアル様から頂いたリボンの髪飾りと今日着けている耳飾り。それとアル様と昔交換したガラス細工くらいだ。


エルと一緒に更衣室を出る。


「では私は寮の方へ戻りますので、授業が終わる頃にまた参ります」

「ええ、ありがとう」



「あっセティー!こっちよ」

先にマリアとエメリアが馬を連れてきていた。


「セティーさんが乗る馬も一緒に連れてきました」

「ありがとう!助かるわ」


「キュロットって制服やドレスと違って足のラインが出るから嫌ね」

馬にエサをあげながらマリアが言い、エメリアが続く

「足の長さとか隠せませんしね」

2人とも暗い表情をしている。


「2人とも細くて足のライン綺麗だし、足長いじゃないの」

私は太もものあたりとか気になるわ。


「細いだけじゃダメなのよ」

「そうですよねー。そこに色気がないと」

と2人とも溜息をつく。


「私も油断するとすぐに肉がついてしまうから気をつけないと」

脂肪は胸だけに着けば良いのに。

最近運動してないから、さらにやばいわね。

社交界デビューも誕生日も終わって油断してたわ。


「乗馬は全身運動だって言うし、頑張ろう!」



と言ったものの、私は普通に1周するのがやっと。

エメリアの方は馬との呼吸が合っているのか、少し勾配のついたコースも走ることが出来ている。


一番凄いのはマリアだ。

上級者コースも難なく乗りこなしている。

男性に混じって馬術を習っても良いくらいに乗りこなせている。


「マリア凄いわ!カッコいい!」

「ふふ、ヴィに付き合って乗馬は習ってたから。2人だって習い始めたばかりなのに上手よ」

「私は普通に1周するのがやっとだわ。エメリアは凄いわね! 勾配のあるコースでも乗りこなしてたわ!」

「私自身が優れているのではなく、この子が上手なんですよ」

とエメリアが馬のタテガミを撫でながら言う。


流石ヒロイン!

動物にも好かれているのね!


私も馬には嫌われてはいないと思うけど。

やっぱりエメリアとマリアは凄いわ!



乗馬の授業が終わり、制服に着替えるため更衣室へ向かう。


ふぅ。

いくら怪我防止のためとはいえ、夏にジャケットは辛いわ。

汗だくで気持ち悪い。


「お嬢様、お湯とタオルをお持ちしましたので、これでお身体をお拭き致しましょう」

「エル、ありがとう!汗だくだったのよ」

「もうすっかり夏ですからね。お湯にアロマオイルも入れてますので、スッキリするかと」

「わぁ、ユーカリね。スーッとする香りで気持ち良いわ」


背中など届かない所はエルに拭いてもらう。


うーん、さっぱりしたわ。

ウチのメイドさんは、やっぱり優秀だわぁ。


最後に髪を整えてもらい、髪飾りと耳飾りを着けるために棚を見る。


棚をみると髪飾りと耳飾りはあるが、ガラス細工がない。


「ない!!」

えっなんで!?

確かにここに置いたのに!


「お嬢様!どうされました!?」

「ここに置いていたガラス細工がないの!」

どうしよう!


「えっ!?髪飾りと耳飾りは無事ですか!?」

「そっちはあるわ!」

私の言葉にエルがホッとした表情をする。


「良かったです!アルベルト王太子様から頂いた髪飾りに宝石のついた耳飾りが無事で」

「でもガラス細工がないの!」

「ガラス細工ならまた買えばよろしいですよ。高価な物でもないですし」


確かに高価な物じゃない。

けど、あれはアル様との思い出の品。

代わりなんてない!


「ダメなの!あれじゃないとダメなの!」


私は当たりを探す。

転がって何処かへいったかもしれない。


「お嬢様私が探しておきますから昼食をお取り下さい」

「ありがとう。でも私も探すわ。あれは大切な物だから」


そう言って私は更衣室を飛び出す。


今日マリア達と話したことを思い出す。

ストーカーだったら離さず持っているかもしれないけど、嫌がらせだったら、何処かに捨てるかも。


私は植木の茂みなどを探すが見つからない。


ダメだ。

ここにもない。

後捨てそうな所っていえば池とかかな。


私は池のある所へ向かう。


池に辿り着くとそこにはクリスティーヌ様が居た。

クリスティーヌ様は何かを太陽にかざしていた。


あっあれは!


「クリスティーヌ様!」

「っ!?セレスティーヌ」

「あの、それ私のなんです!」

「はっ?いっいきなりなんですの?」


クリスティーヌ様が手にしていたのは、なんと、私のガラス細工だった。


「それ、さっき失くしてしまった物で、凄く大切な物なんです!」

「これが貴方のだという証拠でもありますの? これは私のですわ」

「えっ?なっないですけど、見たらわかります!」

「ふん、そんなの幾らでも言えるわ。貴方のだという証拠がないなら渡せないわ」


えっそんな!


「それはセティーのだと、私が見極めよう」

突然アル様が現れた。


「アルベルト様!」

「アル様どうしてここに?」


突然のアル様登場に私もクリスティーヌ様も驚きを隠せない。


「セティーが中々ランチに来ないし、さっきそこで、セティーのメイドに会って事情を聞いた」

「そうだったの」

「クリスティーヌ嬢、それを見せてくれないか。見てセティーのでなければ、必ず返す」


アル様に言われて、クリスティーヌ様は渋々ガラス細工をアル様に渡す。


「ああ、これは間違いなくセティーのだ」

「っ!?なっなんでそんなことわかりますの!?」

「それは、このガラス細工に色を付けたのが私だからだ。この色の入りきっていないあたりとか、懐かしいな。昔セティーと2人でガラス細工に色を付けてお互いのを交換したんだ。その証拠に私も色違いの物を持っている」

アル様はポケットからガラス細工を取り出す。

私が付けたアメジスト色のガラス細工だ。


わぁ!

懐かしい!

ていうかアル様も持ち歩いてるの!?


「ふふ、懐かしいな。これは2人の思い出の品なんだ。そういうことで、これをセティーに返してくれ」


アル様の言葉にクリスティーヌ様がどこか虚ろな表情をしてブツブツと何かを言っている。


「思い出……お揃い…互いの瞳の色……」


アル様からガラス細工を受け取る。


あぁ!

よかった!

戻ってきて本当に良かった!


「ところでクリスティーヌ嬢、これをどこで手に入れたんだ? これは、セティーが乗馬の授業で使用していた更衣室から失くなった物だ」


「ハッ!えっそれは」

クリスティーヌ様が正気に戻ったようだ


「ハッキリ言えば、これは盗まれた物だ」

「拾ったんですわ!落ちていたのを拾ったのです!」

「そうか。落としていった人物を見なかったか?」

「みっ見てませんわ!だって、落ちていたのを見つけただけですもの」

クリスティーヌ様は少し慌てるように言う。


そっかぁ。

じゃあ犯人はわからないか。

でも見つけてくれて有難いな。


「そうか、残念だ」

「クリスティーヌ様、拾って頂いてありがとうございます! 凄く大切な物なので嬉しいです」


私は笑顔で言った。

するとクリスティーヌ様は悔しそうな顔をする。

「貴方の為に拾ったわけじゃないわ!」


そう言ってクリスティーヌ様は去ってしまった。


今度改めてお礼をしよう。


「アル様ありがとう」

「いや、大したことはしてない。手元に戻ってよかったな」

「えぇ!良かったわ!というかアル様も持ち歩いてるのね!」

「ああ、これは私にとっても大事な物だからな」


嬉しい!


「あっ!エルに見つかったって言わないと!」

「それなら一緒に行こう。さっき会ったばかりだからまだ近くに居るだろう。見つかったことを伝えたらランチにしよう。昼休みが終わってしまう」

「ええ、そうしましょう!」

いつも小説を読んで下さっている方々ありがとうございます。


2章から話の展開が難しく、中々妄想がまとまらず、更新速度が落ちています。


途中放棄だけはしませんので、どうか最後までお付き合い下さい。

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