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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
53/235

剣術大会

「ずいぶん、気合い入ってますね」

「そろそろ剣術大会だから、暇さえあれば訓練してるわ」


マリアとエメリアの3人で、課題の刺繍をしながらヴィクトルの剣術の練習を眺める。

剣を握り素振りをするヴィクトルはいつもの笑顔とは違い、凛々しい顔をしている。

少し離れた所で令嬢達がキャーキャー言っているのが見える。


さすが攻略対象者!

人気があるなぁ。

あっタオルを渡してる人もいる!


するとマリアがムスッとした顔をする

「全く、こんな時だけカッコイイって騒ぐんだから」

「ヴィ君は人気あるんですね」

「エメリア、それは違うわ。アル様やシャル様に比べて、現実的に狙いやすいってだけよ」

マリアは頬をぷくっと膨らませる。


「ゔーん、そうしら?純粋にヴィクトルを慕ってるかもよ?」

攻略対象者だし、人気あるのは当たり前だし。


「違うわよ!普段のヴィクトルを見て、良いって言ってくれるのなんて、セティーとエメリアくらいよ!ああやって、寄ってくるのは剣を握ってる時しか知らないか、侯爵家跡取りという肩書きに惹かれてる方しか居ないわ!全く、ヴィのことよく知りもしない癖に寄ってくるんだから!」

とマリアが怒りながら刺繍をする


「まぁ、でもそれもヴィクトルの魅力の1つよ」

「確かに、今の真剣な顔と普段の笑顔はギャップがあって魅力的ですよね」


おっエメリア、ヴィクトルに気があるのかな?

結局まだ誰のルートに入ってるのかわかんないのよね。


「私は、ヴィのことちゃんと見てくれる人がいいの。私、セティー出会わなかったらきっとヴィに近づいてくる令嬢にもっと嫉妬して居たわ」

とマリアが溜息をつく


「まぁ、双子ですしね。自分の半身とも言いますし、嫉妬して当然ですよ」

「そうよ。産まれた時から一緒なんだし、私だってお兄様に恋人が出来たら気になるわ」


双子の妹って、ヒロインを邪魔する悪役っぽいわね。

現実はそんなことなさそうだけど。


「それなら良いんだけど。セティーはブラコンだから私以上に酷そうね」

マリアが笑いながら言った。

「そっそんなことはないわよ!ただ素敵な人であってほしいと思うだけよ」


確かに私はブラコンだけど、そんな嫉妬なんてしないわよ。

たぶん。


「それにお兄様が選んだ相手なら素晴らしい方なはずよ」

そうに決まってるわ。

まぁ出来ればエメリアが良いなって思うけど


「素晴らしい方ねぇ。私もヴィが本気で選んだ相手なら文句はないけど、出来ればエメリアみたいな女性がいいわ」

とまたマリアが溜息をつきながら言う


「えっ!私もお兄様にはエメリアみたいな女性がいいわ!」


「えっ!?わっ私ですか!?」

エメリアは私とマリアの言葉に驚く。


「「ええ!!」」

私とマリアは同時に頷く


「ヴィは根が真面目だし、一途よ!ちょっとまっすぐ過ぎる所が玉に瑕だけど、裏を返せば素直って事だし、どうかしら?」

「お兄様だって真面目でとっても優しい方よ!甘やかしてくれるけど、諭してもくれるし。それに、ああ見えて意外と強いのよ!どうかしら?」


マリアはヴィクトルを、私はお兄様をエメリアに推す。


「えっえーと、ヴィ君は優しくて、 一緒に居て楽しいお友達ですし、ジェラルド様はとても尊敬しています。ですが、お二人とも恋人だなんて、素敵な方々過ぎて、とっとても考えられません!」

とエメリアに困惑しながらもハッキリと断られた。


全く照れた様子もないし、これ以上は困らせるだけかな。


「そう、それなら仕方ないわね。あまりエメリアを困らせてはいけないしね」

とマリアも同じ意見らしい。


残る攻略対象者はシャル様とアル様だけど、どうなんだろう。


「なんだ、俺を推してくれないのか?」

「キャッ!?シャ、シャル様!」

急に耳元で囁かれてびっくりした!


「セティーもマリアも俺を推してくれないとは、酷いものだ」

とシャル様は面白そうに言う。


「シャル様は王族ですよ!こうして友人になれただけでも奇跡なのに、こっ恋人だなんて、考えたこともありません!」

とエメリアが慌てて答える。


「おお!王太子である俺が振られたぞ。セティー、慰めに抱きしめさせてくれ」

「えっ?」

面白そうに話すシャル様に抱きしめられる。


なっ何故!?


「あっあのシャル様?」

「んー?どうした?」

シャル様が色っぽい笑顔を浮かべる。


ひぃー!顔が近いよ!


「はっ離して下さい」

「おお、セティーまで俺に冷たいのか。酷いなぁ。」

「うっ!そんな冷たくなんてしてませんよ。それに、面白がってるだけでしょう?」

「ハハハ、バレたか。うーん、そうだこのまま頭を撫でてくれたら離すぞ」


まぁ、それくらいなら良いかな


私はシャル様の頭を撫でる。

わぁ、髪の毛サラサラだぁ!


「おい、何をしているんだ?」

「ん?アルか。何って、セティーに慰めてもらってる」


あっアル様!

いつの間に!

なんか怒ってる??


「セティーに抱きつく必要ないだろう!離れろ!」

「ん?これも慰めの1つだ。聞いてくれ、俺はエメリアに振られたぞ」

シャル様の顔はニヤァと笑っている。


「それがどうした!セティーを抱きしめる理由にならん!」

アル様によって、シャル様が私からべりっと引き剥がされる。


「おぉ、酷いものだ。親友が振られたと言うのにこの仕打ち」

シクシクとシャル様が嘘泣きをする


「うるさい、だいたい本気で傷ついてないだろう。セティーとエメリアを困らせるな。マリアもシャルの暴走を止めてくれ」

「あら、婚約者を守るのは殿方の務めですよ」

「うっそうだが、しかし」

「そうだぞ、マリア、もっと言ってやれ」

「シャル!お前と言う奴はー!」


「ふふ、みんな仲が良いですね」

「ええそうね」

まるで、コントみたい。


「あれ?みんな集まってどうしたの?」

とヴィクトルが来た。


「みんな楽しそうだね」

「ええそうね」


結局エメリアの気持ちが誰に向いて、どのルートに向かってるのか、わからなかったわ。

あっ!アル様のことは聞いてないわ!

アル様のことどう思ってるんだろう!?

でも、聞いたとしても、仮にも婚約者の私にアル様が好きだって答えれないよね。


はぁ。

困ったわ。




---------------

剣術大会当日


アル様とシャル様はいい所まで行ったがヴィクトルと当たって負けてしまった。


「ヴィと当たってなければもう少し上に行けたのにな」

「ヴィは私の護衛騎士になる男だからな。私より強くて当然だが、悔しいな」

アル様とシャル様は悔しそうだ。


ヴィクトルは当たり前のように勝ち上がり、準々決勝の相手はなんとリュカだった。


いくら男子全員参加とはいえ、騎士志望でもないのに勝ち残ってるなんて凄い!


「リュカー頑張れー」

隣ではエメリアがリュカを応援している。


うーんこれは完全にヴィクトルのルートは無しかな。


「リュカは凄いわね、ここまで勝ち残るなんて」

「なんでも相手が体調不良とか、文官志望の人ばかりだったお陰で、ここまで来れたんです」

「でも、ここでヴィと当たるなんて、運が良いんだか悪いんだか、わからないわね」


確かに。

マリアの言う通り、ここはヴィクトルが勝つわね


「で、でも良い勝負が出来るかもですよ!」

「そう言ってる間にリュカが負けたわよ」

マリアの言葉に慌てて試合を観ると、ヴィクトルがリュカの剣を弾いて試合が終わっていた。


「あぁ残念です」

「でも頑張ったじゃない。ヴィクトルも流石ね」


その後もヴィクトルは順調に勝ち上がり、決勝戦でもあっさりと勝った。


「優勝はヴィクトル・エルランジェ!!」

司会者が叫び、観衆が湧く


「あっさり勝っちゃうなんて凄いわね!」

「ふふ、ヴィなら当然よ」

マリアは自分のことの様に嬉しそうだ。


「優勝者には『銀の騎士』ことモルガン・シャリエール殿より楯が贈られます!」


えっ!

お祖父様!?


「ちょうどモルガン殿が王宮に報告をしに来ると言うので、ついでに若者に激励してくれとお願いしたんだ」

とアル様から説明される。


そんなの聞いてませんけど。



私はお花を摘みに行き、1人で会場内を歩く


「クソッ!エルランジェの奴!現騎士団長の子息である俺を差し置いて優勝だと!」

「どうせ前騎士団長に稽古をつけてもらってるんだろ」

「ずるいよなぁ。アルベルト様の稽古の相手だって普通は現騎士団長の息子がなる筈だしな」

「いつも女性達に注目されて良い気になりやがって」


数名の男性達がヴィクトルの悪口を言っているのが聞こえた


はぁ?負け惜しみにも程があるわ!


「セティー、ここで何してるの?」

「っ!ヴィクトル!えっとこれからみんなの所に戻るとこよ」

「そうなんだ!一緒に行こう!」

「ええ」


ヴィクトル、さっきの聞こえてたよね。


「ねぇヴィクトル、言い返さなくて良いの?」

「ああ、さっきの。悔しくないって言ったら嘘だけど、気にしなくなったんだよ。前にセティーに言われたじゃん。負け惜しみで文句言ってるんだって。だからさ、アイツらが俺を悪く言ってる間に、俺は稽古して、アイツらに絶対に負けないようにすれば良いだけだって思えるようになったんだ!」

とヴィクトルはニカッと笑いながら言った。


嘘偽りない笑顔は輝いてみえる。

不覚にも少しドキっとした。

わぁ、攻略対象者って感じだなぁ。


「そっか、私はヴィクトルのこと応援するよ」

「うん、ありがとう!それよりさ、俺『銀の騎士』に会ったよ!すっごくかっこよかったぁ!」

「うっうん良かったね」


ウチのお祖父様だけどね。

まぁお祖父様は歳をとってもダンディで素敵だけどね


「あんな凄い人が身内なんていいなぁ」

「ふふ、ありがとう」


そうして、アル様達の所に着いた。


「セティー!!!!」


着いた途端に激しく抱きしめられる


「お祖父様!?」

「あああ!ワシの可愛いセティーよ!会いたかったぞ!こんなに大きくなって!」


あの、お祖父様?

威厳はどこに忘れたの?

銀髪に翡翠の目、普段は厳つい顔付きな筈なのに今はデレデレ顔が止まらない。


「お祖父様お久しぶりです。あの、みんなが見てるので離して下さい」

「何を言う!数年ぶりに会った孫を抱きしめて何が悪い!」

「恥ずかしいのです!」

と言って私はお祖父様の腕から脱出する。


全くウチの男性陣は抱き着くのが癖なのかな。


「あああ、昔はあんなに、おじいちゃまと呼んで甘えてくれたのに!」

とお祖父様が泣き崩れる。

私の後ろではヴィクトルが固まっている。


お祖父様への憧れ像崩壊してないかな?


「あっあのモルガン殿!あの俺、貴方に憧れてます!今度良ければ手合わせをお願い致します!」

「おお、あの優勝者の青年か!良かろう、今度手合わせいたそう!」

「あっありがとうございます!」


良かった幻滅したわけではなさそう

世間は3連休でしたね。

土日・祝日休みの仕事がしたいです


更新遅くなってきていてすいません

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