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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
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お茶会-様々な事情-

会話文多めで読みづらいかもですが、どうぞ。

しばらくして、お母様に呼び出された。


「今日は一緒にお茶会に行きましょう!」

「えっ!?お母様!そんな出歩いてはダメです!安静にしてないと!」


ちょっと妊婦でしょ!

つわりとか心配だよ!


「もう、セティーちゃんまでエドみたいな事言ってー。大丈夫よ。親友とセティーちゃんの3人だけだから。これもストレス発散よ!」

「はぁ。それなら良いんですけど。どちらのお茶会に行くんですか?」

「王家よー!アイリーンからのお誘いなのよ!」

「王妃様!?」


待って、王妃様ってアル様のお母様よね。

私の緊張がヤバいんですけど!


「ふふ、緊張しなくても大丈夫よー。アイリーンには、赤ちゃんの頃に会ってるし、今日も向こうから会いたいって言われてるんだから」

「赤ちゃんの頃って言われても覚えてませんよ」


はぁー。

大丈夫かなぁ?



私の不安は他所に王宮に着いた。


「エレオノーラ!良く来たわぁ!」

「アイリーンも久しぶりねー」


着いて早々にお母様と王妃様が親しそうにしている。

仲が良いと聞いてたけど、こんなに仲が良いとは知らなかった。


「あなたがセレスティーヌちゃんねぇ!久しぶりねぇ。赤ちゃんの頃に会ってるのよぉ。」

「お久しぶりです王妃様」


王妃様と言葉を交わすのは王妃教育の始まりの日以来だ。


「もう、固いわぁ!私のことは名前で呼んでほしいわぁ!私もセティーちゃんって呼ぶからぁ」

「はっはい。アイリーン様」


語尾が間延びして、式典とかで見る王妃様と印象が違うけど、やっぱり美女だわ!

桃色のウェーブの髪に灰色の大きな瞳。

スタイルも30代後半とは思えないほど綺麗だ。


「あぁ!やっーとこうして会うことが出来たわぁ。アルのお嫁さんになるセティーちゃんに会いたかったのよぉ」

「えっ!?」

アル様のお嫁さん?


「アルのお嫁さんになってくれるんでしょう? 私も貴方が良いと思ってたのよぉ。でも王妃として1人の令嬢に肩入れ出来ないから、今まで何にも出来なかったのぉ。やっとこうして会えて嬉しいわぁ」


それってこないだアル様が言ってたクリスティーヌ様のことが関係してるのかな?


「あのアイリーン様、それってもしかして、クリスティーヌ様のことが関係してますか?」

「あら、もう知ってたのねぇ。アルから聞いたのかしらぁ?」

「はい」


アイリーン様は一息ついて話し出す。

「まぁどうせ遅かれ早かれ噂になるわねぇ。その通りよぉ。クリスティーヌさんは候補者から外すわぁ。本当は、マリアさんが降りられた時に一緒に外す予定だったんだけどねぇ。アルベール侯爵家からの強い推薦もあったからぁ。でもほらぁ、彼女はサンドラに外見も中身もそっくりに育っちゃったからぁ。残念な人になってしまったわねぇ。侯爵家の推薦もないし、彼女が候補者に再び返り咲くことはないわぁ。王宮の男性陣の中では、カジミーユ侯爵の英断だと言われてるみたいよぉ。」


アイリーン様の言葉にお母様が続く。

「でもサンドラは諦めてないみたいよー。来ないだカジミーユ様に会いにわざわざ王宮に来たって聞いたわよ?」


お母様の言葉にアイリーン様が答える。


「ああ、そういえばぁ。そんなことあったわねぇ。カジミーユ様は御自宅にまともに帰ってないから、娘のことを考え直すように訴えに来たのよぉ。でもカジミーユ様が門前払いにしてたわよぉ」


「あの?何故クリスティーヌ様のお父様はクリスティーヌ様のことを推薦しなくなったのでしょう?確か野心がある方だと聞きましたけど」


私の疑問に2人は困った顔をする。

最初に口を開いたのはアイリーン様だ。


「あの方は元々野心とは掛け離れた方なのよぉ。昔、恋人と一緒になりたくて貴族の身分を捨てようとした方なのよぉ」

「えっ?そうなんですか?」


どういう経緯でサンドラ様と結婚したんだろう?


次に口を開いたのはお母様だ。

「この話しは結構有名なのよ。カジミーユ様は市井で出会った女性と恋に落ちたけど結婚を猛反対されたの。だから2人で駆け落ちをするつもりだったんだけど、恋人が病を患っているとわかって、多額の治療費が必要だったのよ。恋人の治療のために、貴族に残ることにしたのよ。ただ侯爵家を継いで恋人に治療を受けさせる対価が、サンドラとの結婚だったのよ」

「えっ!?」


それって恋人とは、どうなっちゃったの?


今度はアイリーン様が口を開く


「大抵の令嬢は学園を卒業したら結婚するわぁ。でも、エドガルドに夢中だったサンドラには、結婚相手が居なくてねぇ。御両親がより身分の高い縁を求めて、多額の持参金をつけたのよぉ。ちょうどその頃、先代のアルベール侯爵が事業に失敗してしまって、その持参金に飛びついたのよぉ。カジミーユ様には選択肢が無かったわねぇ。サンドラと結婚しなければ侯爵家を継げないし、仮に継げても経済的に傾いた状態では恋人の治療費が出せないものぉ」

「そんなことがあったんですね。その恋人という方はどうなったのですか?」


今度はお母様が口を開く。


「病は治ったそうよ。御子息のカミーユ様を産んで、今は別邸に住んでるって聞くわ。」

「カミーユ様ってクリスティーヌ様のお兄様ですか?」

「えぇ、そうよ。カミーユ様はカジミーユ様と恋人との間に出来た子よ。カジミーユ様はね、恋人とその息子の為に野心家になったと言われてるのよ。分家や前侯爵に何も言わせない為に。だから自分や御子息の足を引っ張っているクリスティーヌさんを推薦しなくなったのよ。」


「今ではカミーユさんは立派な跡取りになり、恋人も別邸で安全に暮らせているものねぇ。当時は真実の愛として社交界では有名だったのよぉ」

と先後にアイリーン様が答え、話しはめでたし、めでたしと言った感じで終わった。


話を聞いてサンドラ様以外は幸せで終わった感じだけど、サンドラ様は幸せになれなかったのかな。

小さい頃にクリスティーヌ様に遠回しに御両親仲が悪いのかって言ったけど、悪い事をしたわ。


「あの、サンドラ様は侯爵家にお嫁に行って幸せなのですか?」


「「はぁー、そこなのよねぇ」」

私の問いにまた2人がため息をついた。


アイリーン様が口を開く

「政略結婚って本来そんなものよぉ。サンドラだってきちんと旦那様と話しあって自分の役割を理解して、行動していれば、こんなに冷めた関係にはならなかったでしょうにぃ」


「サンドラが、ああなのはサンドラだけのせいじゃないけどねぇ」

お母様がため息をつきながら言った。


「お母様達は、クリスティーヌ様のお母様のこと詳しいのですか?」

「「そうねぇ」」


「私達元クラスメイトなの。学園に入学した最初の頃は一緒にランチをしたり、お茶をしたりしてたのよ。」


「えっ!?お母様それって!」

「お友達だったわ」


えーーー!?


「私がエレオノーラと最初に仲良くなって、ロベルトやエドガルドを紹介したのが原因なのよぉ」

とアイリーン様は悲しそうに言った。


「アイリーン、そんなことはないわ。お陰でエドと出会えたもの。エドが私を見染めてくれて、私もエドを好きになったの。アイリーンのせいじゃないわ」


続けてお母様は話し出す。

「サンドラとはクラスで出会ったの。身分が近いから仲良くしましょうって言われたけど、友情は長く続かなかったわ。サンドラは成人のパーティーで、エドに一目惚れして、告白したそうなんだけど、エドが断ったのよ。それでも諦めることが出来なくて、エドと一緒に居る私達と共に行動していたのよ。私達が恋人になった時に、サンドラから嫌がらせを受けるようになったわ。まぁ、たわいもないイタズラだったけど。ただ、サンドラが私にエドを奪われたと、周りに言っていたのがエドの耳に入ってね、エドが怒ったのよ。サンドラの事はきちんとお断りしているし、好いたことなどないって。自分と私への侮辱だとね。それで完全に決裂したのよ。」


「そうだったんですね」

恋と友情って難しいわ。


「その後で知ったんだけど、サンドラは両親が中々子を授かる事が出来なくて、ようやく出来た子供で、完全に甘やかして育てられたそうよ。家庭教師も教育係も使用人もサンドラに関わる全ての人に、サンドラを叱ることは許さず、ただひたすらに誉め続けたそうよ。それに、他の家の子とは交流せずに、使用人の子供としか遊ばなかったせいで、自分が黒と言えば白い物も黒になる世界で生きて、自分は特別だと、誰からも愛される存在だと、勘違いして育ったそうよ。だから自分が拒絶されることや挫折がきっと許せなかったのよ。教育はある意味洗脳よ。それが正しいと思い込むことで、正しい考え方が出来なくなるもの。」


完全に歪んだ教育方法だな。

次にアイリーン様が話し出す。


「クリスティーヌさんはサンドラと同じ教育係と家庭教師に育てられたそうよぉ。アルベール侯爵家の使用人も、半分以上はサンドラの生家から連れて来た者達と変えたらしいわぁ。だからクリスティーヌさんは、中身までサンドラにそっくりになってしまったのねぇ」


「カジミーユ様はクリスティーヌ様の教育に関与しなかったんですか?」


「クリスティーヌさんをアルのお嫁さんにする為に動こうとしたわよぉ。でも、セティーちゃんが産まれたから、その望みも薄くなって、サンドラに全てを任せてしまったのよぉ」


えっ?

私のせい?


「私が原因なんですか?」

「違うわよぉ!アルの妃か御学友になるには、正式な身分が必要だから、サンドラと子供を作ったけど、自分達より身分の高い家に歳と性別が同じの子供が出来たってだけよぉ!まぁ、エレオノーラと子作りの時期を合わせたのは私だけどねぇ」


「えっ!?時期を合わせたって」


「だってぇ、自分の子供が親友の子供と仲良くなったら素敵でしょう? 最初の子は流れてしまったけど、アルは立派に育って本当にエレオノーラの娘と婚約したのよぉ!最高に嬉しいわぁ!」


全ては仕組まれていた。

そんな感じがするわ。


「ふふふ、今回もねぇ。エレオノーラが御懐妊だって聞いて、ロベルトと頑張ってるのよぉ!」


「えっ!?」

この人今、子作り頑張ってるって言ったの!?

そんな堂々と…。


「まぁ!アイリーンなら絶対にそうすると思ったわぁ!」

「ふふふ、アルも成人したしぃ。男の子が産まれても王位争いは起きないしぃ。女の子でも他国の戦争が落ち着いてきたから、妃にという名目で人質に取られる心配もないしねぇ! 楽しみだわぁ!私女の子が欲しいのぉ!セティーちゃんみたいな可愛い子がぁ!」

「いいわねえ!産まれてきたら子供達を連れて、ゆっくりウチの領地で過ごしましょう!」

「最高ねぇ!なんなら、アルに王位譲ってゆっくり隠居生活したいわぁ。セティーちゃん、早く嫁いで来てねぇ!」

「えっと、それはアル様のお心次第かと」


エメリアがアル様とくっ付く未来もあり得るからなぁ。


「何言ってるのよぉ。こないだもアルとデートしたんでしょう?」

「なっ!?何故それを!?」


なんで知ってるの!?

誰も付いてきてなかったよね!?


「ふふふ、王太子の行動なんて常に監視されてるわよぉ。でも安心して会話は流石に聞いてないわぁ。ねぇアルはセティーちゃんに何か言わなかったのぉ?」

「これからも婚約者で居て欲しいと言われました。私も皆さんに反対されないように頑張ります。今更アル様に婚約者が居なくなったら困りますもんね。」


好きとかハッキリ言われてないけど、必要とされてるんだよね。

それだけで嬉しいわ


「ん?それだけぇ?愛してるとか、結婚の話しとかはないのぉ?」

そう言ったアイリーン様の目は笑っていない。


「ええ、それだけですけど。アル様にとって私は友人なんですもの。必要とされていて私は嬉しいです」


私の答えにアイリーン様が怒り出す。

「あーもうぉ!アルったら何やってるのよぉ!」


「もう、セティーちゃんは相変わらず鈍いんだから。誰に似たのかしら?」

とお母様は呆れた表情で言った。


こうして、様々な事情が知れ、お茶会は幕を閉じた。

やっとアルベール侯爵家の事情が書けました。

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