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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
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誕生日パーティー②

「「「セティー!誕生日おめでとう!」」」


「やっとセティーの所へ来れたよー」

「今日は主役だから、たくさん話し掛けられて大変ね」

「今日のセティーはセクシーだな」


マリア、ヴィクトル、シャル様が私の所へ来た。


待って、なんで主力メンバーがエメリアを放置してるの!?


「みんな、それどころじゃないわ!エメリアが知らない男性とバルコニーに行ったのよ!」


「「「ああ!」」」


えっ何その反応!?

攻略対象者ならヒロインを守ってよー。


「ふふ、あの人は大丈夫よー」

マリアがいたずらっ子のように笑っている。


「え? どういうこと?」

状況が良く分からないんだけど。


「エメリアがセティーに挨拶をする人の波が落ち着いたら、挨拶に来るって言ってたし、その時にわかるわよ」

「?」


「それはさて置き。セティー、私と踊らないか?」


シャル様にダンスを申し込まれて私はアル様の顔を見る。


「今日のセティーとはダメだ」

「何故だ?あぁ、手がセティーの肌に触れるからか」


シャル様にそう言われて、私の顔は赤くなってしまう。


「ハハ、そんな大胆なドレスを着ているのにセティーは可愛い反応をするなぁ」

「シャル!」

「ハハハ、アルに怒られては仕方ない、ダンスは諦めるか」


「そうだ!私達からのプレゼントがあるのよ!お部屋に届けてあるから後で見てね」

「ありがとう!」



それからしばらく、招待客の方々とお話しをして、やっと一区切りついた


「セティーさん!お誕生日おめでとうございます!」


エメリアが来てくれた。隣にはあの男性がいる。


「ありがとう!ところで、その男性は?」

「はい!紹介します!私の友達のリュカです!彼とは幼い頃からの幼馴染なんです!今回のパーティーで紹介出来たらって思って、リュカに無理言ってエスコートを頼んだんです!」


この人がエメリアが会いに行ってた友達なの!?

女の子だと思ってたのに、男子だなんて。


「セレスティーヌ・マルヴィン様。まずは、自分のような身分の者が、この場にいることをお許しください。エメリアのエスコートをさせて頂きました、リュカと申します。この度はお祝い申し上げます」


ものすごく丁寧に挨拶されお辞儀をする男性は赤茶色の髪に茶色の瞳、爽やかな顔立ちの男性だった。

イケメンだけど、攻略対象者より少し劣る感じだ。


モブキャラだと思ってたのに、中々カッコいいし、エメリアと幼馴染なんて結構重要な登場人物だよね。

それなのに、ゲームでは出て来てないわ。

あっヴィクトルかシャル様ルートで出てくるのかな?

私2人のルートはプレイしてないから、わからないのよね。


「こちらこそ、来ていただいてありがとうございます。セレスティーヌと申します。エメリアとはお友達です。そう畏まらなくても大丈夫ですよ」

「ありがとうございます。エメリアからエスコートを頼まれた時は、どうしたものかと思いましたが、セレスティーヌ様が寛容な方で良かったです。」

「ふふ、エスコート役なら私と一緒にパーティーに出れると思ったんです!」

「もう、リアは無茶を言うと思ったよ」

「私やマリア達なら問題ないけど、他の方のパーティーの時はリュカさんにお願いできないわよ」


流石に他の貴族のパーティーに平民のリュカさんをエスコート役にしたら何かと言われるでしょ。


「だって、ヴィ君にはマリアさんが居るし、シャル様は王族だから無理ですし、ジェラルド先生は主催者側ですし、アル様にはセティーさんが。だから他の方にお願いしないといけなかったんですけど、私まだダンスが上手く踊れないし、こんな大きなパーティー初めてなのに、慣れない人と来れないって思って。それに、いつかはセティーさんにリュカを紹介したかったし。リュカはこっちの校舎には選択授業以外では来れないし、セティーさんがリュカの方へ行くには目立つから。何より、リュカと一緒に来れたら良いなって思ったから。リュカ、無理言ってごめんね」

エメリアが申し訳なさそうにリュカさんに謝る。


「リアは貴族になってもリアのままだね。頼ってくれて嬉しいよ。ただ僕は、今のリアに釣り合う身分ではないからね。」

「そんなことない!どんな身分になったって私は私だし、リュカとの関係だって変わらないわ!」

エメリアとリュカさんが見つめ合う。


身分という垣根を越えての友情!

なんて美しいの!


ハッそうじゃなかった!

他の攻略対象者は何やってるの?

見せ場をリュカさんに取られてるけど。


「エメリア、良い機会だからみんなと踊ってみたら?」

「えっ?でも…」


私の言葉にエメリアが困った顔をする。


「俺は無理だよ。セティーだって知ってるでしょ! 俺はマリア以外と上手く踊れないって」

とヴィクトルが拒否する。


「俺もだな。今ここで、固まっているだけで目立っているが、俺と踊ってはエメリアがより目立つ。そうしたらエスコートを役のリュカに他の貴族達の目が行ってしまう。そうしたら、リュカが平民だとバレて後で問題になるからな。残念だが、他の機会で俺と踊ってくれ」


シャル様の意見は最もだけど、それじゃあゲーム通りに進行しないよぉ!


「そういうことで、当然私とも無理だぞ。ついでに言うとジルは招待客の相手に忙しそうだ」


アル様にトドメの言葉を言われ、私は項垂れる。


どうしてこうなった?

それぞれの好感度が上がらなかったから?

それって私が悪役令嬢をしなかったからなの?

それで、シナリオを通りにならないの?

うぅ、どうすれば良いの。

それに、リュカさんが登場した影響も気になるわ。

いくらゲームの世界でも、実際に私達は生きてるし、それぞれ感情や思考だってある人で、キャラではないってわかってるけど。


私が困惑している中、パーティーが終わった。


みんなで私の部屋に移動する。

部屋にはプレゼントの山が出来ていた。

「すごい量ですね」

エメリアが驚いた表情をする。


「公爵家と縁を結びたい人達が贈ってくれたのよ。仕分けは家の者に任せるとして、私はみんなからのプレゼントを開けさせてもらうわ」


マリアからは最新の本、ヴィクトルからは綺麗な短剣、シャル様からはアメジストの宝石、エメリアからは綺麗な布だった


「みんなありがとう!嬉しいわ!」

「でもヴィたら、短剣って女性へのプレゼントとしてどうなのかしら」

「良いじゃん、護身用だよ」

「ふふ、ヴィクトルありがとう」



「あの、自分もささやかですけど、これを」

リュカさんがそう言って、白と青とピンクのかすみ草の花束を私にくれた


かすみ草の花束!

可愛い!

それに、青とピンクのかすみ草なんて初めて見たわ!


「リュカさん、ありがとうございます!」

「いえ、本当にこんな物しか用意出来なくて、すいません。」

「そんなことないです!青とピンクのかすみ草なんて初めて見たわ!とっても可愛いです!」

「そう言ってもらえてよかってです。自分の家は商家なので、珍しい花や商品が手に入るんです」

「そうなんですね!リュカさんは将来、御実家をお継ぎになるために学園に?」

「いえ、僕は三男なので、実家は長男が継ぎますし、経理等は次男の兄がしますので、僕は自分で職に就こうかと」

「そうだったのね、リュカさんの努力が実るよう祈るわ。何か手伝えることがあったら言って下さいね」

「ありがとうございます。それと言い遅れましたが、僕に『さん』は付けなくて良いです。リアのように呼び捨てにして下さい」

「では遠慮なく、リュカと呼びますね。リュカはエメリアのことを『リア』と呼ぶのね。私もそう呼ぼうかしら。リュカさんに愛称はないの?」

「昔、幼い頃はリアから『リカ』と呼ばれてました」


『リカ』かぁ。

その名前で頭に浮かんでくるのは、あの有名な人形だなぁ。


「セティーさん!それは私が幼い頃、リュカのリュを発音出来なかったからです! だから、リュカのことはリュカで、私のことも今まで通り、エメリアで大丈夫です!」

エメリアが少し慌てた口調で言う。


確かに、小さい頃って発音難しいよね。

昔の失敗みたいで恥ずかしいのかな?


「わかったわ。今まで通りエメリアってよぶわ。リュカのこともね」


「「はい」」


コンコンとドアをノックする音がして、お兄様とお母様、お父様が入ってくる


「楽しそうだね。後で私からもプレゼントがあるからね」

「ありがとうございます。お兄様!」


「ふふ、楽しそうね。お友達がたくさんで良かったわね」

「そうだね、セティーはみんなに愛されてるなぁ。ん?君は?見たことがないが」

お父様がリュカに気がつく。


「リュカと申します。今日はエメリア嬢のエスコート役をさせて頂きました。」

「ああ、サリュート商会の息子さんか。我が家へようこそ」


お父様曰く、リュカのお家は大きな商会なんだとか


「あっそうそう、言い忘れてたわ。前にこのパーティーに良い報告をするって言ったでしょう。みんな揃ってるし、今するわね」


ああ、そう言えばそんなこと言ってたような。


お母様はお腹をさすりながら口を開く。

「ふふ、弟か妹が出来ましたー。春になる前には会えるわよー。」


「「「えぇーーー!!!?」」」


「エレオノーラ!! 本当かい!!?」

「お母様! 本当ですか!?」

「母様、もうお歳なんですから無理しないで下さい」


「もう、ジルったら。私だってまだ若いわよ。」

「ありがとう!エレオノーラ!ああ、君似の女の子だといいなぁ」


まさかと思ったけど、衝撃なんですけど!

私お姉ちゃんになるのね!

弟でも妹でも絶対に可愛いわ!


「ハハ、入学前に言ってた通りになったね」

「そうですね。私もお姉ちゃんになるんですね。頑張らないと」

「20歳も離れた兄弟かぁ。自分の子供みたいなものかなぁ」


「セティーの母親はすごいな」

「夫婦仲が良いのね」

「赤ちゃん、絶対に可愛いですよね」

「セティー似かな?」

「セティーが産むわけじゃないが似てるかもな」

「公爵様の奥方はおいくつなのでしょう?」



お母様の爆弾発言で私の誕生日は幕を閉じた。

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