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悪役令嬢だけど両思いになりたい  作者: 月乃
第2章
42/235

深まる友情

「「おはよう。セティー!」」

うん、今日もハモってるな。


「マリア、ヴィクトル、おはよう」


あっ!

マリアとヴィクトルのシャツ、お揃いだ!

可愛い!


「マリアとヴィクトルのシャツ、お揃いなのね!可愛い!」

「ありがとう。お母様がせっかくだからって、用意してくれたのよ」

「大変だったんだよ。母様とマリアがピンクとか花柄とか可愛いのしか選ばないから。この薄黄色になってホッとしたよ。」

「だって可愛いでしょ?」

「一緒に着る俺のことも考えてよ」

「ふふ、本当に仲いいわね」


「「ところで、その方/子は?」」


あっそうだった。

エメリアのこと、放置してた。


「「セティーの知り合い?」」


「はじめまして。エメリア・バルリエです」

「前にバザーで知り合ったお友達よ!マリアには前に話したでしょう?」

「あなたが、セティーの言っていた子なの!?えっとはじめまして。私はマリア・エルランジェです」

「セティーの友達かぁ!俺はヴィクトル・エルランジェだよ。マリアとは双子なんだ。セティーの友達なら、俺とも友達だね。ヴィって呼んでね」


「はい、よろしくお願いします。マリア様、ヴィ様」

「様はいりませんよ。エメリアさん、私ともお友達になってください。」

「そうそう、様付けとか、そういうのいいから」

「はい。ではマリアさん、ヴィ君と呼ばせて下さい。私のこともエメリアで構いません」


こうしてエメリアは2人と友達になった。



入学式が終わり、それぞれが教室に行くため、振り分けを確認する。

クラスは、入試の成績と家柄順だ。

家柄が良くても、成績が悪いと上のクラスに入れない。


「あー、俺大丈夫かなぁ?俺だけ違うクラスだったらどうしよう。」

「それを言うと、私は皆さんと違うクラスでしょうね」

ヴィクトルとエメリアの顔が暗い。

ヴィクトルは成績が不安。

エメリアは家柄で心配しているようだ。


エメリアはヒロインだし、ヴィクトルも攻略対象者だから大丈夫でしょ!


「ほら、落ち込まないの!だから勉強しなさいって言ったじゃない。エメリアだって成績が10番以内なら問題なく上のクラスよ!」

マリアが2人を励ます。

「だってー」

「はい。」

2人がショボーンとしながら答える。


振り分け表の前に入試の順位表を見ると

1.アルベルト・ヴェスタトール

2.セレスティーヌ・マルヴィン

3.エメリア・バルリエ

4.マリア・エルランジェ

5.シャルエラント・ハムダン・ビン・モハメド・ラーシド・ナハラセス


2位!嬉しい!!

エメリアも3位!

まぁゲームだと本当は2位なんだけどね。

私が入ったから1つ順位が落ちたんだ。

エメリアより点数取れたんだ。

エメリアには申し訳ないけど、嬉しいなぁ。

マリアも4位だし、シャル様なんて他国の試験なのに5位って凄すぎる


「エメリア3位よ!一緒のクラスだわ!」

「そんな、私が3位だなんて、嘘みたいです!でもこれで皆さんと一緒のクラスに入れますね」

「いいなぁ。俺、不安なんだけど」

「ヴィクトル、違うクラスでも遊びに行くから」

「待って!まだ違うクラスと決まったわけじゃないから!」


ふふ、まぁ同じクラスなんだけどね。


そうして振り分け表を見ると、案の定みんな同じクラスだった。


「やったー!よかったぁ。1人だけ違うクラスだと思ったよ!」

「もう、ヴィったら。私までヒヤヒヤしたわ」


なにはともあれ、皆同じクラスなので一緒にクラスへ向かう。


教室に入るとアル様とシャル様がすでに座っていた。


「あっやっと来た。こっちだぞ」

とシャル様が手招きする。


「ん? 知らない女性だな。皆の知り合いか?」

「エメリア・バルリエと申します。」

「ほう、君が入試3位に入ったエメリア嬢か。頭が良いだけでなく、こんなに美しいとは。私はシャルエラント・ハムダン・ビン・モハメド・ラーシド・ナハラセス。ナハラセス国の第1王子だ」

「はい、シャルエラント様。よろしくお願いします」

「ああ、女性3人は友人なのか?」

「私とエメリアは前からの友人で、マリアとは先程友人になりました」

「セティーの友人か。それならば俺とも是非親しくしてほしい。シャルと呼んでくれ」

「えっ?あっはい。シャル様。」


あっという間に攻略対象者と知り合ったな。

さすがヒロイン。



それから2カ月が経った。


特になにも起きないなぁ。

最初こそ、私達と一緒に居るエメリアを見て、ヒソヒソ言っていたけど、最近はそれもない。

まぁ、エメリアは勉強頑張ってるし、ゲームと違ってマナーもある程度できるし。

それに、この2ヶ月奉仕活動に精を出しているため、マリアによると『銀の乙女』の通り名がついたらしい。

まぁ『銀の乙女』って言われるのはゲーム通りだし、エメリアはゲーム通り努力家だから周りが認め始めてるのかも。



そう思って、私は油断していた。

選択授業の時間。

私やマリアとは違う科目を選択していたエメリアは、入学して初めて1人になる。


「それじゃ、私達はこっちだから、また後でね」

「はい、セティーさん、マリアさんまた後で」


お互いのクラスへ向かうため、別れる。

私とマリアは隣に座り、授業開始を待つ。

クラス内を見ると、庶民クラスの人ばかりだった。

この学園は基本的に貴族の学校だけど、一部の成績優秀な庶民も特待生で通うことができる。

そして、庶民の方々は普段の授業は庶民棟で受け、選択授業だけこちらの校舎に来る。


私達が選択しているの外国貿易について。

将来、商人になりたい庶民の人が多く選択しているが、貴族も少ないわけじゃない。

少なくとも、あと数人はいるはず。


あれ?

私達は校舎からまっすぐこのクラスに来たけど、他の貴族には会わなかったわ。

どうして?


私は不安になり、エメリアの顔が浮かぶ。

まずい!

私がもしいじめっ子なら、今は絶好のチャンス!

エメリアが危ないわ!


「マリア、ごめん!ちょっと行ってくるわ!」

「えっ!?セティーどうしたの? もうすぐ始まるわよ!?」


私はマリアの話を聞かずにクラスを飛び出し、エメリアの教室に向かう。


案の定エメリアがいない。

私は近くの生徒に聞いてみた。


「ねぇ、あなた。エメリア・バルリエを知らない?」

「えっ?数人の女性達と出て行きましたよ」


やっぱり!予感は当たったわ!


「ありがとう!どこに向かったか、わかるかしら?」

「さあ?教室を出て左に行ったのは見ましたけど」

「ありがとう!」


教室を出て左に行けばすぐ校舎裏だわ!

きっとそこに居るはず!




「あなた生意気なのよ!」

「元庶民の癖に王太子様達と同じクラスだなんて!」

「セレスティーヌ様と仲良しだなんて、許せないわ! あの方は特別なのよ!」

「何が銀の乙女よ!そんなの、セレスティーヌ様の劣化版でしょう!調子に乗らないでよ!」


校舎裏に着くと、案の定、エメリアが複数の令嬢に囲まれ、責め立てられていた。


「私があの方達と同じクラスになれたのは、努力した結果です。私はセレスティーヌ様の劣化版でも、同じように称されたことを誇りに思います。貴族になってからわずか数年の私に、生まれながらの貴族である貴方の成績が劣るのは貴方の怠慢です。選民意識は御立派ですが、実力もないのに民の血税で暮らす気分はいかがですか?恥ずかしくはありませんか? それとも、令嬢だからそれで許されるのですか? 私は将来この国のために仕え、この国に役立つ人間になります。あなた達とは生き方も考え方も違います!」

とエメリアが淡々と令嬢達に言い放つ。


エメリア! かっこいい!!


「「「「何ですって!!」」」」

令嬢達の顔は真っ赤になり、目を吊り上げて怒っている。

すると、先頭の令嬢の手が上がる


まずい!!


私はとっさにエメリアの前に出る。


バシーン!!

令嬢の手は私の頬に直撃する


いっったーい!!

ものすごく痛い!


「セッセレスティーヌ様!?」

私を叩いた令嬢が明らかに怯えている


「あなた達!自分のしていることがわかっているのですか? なんの権限があってエメリアを貶めているのです!?」

私はかなり強い口調で怒る


「セレスティーヌ様、この方があまりに礼儀がなっていないので、私達が注意をしていただけです。」

令嬢の1人が発言する。


はぁ? 何嘘言ってるの?


「その言葉に嘘偽りがないと、それぞれの家名に誓えますか?」

「「「「はい、誓います」」」」

令嬢達に自分の達の言葉を家名に誓わせる。


「では、皆さんは貴族失格ですね。私はあなた達の発言を聞いていました。家名に対して嘘の誓いを立てたことを、私が証言致します。今から学園長の所へ赴き、 あなた達の退学を求めましょう」

私が淡々と言うと令嬢達が青ざめる。


「お待ち下さい!本当にこの方の礼儀が」

「では、いったいどこが、礼儀がないと言うのかしら? 具体的に言ってみて下さい。」

「セレスティーヌ様達と親しくしてますわ!彼女は男爵、それも元庶民ですわ!」


それって特にないってことだよね。

もう、イラッとするわ!


「私と彼女は以前からのお友達です。それに、この学園においては身分など関係ありません。なぜ私のお友達が、あなた達のような関係ない人に、私と仲良くしていると言うだけで、責め立てられるのでしょう? エメリアの言った通りですわ。他者を軽んじることしか出来ない方々ですのね。それに、家名に嘘の誓いを立てるなんて、お家から破門されたいのかしら? あなた達のような学も、生きる術も知らない者が、身分を失えばどうなるか考えられませんのね。私個人としましては、あなた達とは、今後一切の関わりを持ちたくありません。どうぞ、二度と私の前に現れないでくださいませ。」


そう言ってエメリアを連れて、その場を去る。


「セティーさん!頬が腫れてます!救護室へ行きましょう!」

「えぇそうね。エメリアごめんなさい。私と居るせいで返って責められるなんて」

全然守れてない。

むしろ迷惑になってしまった。


「こんなの、想像の範囲です!私だって逆の立場なら嫉妬します。でも、あの方達に言った通り、何言われても負け犬の遠吠えにしか聞こえません。私自身が力をつけていれば問題ありません!」


エメリア!なんて強いの!


「私将来、王宮の官僚試験を受けようと思っています。せっかく貴族になったんだもの、利用しなくちゃ損ですから。元庶民は強いんですよ。だから、そんな顔しないで下さい。」

そうエメリアに言われて、私は自分が泣きそうになっていることに気がついた。


守るつもりが、逆に励まされるなんて。

「ごめんなさい。エメリアが私と居るのが嫌になったらどうしようって思ったの」

「あり得ません!どんなに身分の差があろうとも、近くにいます!身分の差なんて乗り越えていきます!」

エメリアはまっすぐ私を見る。


あぁ、本当にこの子は気高い。

逆境にだって負けずに努力出来る強い子なんだ。


「エメリア、ありがとう。大好きよ」

「はい!私も大好きです!」

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