4人目の
14歳になってしばらくが過ぎた。
来年の成人に向けてバタバタと準備が進む。
この国では新年を過ぎた満月の日に王宮でパーティーが開かれ、その年に15歳になる子息・令嬢がデビュタントとして招かれ社交界にデビューする。
私もそれに向けて準備する。
ドレスもここぞとばかりに豪華な物にするようにと家族全員に言われ、デザイナー達と話を詰めていく。
そんな忙しい中、アル様に王宮に来るようにと言われた。
いつものようにアル様に出迎えられる
「セティーよく来た」
「アル様、今回呼ばれた理由がわからないわ」
「私が会いたいだけじゃダメか?」
「えっ!?」
アル様!?
会いたいって!?
もう、顔が赤くなるよ。
「というのは冗談で会わせたい者が居るんだ」
なっなんだ、冗談か。
焦ったわ。
「会わせたい者?誰なのかしら?」
歩きながら話すアル様の顔は一瞬険しくなる。
どうしたんだろう?
「会わせたい者というか、私は会わせたくないんだが、あちらがセティーに会わせろとうるさくてな」
「ますます誰だかわからないわ」
「それは俺だ。やぁ、君がアルが言っていたセティーか?」
「えっ?」
突然話しかけられて驚く
「俺はシャルエラント・ハムダン・ビン・モハメド・ラーシド・ナハラセス
ナハラセス国の第1王子だ。長いからシャルと呼んでくれ」
褐色の肌に青紫色の髪、そして力強い金色の目
どこか色気を感じるこの顔と長い名前は
4人目の攻略対象者!?
まって、出てくるのって学園からでしょ!?
私は驚きつつも挨拶をする
「お初にお目にかかります。セレスティーヌ・マルヴィンです。シャルエラント王子、お目にかかれて光栄です」
「固いな。敬称なんて要らない。そしてシャルと呼んでほしい。俺も君のことをセティーと呼ぶから」
「そんな、王子様を軽々しく呼ぶなんて」
前にアル様に他の男性を愛称で呼ぶのを禁止されてるし
「そんな気にするな。アルの婚約者なら、私にとって近しい者になるからな」
「で、でもぉ」
私が困っていると、シャルエラント王子はニヤっと笑う
「大丈夫だ。アルにも許可は取ってある」
あっそれなら良いか
「それでしたら、わかりましたわ。シャル様」
長くて言いづらいから良かった。
「シャル!!そんな許可した覚えはないぞ!」
アル様がシャル様に怒り出す。
するとシャル様はお腹を抱えて笑い出す
「ハハハ。まさかと思ったが。アル、独占欲が強すぎる。でも一度本人に了解を得たんだ、変更はしないぞ」
えっ?
アル様の許可があるってウソなの!?
私が固まっていると、シャル様が私の手を取る
「そういうわけで、取り消しは聞かないからな。よろしく頼むセティー」
シャル様はそう言って私の手に口づけをした。
っ!?
キャー!!!!
キッキスされた!!
いくら手とはいえ、キスなんて!!
ああ、そうだった!
この人は色気担当キャラだった!
私はもう全身赤くなり、どうしたら良いかわからなかった。
「シャル!セティーに何をする!!」
「何って手にキスしただけじゃないか。口ならともかく、減るもんでもないし。ハハ、赤くなって。可愛い反応だなぁ」
「シャル!次はするな、いやむしろ触るな、見るな」
私はアル様の後ろへ引っ張られる。
「独占欲や嫉妬が酷いとセティーに愛想つかされるぞ」
「うっうるさい!」
アル様とシャル様は仲良しだなぁ。
「あっあの。シャル様はこの国には公務でいらしたんですか?」
「この国の学園に留学に来たんだ」
えっ?
学園に行くのはまだ半年以上あるけど?
「この国に慣れるために、予定より早く来たんだ。早く来て暇だからセティーに会わせろとうるさくて」
私の疑問にアル様が応えてくれた
「アルがいつも話してる婚約者に会ってみたいと思うのは当然だろ。聞いていた通り、美しい令嬢だ」
「ありがとうございます。でも私は婚約候補者で他の方もいらっしゃるのですが?」
私の言葉にシャル様は驚いた表情をするがすぐにニヤッと笑う。
「ほう、そうなのか。他の令嬢の話はあまり聞かないな。そうか、候補者なら私にもチャンスがあるな」
「なっ!?ない!チャンスなどない!」
「ハハ、でも候補者ってだけだろ?人の気持ちはどうなるかわからないぞ。なぁ、セティー?」
揶揄っているんだろうな。
なんて答えよう。
肯定はしたくないし、でもアル様が好きですからなんて言えない。
「えっと、候補者以前にアル様とはお友達ですし、アル様を裏切るようなことはしません」
この答えなら大丈夫かな。
「ふーん、お友達ねぇ。では私とも友達になってくれ」
そう言ってシャル様は握手を求めてきた
「はい、よろしくお願いします。キャッ!」
握手を握り返すとそのまま腕を引っ張られ、シャル様に抱きしめられる。
えっ?
なっなに?
抱きしめられてる!?
「シャル!セティーを離せ!」
顔は見えないけど、アル様の怒った声がする
「親愛の抱擁だ。我が国ではこれくらいのスキンシップ当然だ」
確かに、キスも抱擁も挨拶だという文化の国はあるけど!
「あっあの、離してくださいませ。恥ずかしいです」
家族以外にこんなことされたことないので、顔が赤くなる。
「ハハ、また赤くなった。ウチの国の女性にはない反応だ」
やっとシャル様から離してもらい、私はこの赤い顔を落ち着かせるために、お花を摘みに逃げた。
やっと候補者4人が出てきました




